35.オーク達による影響、そして異世界って感じのマジックバック

「確かにそう見えるかしらね」


 真っ黒発言に、レイナさんが頷く。


『あのねぇ、あいつら悪い悪い気を放っているから、草や花や木が、枯れちゃうんだよ』


『それに土も黒っぽくなるんだぜ!』


『だから真っ黒くろ』


「あのね、全部じゃないのよ。時々そういう事が起きてしまうの」


 詳しく話しを聞いてみると、奴らの放っている負の気みたいな物が自然に影響して。自然の物でも、みんなが作った物であっても、枯れたり腐ったりするらしんだ。

 でも毎回ってわけじゃなく、その時その時で違うらしい。まぁ、じゃなきゃ自分達も生きにくいだろうしな。


 ただそれが、アイラさんや精霊達が一緒に暮らしている場所だと、影響が大きいみたいで。アイラさん達が生活している場所は、他の土地とは違って神聖な場所らしい。負って物が完全にない場所っていうのか。そんな神聖な場所に負の気配が入って来たら?


 まっさらな場所に負の気配が入ったら、その負の気配に飲み込まれる可能性が。勿論そうならないように、しっかりとアイラさんが守ってくれているけど。前に何回か、負に入られちゃった事があって。


 結局そこに住めなくなったみんな。別の場所へ逃げる前に見た、今まで住んでいた、とても素晴らしい場所は、真っ黒で何もない状態になっていたらしい。


「あなた達はそうなると、その場所では生きていけないものね。もちろん私達もそうだけれど、あなた達は影響が大きすぎる」


『うん、俺達、力がなくなっちゃうぞ』


『フラフラになっちゃう』


『そのままそこにいたら消えちゃう』


 アイラさんもシャイン達も、俺達のようにご飯を食べる。でもそれはエネルギー補充のためと良いよりも、ただ単に美味しそうだからって理由らしい。

 本来は大地から、森から、自然からの、何にも穢されていない力を取り入れて、それがみんなの力の源になっているんだ。


 だからもし負によって、全てが汚染されてしまえば、穢れのない力を取り入れられなくなってしまい。それが続けば、俺達は食事をしなければどんどん衰弱していくだろう? それと同じ事が精霊達にも起こるんだ。


 そして最後までそれが続いてしまえば、最悪な結果になることも……。そう、この世界から消えてしまうってことで。


『今はまだ大丈夫だぞ』


『奴らも遠いし、ママがしっかり守ってくれてる』


『でも、ちゃんと避難を考えてる』


『もちろんみんなが避難しても、俺達はティニーと一緒だぞ!』


『うん、僕達家族だから離れない』


『ずっと一緒』


「ばぶう? ばあぶ?」


 それは嬉しいけど、みんなが避難して大丈夫なのか? 何処に避難するかちゃんと聞いてあるのか? って言ったんだ。だって避難する場所を知らなかったら、みんなと会うことができないじゃないかって、そう思ったんだよ。

 そうしたらシャイン達は、何処に居ようとも、アイラさん達がいる場所が分かるらしい。だから問題ないと。


 なら良いけど。もし何かあるなら、すぐに戻らないとダメだからな。もちろん俺達は家族だけど、アイラさんだって、みんなのお母さんなんだから。それに精霊の友達がいっぱいいるんだろう? そんな大切な人達と会えなくなるのは絶対にだめだ。


 こうしてオーク達についてと、エルフ達が今何をしているのか、アイラさん達精霊が何をしているか、簡単に聞いたところで、俺達は隣の部屋へ。俺の避難道具を見に行った。

 ソファーの上にはたくさんの荷物が。俺がどの荷物を持って避難するか考え中だったって。


「みんなはそのまま何も持たずに、完璧に住む場所を変えてしまっれ、終わりかもしれないけれど。もしこの里に何かが起こりそうな時、私達はまず、できる限り最低限の荷物を持って避難するのよ。みんなこのカバンを持ってね」


 それはA4サイズの、ちょっと大きめの首掛けカバンだった。


『小さいねぇ』


『ここには荷物がいっぱい』


『全部入らないぞ?』


 確かにここには、かなりの荷物が置いてあるから、カバンが小さいんじゃって思うかもしれないけど。避難だからな、避難しては大きいと思うんぞ。後は何を持って逃げるかだけど。


「ふふ、これはね、特別なカバンなのよ。良い、見ていてね」


 レイナさんはそう言うと、ソファーに置いてあったカバンよりも、ぜんぜん大きなクッションを手に取った。そうして無理やりカバンにクッションの端を押し込む。するとシュッ!! とクッションが消えたんだ。


 突然のことに俺もシャイン達もビックリして、みんなが声を上げる。


『クッション、消えたぞ!!』


『なくなっちゃった!?』

 

『大変!!』


「ふふ、違うわよ。クッションはこのカバンの中に入ったの。このカバンはね、マジックバックと言って、たくさん物が入るカバンなのよ。だからどんなに大きな物でも入ってしまうの。それにいくら入れても、重さも変わらないのよ。出したい時は、出したい物の事を考えながら……」


 ひょいとカバンからクッションを取り出すレイナさん。


「ね、こうして取り出す事ができるの」


 な、何と!! この世界にマジックバックがあるなんて。小説で読んで、良いなぁと思ってたんだよ。毎回出勤の時に荷物が多くてさ。それだけでフラフラになっていたから。まさか本物を見られるなんて!!


『凄いぞ!!』


『面白い!!』


『僕達も中に入れる?』


「残念だけど、それはできないの。何故か生きている生き物は入れないのよ。入ろうとしても弾かれてしまうの」


『そっかぁ、残念だなぁ』


『中見てみたかった』


『でも入れない、残念』


 何だ入れないのか。俺も少し残念だな。まぁ、本物を見られただけ良いか。


「このカバンにこれから、ティニーの荷物を入れるのよ。避難する時は私か、代わりの人が持ってくれるわ」


『しっかり準備だぞ!!』


『ティニーの準備だもんね!!』


『たくさん入れる!!』


『『『みんなで準備しながらお話し!!』』』


 おおう、みんなお声が重なった。そしてまだどれを持っていくか、これから選ぼうとしていた物を、どんどんカバンに入れ始めようとして。


「待って!! たくさん入れられるといっても、全部は入らないのよ!!」


 レイナさんが慌てて止めに入った。

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異世界で新生活〜スローライフ?は精霊と本当は優しいエルフと共に〜 ありぽん @myuhima

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