第7話

夜が明けると、朝日が大地にまぶしく照りつけた。


 俺は、目を覚ますと寝ていたエメリアを起こして、一緒にテントの外に出る。


 テントの外にはエドワードが座っていた。


「おはようございますカイン様、エメリア様」


「おはよう」


「おはようございます。エドワード君」


「いよいよですね」


「ああ、強い魔物がいるというが、どんなものか」


「私たちなら大丈夫よ」


「そうだな」


「そうですね」


「そろそろいくか」


「はい」


 俺たちはテントを畳むと、洞窟へと向かった。


 洞窟の中に入ると、おたけびが聞こえた。恐ろしい感じのおたけびにぞっとする。


「怖いわ……」


「大丈夫だって、俺とエドワードがついてるから」


「うん……」


 しばらく進んでいくと、首の長い魔物がいた。


 俺は、エメリアの前に立って防御魔法をかけると、炎魔法をかける準備をする。


 エドワードは、魔物に襲いかかった。 


 魔物は、口から炎を吐く。


 エドワードは盾で攻撃を躱すと、剣で魔物の首を切り落とした。


 魔物は、首を切り落とされて倒れる。


「おわりました」


「ああ、ありがとうエドワード、今回はお前ひとりで倒したな」


「エドワード君って強いって聞いてたけど、目の当たりにしてホントにそうだと思えるわ」


「じゃ先に行こうか」


「はい」


 さらに奥地に進んだ。魔物の気配がしたので前を見ると、牙がついた虎のような魔物がいた。


「サーベルタイガー……」


 サーベルタイガーは、獰猛なうめき声をあげながらこちらをにらんでいた。


 エドワードがサーベルタイガーと対峙して、にらみ合いをしている。


 サーベルタイガーがエドワードに襲い掛かった。 


 エドワードは盾で攻撃を躱して、魔物に剣で切りつける。


 魔物はダメージを食らって後ずさった。


 その隙に、俺が炎魔法を放つ。


 サーベルタイガーは魔法を食らって、のたうちまわった。


「いまだ! エドワード!」


 俺がそういうとエドワードは魔物の首を切り落とす。


「やったね!エドワード君!」


「カイン様もナイスアシスト!」

 

「さて、あとどれぐらいで最奥に行くのかな?」

 

「結構奥に進んでるようですけどね~」


「この分だと、うまくいきそうかな?」


「ええ」


「先に進むか」


 俺たちは最奥に向かってさらに進んだ。奥に進むとやがて、光輝く泉が見えてきた。


 エメリアが目を輝かせる。 

 

「キラキラしてまぶしいわ……! あれが聖なる泉よ、あそこで沐浴して水を汲み取るの」


 カインは泉の輝きに見とれながら話した。


「あそこで沐浴して、水組んだら終わりか」


 そう言ったら今度はエドワードが言う。 

 

「もうすぐ終わりですね」


「ああ、そうだな」


 俺がそういうとみんなは泉へと向かった。


 泉へと到着して間もなく、鳴き声が聞こえてくる。


 鳴き声のした方向を見ると、ドラゴンが1匹いて、こちらを睨んでいた。


 俺たちは戦闘態勢を取ると、エドワードがドラゴンに斬りかかる。


 エドワードはドラゴンに斬りつけたが、傷一つ負わせることができなかった。


「こいつ、硬い」


 飛び退ってそういうとエドワードは、剣を構えてドラゴンに向かって剣先を向けた。


 エドワードの剣から雷がほとばしる。


 そして剣をドラゴンに振るった。


 「くらえ! サンダーブレード!」


 雷が、ドラゴンを襲い、雷撃を浴びせる。


 ドラゴンは、雷撃を受けてのた打ち回った。


 俺は、それを見て、魔法を放つ。


「フレイムカッター!」


 炎の刃がドラゴンに向かって飛んでいく


 刃がドラゴンの体を切り裂く。


 エドワードがドラゴンの体の切り裂かれたところに剣を突き立てた。


「とどめだ! サンダーブレード」


 雷がドラゴンの全身を撃ち、息絶えた。カインが口を開く。


「やったな」

 

 エドワードが答える


「やりましたね!」


「やったわね。二人とも」


 エメリアが答えた。 

  

 カインが言う。


「さあ、泉に行こうか」


「ええ、行きましょう」


 三人で泉に向かうとエメリアが言った。


「これから泉で沐浴するから……その……私が見えないとこでいてくれないかな?」

 

「なんでだよ?」


「もう……カイン様のエッチ!」


 エメリアから頬をぶたれた。


「カイン様、ここは離れましょう」


「もう! わかったわかった」


 俺とエドワードはエメリアが見えないとこで待機した。


 それからしばらくたってからエメリアが、水筒を持って現れた。


「もういいのか? エメリア」

 

「うん、もう終わったし」


「俺も泉の水を飲みたいのでいってくる」

 

「私も行きます」


「ああ、待ってよ――」


 ……三人で泉で一時の間過ごして、出口へと向かう。


 外に出たら夕暮れになっていた。


 俺たちは、再び野宿をした。


 夜になって飯を食った後、三人で喋っていた。


「なあ、エメリア、これでお前は次期国王になったんだろう?」


「ええ、そうよ。これで晴れて後継者になったわ」


「代々の国王はみんな試練の洞窟に行ったの?」


「昔はいってたんだけどね。ここ百年はいってないわね」


「えっ? ということは今の国王は行ってないって事?」


「そうよ、いってないわよ」


「じゃ、行かなくてもいいものに行ったという訳か」


「いかなくてもいいわけじゃないわ。いける人がいなかっただけなの」


「じゃ、今回行ったのは俺たち二人がいたからということか?」 


「そうだわね」 

 

 カインもエドワードもエメリアの返答に愕然とする。


 何はともあれ、試練の洞窟にいって無事に洗礼をしたことだし、良しとするか。


 カインはみんなに言った。


「王都に帰ろうか」

 

「うん、帰ろう」


「帰りましょう」 


 三人で王都へと帰っていくのであった。

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