母が輝いている。物理的に。

「わたし」の六十歳になる母は、突然の脳出血で倒れて、そのまま還らぬ人となった。葬式も終わった頃、仏壇に置いていた母の骨壺が光り始めた。
死者と生者の関わりを淡々と描いた、少しシュールな現代ファンタジー。ありえない状況でも、そのまま受け入れてしまう「わたし」の反応が、可笑しくもあり、切なくもあります。
「突然の別れ」というものは、亡くなった人にも大いに戸惑わせるものでしょう。しかし、人生のロスタイムを得てやりたいことは、ただただこれまでの日常を謳歌する、というものなのかもしれません。