第4話 再び王宮へ

俺は、エドワードとともに王都にある屋敷へ帰った。


 エドワードは王都にくるは初めてらしく、キョロキョロ周りを見渡していた。


「カイン様、王都はすごいですねー私の村とは比較にならないですよー」


「まあこの国で一番栄えてるとこだしな」


 エドワードはそれからも引き続き、王都を見渡していた。


 屋敷に戻ると、エドワードを家族に紹介した。


「父上、母上、この者は、私の護衛として雇ったエドワード・クリスティンというものです」


「公爵様、エドワード・クリスティンと言います。お初にお目にかかります」


「エドワードとやら、息子のことをどうかよろしくおねがいする」


「カイン様のことはこの私が身命を賭してお守りします」


 ……それからというもの、俺とエドワードは、常に一緒にいた。

 俺は、エドワードに魔法などを教えた。エドワードは呑み込みが早く、どんどん成長していった。


 それからしばらくたったある日エメリアから手紙が来た。また会いたいとのことらしい。

 王宮に行くと、エメリアが出迎えてきた。


「カイン様、お久しゅうございます。お元気でしたか?」


「エメリア、ああ、元気にやってたよ」


 

「しばらく会えなかったので、さびしくて、しょうがなかったですわ」


「俺もさびしかったよ」


「ホントですか?」


 エメリアは嬉しそうにしていた。俺もエメリアの顔を見て嬉しい気持ちになった。

 俺たちは部屋の中で雑談などをした。


「カイン様のお屋敷に行ってもいいでしょうか?」


「いつでも来てもいいよ」


「じゃ、今度お伺いします」

 

 エメリアに新しく護衛を雇ったことと、護衛になったエドワードのことについて話をした。


「カイン様がそこまで言われる方ならさぞかし強いんでしょうね。お会いしたいわ」


「今度俺の屋敷に来たときに紹介するよ」


「はい」


 その後も雑談をしていたが、もうそろそろ帰らなきゃ行けなくなった。

 

「もう屋敷に帰らないといけない。ではこれで」


「カイン様、また会いましょう」


 エメリアは、笑顔で手を振った。


  俺は、エメリアと別れ、王宮を後にした。


  屋敷に戻ると、エドワードと会い、稽古に励んだ。


  エドワードは上達が早い。俺が教えたことをすぐに吸収していく。


  剣も魔法も上級者になっていた。

 

「エドワード、君の上達ぶりには舌を巻くよ」


「ありがとうございます。これもカイン様の教え方がよかったせいだと思います」


 カインは顔をほころばせて言った。 


「そうかな?」


「エドワード、今度エメリアが屋敷にくるんだけど、お前を紹介しようと思ってる」

  

「王女様が来られるんですか?」


「ああ、エメリアに俺が王宮にいったときに、エドワードのことを話したら、会いたいって言ってた」


「そうなんですか……王女様が」 


「それと、今度、狩りに行かないか?」


「狩りですか?」


「そうだ、魔物狩りして鍛えようと思ったんだ」


「どちらにいかれるんですか? カイン様」


「デアマントの森に行こうと思う」


「あの森にいかれるんですか?」 

 

「……あそこはモンスターがたくさんいると聞いてますけど……」


「今の俺たちならなんとかなるだろう」


「……わかりました。いきましょう」


 エドワードは思うとこがあったようだが俺の言うことに同意した。


 それから数日たって、屋敷にエメリアが来た。


「カイン様、数日ぶりですわ。そちらのお方がエドワード様ですの?」


「エメリア様、エドワード・クリスティンと言います。お初にお目にかかります」


「おはなしはカイン様より聞いてます。お強いんですってね」


「たいしたことはないですよ」


「謙遜するなって、エドワードはかなり強いと思うよ」


「そうですか? カイン様」


「うん、少なくとも俺が知ってる中で一,二を争う強さだよ」


「そ……そうなんですか?」


 エドワードは驚いていた。


「うん、その位の強さを持っているよ」


 その言葉を聞いてエドワードは喜んでいた。


 エメリアがエドワードに言った。


「エドワードさん、カイン様の護衛としてがんばってくださいね」


「はい……カイン様を全力でお守りします。エメリア王女」


「私のことはエメリアと呼んで」


「はい……エ……エメリア様」


 とまどいながらエドワードは答えた。


 それから三人は、屋敷の中に入って居間で、いろいろ話をしていた。


「……近い日に、エドワードと二人でデアマントの森に行こうと思ってるんだ」


「えっ!……デアマントの森……ですか?」


「うん」


 エメリアは不安そうにカインを見つめた。

 

「……デアマントの森は狂暴なモンスターがたくさん出るところと聞きましたが……」


「カイン様とエドワードさんと二人だけで行くなんて!危険です!」


「……不安になる気持ちはわかるが、大丈夫だと思うよ。俺とエドワードなら」


「エメリア様、カイン様の強さはすごいものがありますし、私も、カイン様を十分、お守りすることができると思います。ですから、心配なさらないでください」


「でも……でも……!」


 不安に震えるエメリアの手を、俺は握ってこう言った。


「エメリア、心配ないって、俺もエドワードもこう見えて強いからさ、大丈夫だよ」 

 

「カイン様……!」

 

「……わかりましたわ、ご無事をお祈りします。カイン様、エドワードさん」 


 その後も話していたが、日も暮れそうになったのでエメリアは王宮に帰ることになった。


 玄関前でお別れの挨拶をすることになった。


「カイン様、エドワードさん、今日は楽しかったですわ」


「俺もだよ」


「私も楽しかったですよ、エメリア様」


「カイン様、エドワードさん、ご無事で」


「大丈夫だよ、またいつか会おうな」


 エメリアを乗せた馬車が屋敷より去っていった。


「エメリアを心配させてしまったな……」


「カイン様の身は私が身命を賭してもお守りします」


「大丈夫だって俺は強いから」


 二人は笑いあった。


 ……それから数日たって、デアマントの森に行くことになった。

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