ゲームの悪役に転生してしまった俺、このままだと主人公達に殺されてしまうので、主人公が手にする能力を先回りして身につけます!!!
めたとろん
第1話 ゲームの世界の悪役へ転生???
大人気RPG「ビクトリーロード」俺は、このゲームにめちゃくちゃハマり込み、来る日も来る日もこのゲームに夢中になった。
そんなある日、ゲームをやっていた俺は突然、意識を失った。
意識を取り戻すと、あたりが真っ白な空間にいた。
「あれ?ここはどこなんだ? さっきまで部屋にいたのに?」
そう思っていると、目の前が光り、美しい金髪の女性が目の前に現れた。
かつてない光景に驚いてると、女性はこう言った。
「私の名は、女神エルスといいます。あなたはさきほど、亡くなりました」
『えっ?なにをいってんだ? 手足もあるのに』
そう思った俺は、女神に言った。
「何言ってんだよー。手足もあるし、べつにどおってことないよ?」
「それは、貴方に私がかりそめの肉体を与えてるから、生きてるように思うのです」
「じゃあ、俺は死んでるって言うのか?」
「そうです」
うわぁああああああああああ俺って死んだのかよよおおおおおおおお!
なんでだよおおおおおおおおおおおお。
激しく動揺した俺は、女神に聞いた。「俺はこれからどうなるんだよ!!!」
「あなたはビクトリーロードの世界に転生していただきます」
「ゲームの世界に転生するだと?」
「そうです。そして、カイン・ホルスタインとして転生してもらいます」
えっ?カイン・ホルスタインだって?たしか、ゲームでの悪役で貴族だったが、
のちに主人公達に殺されるカイン・ホルスタインかよ、よりにもよって、なんでだよー
「カイン・ホルスタインって悪役で殺されるやつだろ?なんでそいつに転生しなきゃ
いけないんだよ。他の奴にしてくれよ——」
「申し訳ありませんが、あなたはカイン・ホルスタインとして転生してもらいます」
『なんでだよーよりにもよって、なんであんな奴なんかに——』
カイン・ホルスタインというのはアルサス王国の公爵家の一人息子で暴虐無人な性格で、
極悪人だった。魔法の才能で特筆したものがあり、最強の魔法を使うことができた。
悪業っぷりが半端なく、多くの人から恨まれていた。
カインは、悪業の限りを尽くしたあげく、しまいには魔王の側について、主人公たちの敵となる。そして、主人公達に討伐されるのだ。
よりにもよって、そのカインに転生しろとか何考えてるんだろう?
そう思ってるうちにまた意識を失った。
ふたたび意識が戻り、目を覚ますと、俺はベッドにいた。周りを見渡すと、豪華に装飾された部屋の中にいた。
鏡で自分の体を見ると、子供の体になっていた。
外に出てみようか?と思い部屋から出ていくと若いメイドに出くわした。
メイドは、怯えるような感じで話し出した。
「カ…カイン様、どうかなされたん…でしょうか?」
「俺はいくつになるのかな?自分の歳を思い出せないんだ」
メイドは、信じられないとばかりに口をあけて言った。
「カイン様は一二歳ですが?」
「そうか、どうもありがとう」
「……もう失礼してもよろしいでしょうか?」
「ああ、いいよもう用はないから」
そういうとメイドは去っていった。
怖がられてる?まあカイン・ホルスタインは悪人として有名だからなーしかし、どうしよう?
どうにかして殺される運命を回避しなければいけないけど、こりゃ相当骨が折れそうだ。
屋敷の探索に戻ろう。探索を続けると、背後から、声をかけられたので振り向くと、三十代くらいの黒髪の貴婦人がいた。
その姿に見覚えがあった。たしか、カインの母のエリザベート・ホルスタイン公爵夫人だ
「これはこれは母上、どうかされましたか?」
「カイン、いったい、何をしているの?」
「ああ、屋敷の中を散歩してたんですよ」
「まあ、そうだったの」
「ところで、母上、父上は今、どこにいらっしゃるんでしょうか?」
「アルバートは今、王宮へいってるのよ。王様に呼ばれたとか」
「王様に?なんでしょうかね?」
「さあ? わからないけど」
「母上、私はこれで失礼します」
「またね。カイン」
俺は母と別れると、自室に戻った。部屋に戻った俺は、椅子に座って、考え込んでいた。
そういえば、あのメイドは俺のことを嫌ってるのかな?俺に対して怯えていたし、他の使用人たちはどうなんだろう?
