春の悲

輝空歩

春野日

いつの間に、か、日が沈んでいる。

私は何時間、同じところに座っているのだろう。この時間、この場面から、一分たりとも進めたくない。幸福だからではない。どん底が怖い。


だって、一階の両親の怒鳴り声がプツンと途切れてから、もう3時間40分もたっているのだもの。音も、声た りとも聞こえない。

怖い。現実を知るのが。


手の届く本棚から、本を取って、好きなシーンだけを読んでいく。

ア..ア時間よとまれ。怖い。

怖い。

怖い怖い怖い。

空気が重い。同じ姿勢で、水も飲まなければ、体だって持たない。おなかもすいている。


はぁ。そうだ。もういっそこのまま死ぬか。縄ならある。

…でも何のために?


考えてみると理由なんてないな。

..じゃあ、まだ自殺はしないでおこう。


この時間は、いつまで続くのだろう。

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