第4話 再会
こんな、話し方だったかな。神の間での会話に個性は基本ないから、なんか変な感じだ。私が立ち止まっていると、ウンディーネはこっちに来て、話し始めた。
「ふふ、この調子じゃ、背を抜かされちゃうのも時間の問題かしら?ふふ、役目を与えられた後の神とまた会うことができるなんて、エニーってミラクル起こすのが上手よね。」
そんなことを言いながら、彼女は私の頭を撫で始めた。会ってそうそうにこんなことされるなんて、考えるわけない。だから私はしばらく、されるがままの状態になっていた。
「いや、俺そんな何かを起こしたり生み出したりする大層な能力持ってねーから。ただの偶然だっての。まあ、連れてきたのは、あんたが会いてぇって言ってたの覚えてたからなんだけど…。」
次は、エニーのことも撫で始めた。エニーは目をそらしながら、その撫でる手を払っている。この様子からして、エニーはウンディーネにお世話になっていたということがわかる。いつまで撫でられ続ければいいのかと思っていると、ウンディーネは急に私の目をじっと見てきた。
「あなた、ここに来ること、自分の意志で決めてくれたのね?ふふ、他の神と違って、目に光がある。これからも、自分のことは大切にしなさいよ?神でもなんでも、自分の意志で何かをするということは、とても大切なことなのだから。」
そう言うと、私のことを撫でるのはやめたものの、ほっぺをつんとつついてきた。…そいえば、昔にこんなこともあったような気がする。あのときは、確か私がまだ正式に役目を果たし始める前。神として立派に育つために、四大精霊の内の水の精霊、ウンディーネに育ててもらっていたときだ。そのときも、私に自分を大切に持てと言っていた。そんなに何回も言わないといけないほど大切な言葉なのだろうか。生きてるだけで、自分というものは存在しているはずなのだが。…わからない。私は、人間の生み出した単位だと数えられないほど生きている。だが、こんなにも理解できないことがあるなんて、この差は…何なのだろう。そう思った瞬間、前からそこそこ強めの風が吹いてきた。
「わー!アリアちゃんだ〜!久しぶりだね〜」
その風の正体は、四大精霊の内の風の精霊、シルフだった。いつも突拍子もなく現れては、のんびり話始める、何を考えているのかが一番わからない精霊だ。
たぶん、今日も何も考えずにマナの巨木の周りを飛び回っていたのだろう。
「ディーネだけアリアちゃんと話なんて、ずるいよぉ〜」
「うふふ、ごめんなさいね。私もつい、舞い上がってしまって。後で呼ぼうとはおもっていたのよ?」
なんだか、一気に騒がしくなった。エニーも、二人の精霊が盛り上がっているのを見てとまっどっている。エニーがここに私を連れてきたんだから、なんとかしてほしい、というのが本音だが、さっきも言ったように、エニーはウンディーネやその他の精霊に恩があるように見えるので、別になんとかしてくれなくてもムカつくようなことはなかった。そもそも、私には怒るという機能が備わっていないのだけど。
「あ、えっと…さ、まさかとは思うけど、愛でるためだけにアリアを読んだなんてこと…ないよな?」
そんな質問に、シルフが答える。
「まっさか〜そんなわけないいじゃ〜ん?ディーネちゃんが前に言ってたんだけど〜、自分を大切に持ててるか、心配になっちゃたんだって〜」
私のことを…心配?しかも、ウンディーネには関係がない心配内容だ。嘘をついてるかついてないかなんて、見ればわかるから本当のことなんだろうが、なぜそこまで私の、自分を大切にする気持ちを心配するのか、わからない。
私がそんな疑念を抱きながらウンディーネを見ると、ふふ、口をほころばせながらこう言い放った。
「ふふ、アリアちゃん、あなたその顔、わかってないわね?あなたを心配する理由なんて、決まってるじゃない。アリアちゃんが、大切だからよ。」
隣にいるシルフも、ウンディーネと同じような顔をしながら頷いている。私が、大切。他人のことが大切なんて、変なの。やっぱりみんなは、私と感覚が違う。…私は、この感覚を…いつか理解できる時が来るのかな?
「アリア、なんだ、ウンディーネの気持ちがわかんねぇのか?はは!ばか言え。お前なら、理解することぐらい簡単だろ?」
なにを言ってるんだろう。私…私は、みんなとまず持ってるものが違うけど…
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「アリア、今の言葉と、この言葉だけは、記憶から消さずに覚えておきなさい。
違うからって、わかり合えないわけじゃない。自分のことと、そして他との関わり。あなたが存在する限り、大切にするのよ。」
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今、のは…。私は、目の前の精霊に目を向ける。
「?どうしたの?アリア。エニーの言う通り、あなたなら理解できると、私もおもうわよ。」
…私が、言われた言葉を大切に記憶に残しておいていたなんて、不思議なものだ。
他の存在を、理解する。役目を果たすうえでも、これは、大切かもしれない。
3人が楽しそうに喋っている中、私は、理解することを目指してみようかと思い始めていた。
穢れなき世界に生まれた私は(執筆中止中) 優月アリア @Ariai
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