気になるなー。あのメイドだけじゃなくて他の使用人たちも俺のことを嫌ってるかもしれないし……
そういえば、カインは最強魔法を使えるというけど、それにもかかわらず主人公達に殺されてしまうんだろう? どうしたらいいんだろう……
そう思い、考え込んだ。ああでもないこうでもないと悩んで、悩んだ末にあることを思いつく、そうだ! 主人公が使っていた魔法や技を
主人公が手にする前に先回りして身につけることができれば! そうなれば主人公達に対抗できる!
考えがまとまった俺は、前世知識を生かしてどう魔法を主人公よりも先回りして手に入れようと動き出した。
それから三年後、俺は十五歳になった。主人公よりも先回りして魔法を身に着けた俺は、これで殺されることはないと思った。
試しに、魔法の力を見ようと、誰もいない草原に来ていた。
雷魔法の最強魔法を試した。空に黒雲が出てきて、複数の雷が一つのところに落ちた。
落ちたところが黒く焼ける。
すごい……これなら殺されずに済む!そう確信した俺は、笑みを浮かべるのであった。
数日後、俺は、王都近くの路上を歩いていた。すると、護衛付きの馬車を目にした。
馬車は俺の前を通り過ぎていった。俺が家路に着こうとすると、悲鳴が聞こえた。
後ろを振り向くと、魔物が馬車を襲っていた。15体ぐらいのゴブリンが襲っていた。
護衛が戦うも、一人、また一人と殺されていった。このままでは危ないと思った俺は、
ゴブリンに立ち向かっていた。防御魔法を使いシールドを張ると、炎魔法を使って、ゴブリン達を丸焼きにしていく。
魔物たちを倒してしまうと、馬車に向かった。護衛の兵士は全滅していた。
馬車の中の人は無事だった。中の人が無事だったことに安堵した。
馬車のドアが開き、中から金髪のドレス姿をした10代くらいの美しい女性が出てきた。
「あぶないところをどうもありがとうございました。おかげで助かりました」
「いえいえ、ご無事でよかったです」
「私の名前はエメリア・マルズバードと言います」
ええええええええええええ? 聖女であり、のちに主人公の仲間になるアセリア王国の王女のエメリア・マルズバードーー?
これは、会いたくないやつにでくわしてしまったわーー。
「王女様ですか?これはこれは」
「もうしおくれました。私の名前はカイン・ホルスタインといいます」
「えっ?ホルスタイン公爵家の?」
「そうです」
エメリアは動揺していた。まさか、あの悪童と名高いカイン・ホルスタインだったとは、信じられない。
あのカイン・ホルスタインが人助けなんて……
「あの、なにか?」
「……なんでもありませんわ」
「……そうですか~では私はこれで」
「あ、待ってください、カイン様、またお会いできませんか?」
「えっ?」
「王宮へ来てほしいんです、カイン様」
「どうして私が王宮へ?」
「お礼がしたいんです! お願いします!」
「……わかりました。それでは後日、参ります」
「ありがとうございます!」というと、王女は目を輝かせた。
王女の様子を見ながら困ったな…と思った。
俺は、主人公側の人達とはかかわりたくなかった。のちに主人公達に殺されることを考えれば。
「それにしても王宮に行かないといけないのか」
俺の悪童ぶりは広く知られてるだろうし、王女はともかく、他の者たちは俺を歓迎しないだろう。
「それでは後ほど、使者を送りますわ」
「わかりました。ではこれで…」
「また王宮で」
俺は王女の元を立ち去って行った。
屋敷に帰って、自室に戻るとベットに寝転んで、思い悩んでいた。
王女に会うのはいいとしても国王や他の者たちは、俺のことを嫌ってるだろう。そんな状況で王宮に
いくのは……。
「しかたないかーーこうなってしまったからには」
そう思った俺は、覚悟を決めた。なんだかんだ言ってなるようにしかならないからな。
それから一週間後、俺の屋敷に王宮より使者が来て、行くことになった。
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