母はもやもやしているヨ

幸まる

もやもや

私には二人の娘がおりますが、次女はただいま小学四年生。

何でもどんどこ吸収して、何でも自分で考えて行動しまくるお年頃。


そんな我が娘、日常的に突然スイッチが入って行動し始めます。




ある晴れた日のこと。


「お母さん、草抜きしてあげる!」


んん?

どこでスイッチ入った?


庭と呼んで良いのか分からない程の狭い場所ではあっても、花を植えている辺りは、最近の気温上昇で雑草の勢いが増しています。

抜いてくれると言うのなら、お願いしましょう。


「手伝わなくていいから! 私一人でやるから!」


どうも彼女にとっては、一人で成し遂げることに意義があるもようです。

ならばと軍手を渡して、しばらく。

外から呼ぶ声がします。

抜いた草が山になってしまって、どうしたら良いか分からないとのこと。

私は急いでゴミ袋を持って外へ出ました。


伸び放題だった範囲は、半分ほどキレイになっています。

おお、娘、がんばってるナ。



袋の口を広げて持ち、娘が雑草を入れるのを手伝っていると、突然娘が言いました。


「そうだ! 縄跳びで“はやぶさ”出来るようになったんだよ! 見せてあげる!」


んん?

またスイッチ入った?


玄関から颯爽と縄跳びを取ってきた娘。

バビュビュン! バビュビュン!

と風を鳴らして、“はやぶさ”なる技を披露してくれます。


「ワンチャン、15回跳べるか見てて!」


…………ワンちゃん?


「ワンチャンス!」


ああ、ワンチャンス、ね。


バビュビュン! バビュビュン! バシッ!


「あ~! 引っ掛かった! もう一回」


娘よ、それではツーチャンスだヨ。



何度かのチャンスを経て、ようやく15回跳べた娘。

満足して家に帰ろうとします。


おいおい、娘よ。

母の持っている、半端に雑草が入ったゴミ袋と軍手はどうするのだ。


「あー! 忘れてた! てへペロ!」


可愛く舌を出す娘。

……リ、リアルに使った人初めて見たヨ。



再び雑草の生えた場所へ行った娘。

くるり振り返って言いました。


「んー、疲れたから、お母さん手伝って!」


おーい、君の意義はどこへ消えたのかな、娘さん。



結局、最後を片付けて家に入った私に、娘は冷たいお茶の入ったコップを渡してくれました。


「お母さん、お疲れさま!」



うふふふ。

可愛い娘よ。


この母のもやもやが君に分かるかネ?




カクヨム界のお父さんお母さん、共感求む!(笑)

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