間違っている、そんな私の抱える鬱積。


 職場の後輩が結婚するらしい。

 幸せそうな表情を浮かべる彼女に、私は他人様用の祝福を贈る。

 内側に複雑な感情を巡らせながら……



 人を愛することは、きっと素晴らしいことなのでしょう。

 哲学や心理学の本を読んでみても、結論は「愛」に結びつくことが多い。「愛」とはそれだけ優しく、温かく、誰もを包み込む、普遍的なものなのでしょう。

 この話は、その普遍から外れてしまった人物の話。

 愛以外は特段一般人と変わらない。社会に馴染むことも出来るし、人が求める答えも読み取れる。

 ですが、彼女だけが地上から少し浮いてしまっている。そして皆が地に足をつけて手を握り合って幸福を語る様を見続けている。

 別にその必要もないし、そうしたくもない。だけれども……


 最後の一言には、そんな彼女のほろ苦さが含まれていました。