竜と雲海と古の都、少年少女の冒険と成長と別れが胸を震わせる壮大な物語。

神話から始まり、雲海と断崖、機械竜とドラゴンライダーへ一気につながる導入が、とても心地よく胸に入りました。ドラゴンと人の慢心が世界を何度も作り変えてきた神話が、そのままロンたちの「今」へ続いている感覚があり、プロローグだけで世界の奥行きが伝わってきます。

とりわけ印象に残ったのは、鉄の塔の昇降機上でのBBのエピソードです。地上に出たい一心でハナを帝国に引き渡そうとした少年が、あっさり撃たれ、「ごめんなさい……逃げて……」とロンの腕の中で謝る場面は、フォールミーの過酷さと、子どもである彼らの切実さを一瞬で突きつけてきて、読みながら息をのみました。その直後にベルマンと機械竜が炎をまとって乱入し、怒涛の空中戦から雲海の嵐へ落ちていく流れも見事で、感情とアクションがきれいに連動しています。

ロンとハナ、ベルマン、紅蓮のフレア、さらに雲海の底のアバロンとドワーフのマンガン…。どの人物・種族も一癖あるのに、会話のテンポが軽やかで、出会うたびに好きになっていきます。貧しい鉱山の生活や雲海の底の怪物・神の使いのビジュアルも鮮やかで、「次はどんな景色とドラゴンが出てくるんだろう」とワクワクしながら読み進めました。

ロンの父の足跡やハナ本来の名と使命、アバロタイトの謎など、物語のタネが丁寧にばらまかれていて、ここから空と雲海と地上がどうつながっていくのか、とても楽しみです。続きの更新を心待ちにしています。


ネタバレをできるだけ避けるため、プロローグと最初の第10話までのレビューにしています。悪しからずご了承下さい。

その他のおすすめレビュー

ひまえびさんの他のおすすめレビュー425