第9話 川崎宿の爆発

氷川光一警部は、部下の中原淳一と田宮晶子を伴い、原宮翔太の職場へと向かった。トラック運転手の彼は、忙しい仕事の合間を縫って、警察の質問に答えるための時間を割いてくれていた。

 「あなたに佐々木さんや宮川さんについてもう一度お話を伺いたいのですが」

「またですか」

「佐々木や宮川とは、昔の同級生ですけど、そんなに親しいわけじゃありませんでした。だから僕にはよくわかりません。」


「俺も確かにあの頃涼介のこと、無邪気に見えて、涼介に酷いことをしていたんです。」

「そうですか。ありがとうございました。」


聞き込みが終わり、原宮翔太は仕事に戻るためトラックへと向かった。彼がエンジンをかけた瞬間、激しい爆発音が鳴り響いた。氷川たちは一瞬の出来事に驚き、燃え上がるトラックを目の当たりにした。


「翔太さん!」氷川は叫んだ。

「田宮急いで消防と救急車だ。」

 氷川は深刻な表情で言った。

「はい」田宮は電話をかけることを急ぐ。


彼らは急いで消火活動を始めたが、火の勢いは凄まじく、原宮翔太は既に即死していた。氷川の心に怒りが燃え上がった。



消防が駆けつけ、1時間後、火が鎮火し、現場の状況が見えるようになると、氷川警部と部下たちは慎重に捜査を始めた。


「この爆発の原因を探る必要があります。トラックの爆破装置が仕掛けられていた可能性が高い。」芝岡が言う。


「証拠を見つけ出すために、周辺の監視カメラ映像を確認しましょう。また、現場の写真を撮影しておきます。」と中原がてきぱきと言う。


田宮晶子は現場を隈なく調査し、いくつかの重要な手がかりを見つけた。


「こちらに爆破装置の一部らしきものがあります。これを分析すれば、犯人の手がかりを掴めるかもしれません。」



氷川光一警部は、原宮翔太の悲劇的な死に直面し、犯人に対する怒りを抑えることができなかった。


「これはもう許されない行為だ。この犯人は、なんて、冷酷なんだ。」


「警部、我々は全力で犯人を追い詰めます。次の犠牲者を出さないためにも。」


「そうだ。次は必ず阻止し、犯人を法の裁きにかける。」



警視庁に戻った氷川たちは、緊急会議を開き、これまでの進展と新たな手がかりを共有した。


「爆破装置の一部から指紋が検出されました。これを照合すれば、犯人の特定ができるでしょう。」芝岡が険しい顔で話す。


「監視カメラの映像も解析中です。何かしらのヒントが見つかるはずです。」


氷川たちは、原宮翔太の死という悲劇をきっかけに、捜査の進展に全力を注ぎ始めた。証拠を一つ一つ丁寧に集め、分析し、犯人に近づく手がかりを見逃さないようにしていた。


「この事件は、私たちの手で必ず解決する。犯人を逃がすわけにはいかない。」


「警部、私たちは全力であなたを支えます。」



その夜、氷川光一警部はオフィスで資料を見直していた。彼は事件の全貌を明らかにするための決意を新たにしていた。

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