果てのうたかた　勇者は物語を否定する

ふと意識が醒めると、窓のない小さな部屋にいた。
自分のことさえ思い出せない中、どこか見覚えのある青年が現れる。
青年により、自身の名がシエルだということ、彼が幼馴染みのラーイであることなどを思い出すが、ここに至るまでのことは思い出せない。ずっと思考がぼんやりして、霧がかっている。
「ひどい目に遭ったから」そうなっても仕方がないと言われるが、それについても何も思い出せないシエル。
その状態で日々を過ごす中、ラーイが「もし誰かが訪ねてきても、扉を開けてはいけない」と言って不在にするのだが――。


世界を壊しても、世界が狂っても、ただ一人を選ぶ話。