第8話
アセリア王国から西に遠く離れたところに宮殿があった。
そこの主はワグネル。世界を支配しようとする魔族の王である。
魔王の元へとある報告があった。カインなるものが古の最強魔法『スタージャスティス』を使ってるところを見たという。
それを聞いて衝撃を受けた。自分を倒せる呪文を手にしたものがいるということに。
ただちに軍団長のジェノバを呼んだ。
魔王軍は四つの軍団があり、ジェノバはそのうちの一つの軍団を任されていた。
「何事でしょうか?」
「いや、ある報告があってな、カインなるものが古の魔法であるスタージャスティスを使っていたと聞いたからお前を呼んだんだ」
「スタージャスティスですか?あの最強魔法の」
「そうだ、余としてもあの魔法を使えるものが現れたと聞いてはほおってはおけない」
「私の部下にワグナーという暗殺を専門にしてる者がいます。そやつにカインの始末を命じましょうか?」
「うむ、そうしてくれ」
ワグナーはうやうやしく頭を下げて言った。
「わかりました、果報をお待ちください」
魔王はワグナーの言葉にうなずく。
カインとエドワードは、二人で稽古をしていた。
「今日のところはこれで終わりだ」
とカインがいうとエドワードが答える。
「カイン様、お疲れさまでした」
「エドワードは強いよな。おかげで俺もついていくのに大変だ」
「カイン様のほうが強いですよ。対応するのも苦労しますよ」
カインは、それを聞いて苦笑しながら答えた。
「お互い強くなったよな」
「まったくです」
二人は笑いあった。
突如、空に穴が開いでそこから三つの目を持った魔族とおぼしきものが現れた。
カインとエドワードは突然のことに驚き、身構える。
カインが叫んだ。
「誰だ! お前は!」
魔族はカインに向かって言葉を発した。
「お前がカインだな? 俺はワグナーというものだ、魔王様の命により、お前を始末しに来た」
カインは、ワグナーを睨みつけながら答えた。
「魔王がなぜ俺を殺そうとするのか?」
「そんなことはお前の知るところじゃない、おとなしく死ね」
「ふざけんな! お前を倒して、なぜ命を狙うのか吐かせてやる!」
エドワードもワグナーに言う。
「カイン様を殺させはしません!」
ワグナーは、剣でカインに斬りかかってきた。
すかさずエドワードが来て、剣で受け止める。
エドワードの顔に汗がにじんだ。
ワグナーは後ずさって言った。
「ほう、やるな、名を何という?」
「エドワードだ」
「そうか、じゃこれはどうかな?」
ワグナーは素早く何度も剣で突いてきた。
エドワードはすべて防ぐ。
ワグナーはさらに剣を繰り出した。
エドワードはすべて剣で受け止める。
ワグナーは後ずさって身構えた。
体から、オーラのようなものが出て、剣が光りだす。
「くらえ! ディスティニーソード!」
エドワードに向かってワグナーの剣から光が放たれた。
剣で受け止めるが、支えきれない。
エドワードは吹き飛ばされ、屋敷の壁に叩き付けられる。
「エドワード!」
カインは叫んだ。エドワードはうずくまって動かない。
ワグナーは獰猛な笑みを浮かべたていった。
「カイン、次はお前の番だ」
カインは魔法でシールドを張った後、魔法を唱えた。
「くらえ! エクスプロード!」
火魔法の強力な魔法で大爆発を起こす魔法だ。
ワグナーの目の前で爆発が起こり、ダメージを食らう。
皮膚が焼けて、肉が見えていた。
ワグナーは、悲鳴をあげ、のた打ち回る。
カインはそれを見てワグナーに魔法を放った。
「これで終わりだ! グレイトフレイムランス!」
ワグナーに向かって炎の槍が飛んだ。心臓を貫き、口から鮮血が飛び散った。
そして炎がワグナーの体を焼き、全身が燃える。
「お、おのれ……カイン」
ワグナーは全身を黒焦げにして息絶えた。
カインはエドワードの元へと向かう。
「エドワード! 大丈夫か!?」
「う……うーん……カ……カイン……様」
「エドワード!」
「カイン様……お役に立てずにすみません」
「なにをいうか!」
エドワードは起き上がろうとしたが、へたり込んでしまった。
「無理をするな、使用人呼んでベットに運んでやるからな」
カインはそういうと、屋敷に向かい使用人たちを呼んで、エドワードを屋敷のベットへと運ばせた。
―エドワードの部屋—
エドワードは自分の部屋で治療を受けた。
医者によると、怪我については治癒魔法で全快したらしい。
あとは体力が戻るのを待つだけだと、二、三日ほどで体力も戻るとのことだ。
医者が帰った後、カインとエドワードは二人で話をした。
「カイン様、先ほどはみっともないことをしてしまってすみません」
「いや、いいんだ、気にするな」
「それよりも、あの魔物は魔王の命令で俺を消そうとしてた。なんで俺を狙ったのかわからん」
エドワードも釈然としない表情で答えた。
「わたしにも見当がつきませんね」
「いずれにせよ、これで終わりということはないだろうから用心しておいたほうがいいな。また刺客を差し向けてくるだろうし」
「はい、カイン様」
―魔王の宮殿—
ワグナーの様子を見ていた使い魔が、軍団長のジェノバに報告していた。
「報告します。ワグナー様はカインを仕留めそこないましてございます」
ジェノバは目をむく。
「なに? ワグナーがしくじったとな」
「左様です」
「あのワグナーがな……おのれ、カインめ」
ジェノバは悔しい表情で言った。
「ワグナーがやられたとなれば他のものにやらせないとな」
「そうだ! ガバにさせよう!」
呼んでくるように部下に命じた。
ジェノバの部下でかなりの魔法の使い手である。
ガバがやって来た。
「ジェノバ様、お呼びでしょうか?」
「カインなるものを始末してほしいのだ」
「そやつをなぜ始末するのですか?」
「実は、そやつが古の最強魔法であるスタージャスティスを使っていたという報告があってな、それで魔王様が、気にされて始末せよと言われたのだ」
「スタージャスティス! あの神をも殺すという!?」
「そうだ」
「では、私めが倒してまいります」
「たのむぞ」
ガバは、ジェノバの前を後にした。
ゲームの悪役に転生してしまった俺、このままだと主人公達に殺されてしまうので、主人公が手にする能力を先回りして身につけます!!! めたとろん @pukutan8721
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