第8話 新たな容疑者への聞き込みと新たな証拠
徳間裕太郎が浮上したことで、氷川光一警部とその部下たちは急いで徳間の居住地へ向かった。68歳の無職の男、徳間涼介の父親である彼が、事件の鍵を握っている可能性が高まった。
徳間裕太郎の住む古びたアパートの前に到着すると、氷川警部と田宮晶子刑事はドアをノックした。しばらくして、やつれた顔の徳間裕太郎が現れた。
「何の用ですか?」
「警察です。お話を伺いたい。」
徳間は不機嫌そうにうなずき、二人を部屋に通した。部屋は散らかっており、何年も手入れがされていない様子だった。ただ一つ仏壇には彼の妻と一人息子の涼介の遺影が大切においてあった。
「涼介君のことについてお伺いしたいのです。」
「涼介のことか…」彼は深いため息をつき、瞳に憎しみが浮かんだ。「あの子は学校で酷いいじめに遭い、命を絶ってしまった。あの時のことは今でも忘れられない。」
「そのいじめについて、具体的に教えていただけますか?」と田宮が聞く
「グループの中で無視され、からかわれ、物を壊されたりもした。あの子は精神的に追い詰められたんだ。」
「いじめた者たちについてどうお考えですか?」氷川が冷静に聞く
徳間裕太郎は怒りを抑えるようにして答えた。「彼らは罪を犯したが、何の罰も受けていない。こんなことが許されるものか。もう帰ってください。」
こうして徳間の家をあとにした。
一方、警視庁では芝岡雄三が紙のインクの鑑定を進めていた。彼は顕微鏡を覗き込みながら、氷川たちの到着を待っていた。
「このインクは本当に特殊なもので、いまほかの刑事たちに残りの店舗を当たらせています。」
中原淳一警部:「そうですか。」
芝岡雄三:「さらに、この紙には微細な指紋の痕跡が残っていました。しかしまだ鑑定には時間がかかります。」
氷川光一警部:「だが徳間裕太郎が関与している可能性が高い。とりあえず今は重要参考人の、彼の動機と具体的な行動を突き止める必要があるな。」
事件の進展とともに、関係者たちもそれぞれの思いを抱えていた。
宮川雪菜の自宅
宮川雪菜は夫の死を受け入れることができず、毎日泣きながら過ごしていた。警察の調査が進む中、彼女は自分にできることがないかと模索していた。
「隼人……あなたのために私ができることはないのか……」
石川祥騎のアトリエ
石川祥騎はカメラを手にしながら、事件の真相を追い続けていた。彼は自分の撮影した写真の中に、重要な手がかりが隠されていると確信していた。
「この写真…何か…うーん...ん?待てよ。これって」
石川はあることに気がついた。
中島啓太の職場
中島啓太は冷ややかな態度を保っている。
「過去のことが暴かれれば…奴らもこれで終わりだ…」
その夜、氷川警部たちは徳間裕太郎のアパートを再び訪れた。徳間が不在の間に部屋を捜索するためだ。許可を得て部屋を捜索すると、隠し場所からいくつかの手がかりが見つかった。
「これは…涼介君の日記か。」
日記には、涼介がいじめに遭っていた詳細が記されていた。そして、いじめの加害者たちに対する憎しみと苦悩が綴られていた。
「これは重大な証拠だ。これで動機が明確になる。」
「さらに、この部屋にはいくつかの未使用の紙がある。これが今回の事件に使われたものと一致するかどうか、鑑定が必要です。」
氷川光一警部は新たな証拠を手に、事件の全貌を解明する決意を新たにした。徳間裕太郎がいじめの復讐を計画していたことが明らかになった今、彼を追い詰めるための準備が整いつつあった。
「次は徳間裕太郎を確保し、事件の全貌を明らかにする。彼がどのようにして殺人を計画し、実行したのかを突き止めるんだ。」
「はい、氷川警部。我々の手で必ず彼を捕まえます。」
中原が頷いた。
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