頑なだった心が、愛情によって解けていく。心優しいあやかしとの婚姻譚。

盟約により、あやかしの元へと嫁いでいく主人公の少女、紬。
彼女には「生贄」としての存在価値しか認められず、自由を奪われ、ずっと虐げられて生きてきました。
運命に抗い、ついに死をも覚悟する紬。
しかし、そんな彼女を救ったのは、婿となる狐のあやかし、詩でした。

温かい愛情を知らずに育った彼女は、詩の優しさにとまどうばかり。
しかし、彼が心から紬を想ってくれているのだと、しだいに気づいていきます。
彼の優しさに触れるうち、やがて紬の心にも変化が――。

紬や詩の周りを固める脇役のあやかしたちも、みな個性的。
読んでいると、なんだか人間よりもあやかし達のほうがよほど情があって、好ましく感じられます。

興味を持たれた方は、一度お読みになってみてはいかがでしょうか。
あやかしたちと織りなす、心優しく温かい世界が、皆さんをお待ちしています。

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