バツイチオジと推しとの爆笑やり取り、リアルな描写と読みやすさが光る快作
- ★★★ Excellent!!!
詳細な要約
この作品は、離婚を経験した“バツいち”の中年男性(語り手)が、女性アイドルグループの「推し活」(=アイドルを応援する活動)にハマっていく日々を、軽妙かつ少し自嘲気味に描いたエッセイ風実録小説です。
主人公は、初めて握手会に参加したことをきっかけに、徐々にアイドル応援の沼にのめり込み、推し(お気に入りのアイドル)とのふれあいや会話に一喜一憂しながら、人生の張り合いを見出していきます。
「握手会」は、ファンとアイドルが短い時間を直接会話できるイベントで、主人公は推しの機嫌や反応、衣装や髪型にまで注目しながら、時に塩対応にがっかりしたり、優しい言葉に舞い上がったり、オタクとしての“生きがい”を日々実感していきます。
物語は主に「推しとの会話」「舞台観劇」「新メンバーの加入」などのエピソードを中心に展開。主人公は推しとのやりとりだけでなく、グッズの収集や地方遠征、他のファンとの“あるある”体験、握手券のためにCDを大量購入したり、推しが卒業やグループ解散を発表したときのショックなど、“推し活”を続けることで日常が活性化していく様子が描かれます。
一方で、推しの卒業やグループの変化に直面し、“推し活”そのものの意味や、人生との向き合い方も考えるようになる描写もあります。
最後には「自分の応援が推しの女優としての成長に少しでも貢献できた」と前向きに思いつつ、新たな推し活の可能性や、人生の小さな幸せを噛み締めるようなラストが描かれています。
僕の応援レビュー
バツイチのオジサンが“単推し”として、推しの女の子との握手会に全力を注ぐ姿がリアルかつ丁寧に描かれ、思わず自分もその場にいるような臨場感が味わえます。主人公の視点で展開される、時にユーモラスでどこか切実な日常と、推しとの絶妙なやり取りがクセになる面白さです。読みやすさも抜群で、一気読み必至。単なるファン小説にとどまらず、“推す”という行為の本質と、現代の人間ドラマを映し出した傑作だと感じました。オジサンと推しの女の子の関係性が面白すぎて、ページをめくる手が止まりません!