理の範疇になきモノの理。

宵闇に紛れた妖魅の噂は、或る夜
突然、目の前に顕現する。

潮の匂い。溟い海から波音が響く中
悍ましい咀嚼音が人の『理』の境を
酷く曖昧にしてゆく。

それは人であろうか、それとも
妖魅か。魚を盗み喰らっているのか。

『理』の箍を外すも人、込めるも又
人であろうに。

目の当たりにした絶望的な 困惑 は
 果たして、如何許りであったろう。