21.箱庭の外から
今回で一度区切りを付けたいと思います。
書きたいことが出来たらまた続きを書くので、完結はさせません。
ただ、一度おしまいとなります。
今回は今までの総括をしつつ、例によって書きたいことを書いていこうと思います。
私の創作論といいますか、ポリシーといいますか、とにかく小説は書きたいことを書けばいいのではないか、そう思います。
もちろん商業的なものになればそうもいかないのでしょうが、趣味の範疇のweb小説では私の意見も正解のひとつだと思います。
書きたいことを書く……ってどうやるんでしょうか。
あまり考えすぎると袋小路にはまってしまいそうです。
私が考えたのは、自分の主義主張や信条を軸にしつつ、あとは成り行きに任せるやり方です。
例えば何の対価や努力もなしにチートを得るのは面白くない。
元の世界でパッとしなかった人間が異世界で活躍できるはずがない。
戦闘になれば相手だって人間なのだから、それなりに考えてこちらを殺す気で動いてくる。
悪い状況は悪人が作り出すものではなく、自堕落で怠惰な集団の無意識によって作り出される。
他にもいろいろありますし、個人の考えですから違う答えもあると思います。
これらは作品を書くうえで作者自身が納得できるためのルールであり、ある程度これに沿って書くことでスムーズに執筆できると思います。
ただ、そんな縛りばかりで面白い話が書けるはずがないですよね。
だから成り行きに任せるのです。
何から何までコントロールしようとするのではなく、練りに練ったキャラクターに重要な選択を任せる。
自分が作るのはあくまでも世界であって人ではない。
箱庭を作って、そこに木々を配置して、川を作り、海を湛え、あとは任せます。
生きた人間の証がそこに残るように、自分の想像を超えるような話が書けるように。
その道中でこんな展開いいな、こんな描写を入れたいな、それくらいの欲求は創作世界も受け入れてくれるはずです。
それくらいの緩い世界を構築するべきです。
書きやすい世界、書いていて心地よい世界を作ってあげれば、あとは書きたいことを書くことが出来るでしょう。
ちょっと抽象的過ぎたでしょうか。
でも、これが私の考えです。
「半身転生」では、良くも悪くも人間らしさを求めました。
アラタはよく間違えるし、最適解を選び続けるほど賢くないです。
主人公の周りの女性陣は時折リアルすぎるくらいに陰湿になる時がありますし、彼らを取り巻く社会も悪い意味で事なかれ主義が発動するときがあります。
でもそれって現実でも起こっている話ですよね。
逆に、人の善性があふれ出して止まらない時もあります。
優しさが誰かを救うこともあります。
突き放してしまえば楽なものを、諦めずに手を伸ばしてくれる人がいます。
どっちもリアルにある話であり、リアリティだと思います。
どれも細かく制御することは不可能に近いので、キャラの判断に任せます。
状況を作って、人格を形成して、あとはその時々でどうなるか決まる。
自然に不自然を作り出す。
結構難しいですが、楽しいものです。
改めてここまで書いて、やっぱり「半身転生」との別れが名残惜しいですね。
もう完結しているのですが笑。
私にとっては初めて完結する物語でしたし、これだけ長い間続けてきたので喪失感も大きいです。
他人の作った物語の結末を見届けた時とはまた違う、あの得も言われぬ感情。
人生最後の瞬間もこんな感情を抱くのでしょうか。
それでもいい加減前に進まなければなりません。
「半身転生」の登場人物たちがそうしたように。
次回作の構想にはもう少しかかるので、しばらく小説を公開するのはお預けかなという感じです。
予定が変われば他の話をアップすることもあるでしょうが、今のところはという感じで。
近未来SFとでもいうんですかね、ちょっと変わり種を用意しているので楽しみにしていてください。
ではまた会える日を楽しみにしています。
箱庭の外からー半身転生を語るー 片山瑛二朗 @katayama1012
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