友 垣.4
「――…
「なんで意外なんだ?」
〝
もとより友人同士であるマークとロジェ(発言順)
会話の
その日。
昼食を共にすることになった四人は、すでにテーブルのひとつの中ほどを陣取って、飲食行為におよんでいる。
そんな彼らから五〇歩あまりも
雑然とした食卓と住人のにぎわいのさらに先。
いくつか伸びた行列のひとつに確認できる〝とある少年〟の頭(頭髪)は、ごく淡い黄緑――
「あの色は庭にあふれているだろう」
うっかり口にした感想を
深く考えてなした言葉でもないのだ。
「人の頭と草木をいっしょにするな」
「放置しておくと、
こいつなんて、〝
(金魚鉢…)
誰を対象とする
くわえて
「君は…。
「〝
「それでも、ダメだろ」
友人を
「色だけいうなら、講師の頭もかなり目立つし…」
(……。〝
マーク君は、亜人でもないのに、この子が気になるようだ…。そういえば、
思案しながら
「
黒や茶っ毛に比べれば遺伝にうるさい側面があって、年期を
まぁ、人間で、あれだけ明るい色だとな。
あれも長居するなら、そのうち見なれるさ」
「亜人じゃないんですか?」
「亜人だろう。脱色・染色してるんじゃなければ…」
マークが確認の問いを投げたので、講師がそれと肯定して受け流した。
そこで、ロジェがぼそりと感想を述べる。
「女じゃないのが残念な
「妙なのと極端なの
緊張感にかける友人の感想をかたわらに――認識を再確認しようと
ロジェが即座に反応を返した。
「知らねー。
そうは言われてるけど、
「
とは、カフルレイリのつぶやき。
そこでロジェが、対象を
「三、四年たったら、あいつ、〝実は女でしたー〟って、ことにはならないか…。となりの(連れっぽい)褐色女は、ちょっと
女の
「誰かと契約している
講師は知ってます?」
ロジェの感想を
「知らない顔だ(――あの女はたしか……
応えたカフルレイリが、そこで、ひと呼吸おいた。
「…。おまえらから見れば
(
事実、いくつなのか、外装には個人差があるものだから人の年齢は、よくわからなくもなるが…)。
あの肌の色は南の産まれかな? いや。
いっしょにいる子を見れば、そうとも限らないか」
「
人間も先祖が南方から来ても、こっちで産まれると、いちがいに〝そうだ〟とは言えなくなる。
日に焼けて、すっかり焦げついて黒いだけの奴もいる。
南にも色の白い連中はいるし、病気で白いのも…。
この前なんて、あれとかスタさんより、ずっと白いの見かけたぜ? 石膏みたいに白い奴。
あそこまで白いと、血まで白かったりして――(いま、そこにいるヤツの
ロジェの気のままの発言をうけた講師の視線が、となりにいるセレグレーシュに流れた。
「あぁ、何日か前、
おさまるところにおさまったようだが…」
そうしている
なにげなしに視線をちらしていたロジェは、あらぬ
こちらを監視しているような
大食堂にいたる途中。段数が
講義中に見ることはまずない(ほぼ無いが、皆無ではない)が、カフルレイリの非番時、――特に銅色の頭をした少年とも成人ともつかない
「(…――うちの国に亜人や
講師は〝アークイラ〟(の)出身ですか?」
「んあ…?」
「前から
たまにいっしょにいる人達に、
俺と
〝アデリー〟です」
「あぁ、そうだったか…。今度、注意して見ておくよ」
「講師は、〝
あからさまに好奇と探求心で押しまくるロジェの茶色の眼差しが、それとなく講師の反応を探っている。
「(でなければ)〝
「どうして、そう思うんだ?」
「なんとなく。
〝称号持ち〟は、必然的に
(人がおおければ、才能を見いだそうとする
講師もなにか
彼らの故郷。アークイラ
「どこだろうとな…。ものごころつく頃には、ここにいたから、ほとんど覚えていないよ。
ここが故郷という
「そんなに早くから、こっちの才覚みせてたん(で)すか? 凄いですね」
その気もなく、言葉の調子だけで持ち上げているのだろう。
発言した
その腹では、
(無知なガキが〝他〟を知らないうちからここの技術に魅了されて駄々こねたのでなければ、親が能動的だったのかもな…)
と、いうようなことを考えている。
自発的なものであれ、推薦的なものであれ、
「……(認められるきっかけが、
努力の
心力ばかりあっても、頭と
素材の解読・鑑定には
そういった素質に恵まれなくても補助する法具はあるが、感覚を頼れない分、法具の知識、種類・性質にくわえ、心力加減、手応え、法具の反応の把握、練度、数値的な間違いが許されなくなる。
勉強してなんぼだ。
私は
講師の経験談を耳にしたロジェが、そこで、
(ちっ。やっぱ、もっと
とか思いつつも、表面上はまったく応えていない
「そうなんですねー……(俺は)聞かなかったことにします」
会話の流れが気に入らなかったロジェは、その修正をはかり直そうと
視界のはしにあった〝青磁色の色彩〟に目をつけた。
神鎮め3(前・後編)〈間 章〉よしふ……よしあり ~日常にひそむ様々なきざし ①~ ぼんびゅくすもりー @Bom_mori
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