第6話 試練の洞窟に行く
俺たち二人はデアマントの森から屋敷に帰ってきた。屋敷に帰ると、父と母が、待っていた。
「カイン! エドワード! 無事に帰ってきたのね!」
「母上、ただ今、帰ってきました」
「カイン、エドワード、よくあの森から無事に帰ってきたもんだな」
「父上、これもアぺリス神のご加護のたまものですよ」
「そうか、しかし、無事に帰って来て本当によかった」
「公爵様、奥方様、ご心配をおかけしました」
「二人とも無事に帰ってきてほんとによかったわ」
それから、四人で色々話し合った。
帰って来て、数日たつとエメリアが屋敷に来た。
「カイン様、エドワード君、お久しぶり」
「久しぶり」
「お久しぶりです」
「デアマントの森に行くと聞いて不安だったけど、無事に帰ってくれてホッとしたわ」
「エメリア様にご心配をおかけして申し訳ありません」
「いいのよ、無事に帰って来てくれるだけで嬉しいから」
「そうですか……」
「お父様が二人に会いたいと言ってたわ。近く、使いの者を出すって」
「国王陛下が会いたいと?」
「頼みたいことがあるっていってたわ」
「何を頼もうとしてるんでしょうか……」
「さあ、お父様とお話してみないことには」
「カイン様、陛下は何を頼もうとしてるんでしょうね」
「わからん」
「……わかった、エメリアとりあえず会うことにするよ」
「それよりせっかく来たんだから、遊ばない?」
「はい!」
……それから、三人で家で遊んで、日暮れになるとエメリアは帰っていった。
三日後、王宮から使者が来た。俺たちは使者と一緒に馬車で向かった。
王宮に着くとエドワードはあたりをきょろきょろ見渡していた。
「そうか、エドワードは来るのは初めてだったね」
「王宮がこんなに立派で広い所とは思いませんでした」
「俺も初めて王宮に来たときは驚いたもんだったよ」
「エメリア様はこんなところに住んでらっしゃるのですね……」
しばらくすると、玉座の間に着いた。国王とエメリアがいた。
俺たちは臣下の礼をして名乗った。
「国王陛下、カイン・ホルスタインとエドワード・クリスティン参上しました」
「陛下、エドワード・クリスティンと言います。お初にお目にかかります」
「よく来てくれた。実は二人に頼みたいことがあってな」
「どのようなものでしょうか?」
「エメリアを連れて、ある洞窟にいってほしいのだ」
「洞窟ですか?」
「王の座を継ぐ者は試練を受けることになってるのだ」
「予の子はエメリアだけだから試練の洞窟に行くことになっている」
「それで、私たちにエメリア様の護衛をしてほしいと?」
「そうだ」
「護衛なら兵士たちに任せればいいのでは?」
「試練の洞窟には強い魔物たちがいる。そちたちは最近、デアマントの森に行って無事に帰ってきたそうじゃないか。
城の兵士たちでもそんなことができる者はおらん。だからお前たちに頼むのだ」
「……わかりました。お引き受けさせていただきます」
「エドワードも同じ気持ちだろう?」
「はい」
「おお、引き受けてくれるか」
「カイン様、エドワード君、よろしくね」
「エメリア、俺が守ってやるからな」
「私も微力ながらお守りします」
エメリアの顔が喜びに満ちていた。
その後、エメリアの部屋で3人で話していた。
「カイン様、エドワード君、護衛を引き受けてくれてありがとう。
二人が引き受けてくれなきゃどうしようと思ってたの」
「エメリアが困ってるのをほおっておけないからな」
「……」
エメリアはカインの言ったことで頬を赤らめているようだ。
「試練の洞窟はどこにあるの?」
「王都から馬車で十日ほど離れたとこにあるわ、アマンド山という所の麓にあるの」
「そうなんだ」
「いつ洞窟に行くの?」
「半月後だって言ってたわ」
「半月後か~じゃ俺たちも準備しないとな。な? エドワード」
「はい、カイン様」
「エメリア、俺たち二人がいるから安心してくれ。君は俺たちが守る」
「はい……!」
エメリアに別れの挨拶をしたあと、俺とエドワードは屋敷に戻った。
「カイン様、今度の試練の洞窟には凶悪な魔物がいると言いますが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫さ、俺とエドワード二人いればエメリアは守れるさ」
「本当にそうだといいのですが」
「なに? エドワード、俺の言うことを信じないのか?」
「そんなことはありません」
「心配するなって、俺たちはデアマントの森から無事に帰ってきた。今度もうまくいくさ」
「はい……」
「行くのは半月後だからそれまで体を鍛えないとな」
「そうですね、頑張りましょう」
「ああ」
それからというもの、毎日毎日魔法や剣の稽古に励んだ。
俺もエドワードも熱心に稽古をしていた。
エドワードもランガート村で出会った時よりも強くなったものだ。
俺が教えてるのもあるが、剣も魔法も以前より上達した。
もうこれ以上教えることはないなって思う。
王宮で話を聞いてから半月がたった。
馬車に乗ってエメリアが屋敷にやってきた。
馬車から降りるなり、エメリアは俺たちに話しかけた。
「カイン様、エドワード君、行きましょう」
「いこうぜ、エメリア」
「エメリア様を無事に王宮に帰らせます」
「二人とも頼みにしてるわ」
「それじゃいこうぜ」
俺たちは馬車に乗ってアマンド山に向かった。
途中で魔物たちに襲われたが、俺とエドワードで撃退した。
町に寄りながら、アマンド山へと進んだ。
やがて、大きな山と湖が見えてきた。
「あれがアマンド山……」
アマンド山は、かなり高い山だった。山の上の方は雪が積もってる。
アマンド山を見ながら、三人で話をしていた。
「私ね、実は回復魔法使えるの」
「えっ? 本当?」
「うん、結構高位の魔法とか使えるの」
「こりゃいい、俺とエドワードは回復魔法は使えなかったもんな」
「カイン様と私が前衛を務めて、エメリア様が回復役でいけばどうにかなるでしょうね」
「私がカイン様とエドワード君の役に立てる……」
「私がカイン様やエドワード君に守ってもらっていては申し訳ないから、これでいいわ」
「俺たちが守るって話だったけどまあいいや」
「あ、洞窟が見えてきたわ」
「あれが、試練の洞窟……」
試練の洞窟はいかにも強い魔物が出そうな雰囲気を醸し出していた。
「入口のあたりで野宿しよう」
「わかったわ」
「わかりました。カイン様」
野宿するために、準備をしたら日が暮れた。食事を用意して、夕飯を取った。
エメリアが食事について話してきた。
「この牛のステーキとシチューおいしい! エドワード君は料理も上手なのね」
「私程度の料理で喜んでもらえてうれしいです」
「いや、エドワードの料理は結構いけてるぞ、コックになれるぐらいおいしい」
「いや、照れますね」
エドワードは頬を赤らめていた。
「……ランガート村にいた時に、結構自炊してましたんで」
「家では幼馴染のお母さんが作ったりしなかったのか?」
「作ってましたけど、いつも作ってもらうのもあれかなと思って自分と交代で作りましょうと言ったんですよ」
「ああ、そういうことで料理を作ってたんだな」
「はい……」
「なにはともあれ、そのおかげで俺とエメリアはこんなうまい料理が食えるんだな」
「エドワード君、ホントにおいしいわ」
「ありがとうございます」
……しばらくして、飯を食い終わった俺たちは、交代で寝ることにした。
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