最終11話 禁裏紫宸殿・天皇即位式
◎テロップ 永禄三年(1560)正月
永禄三年正月27日、禁裏紫宸殿にて正親町天皇の即位式が挙行された。
その即位式警護に、三万の兵を禁裏周辺に配し、三好長慶・義興父子が衣冠束帯姿で、御所の北御門から紫宸殿に参内した。
三好長慶は四位以上であるからして黒、義興は五位であるからして緋の衣冠束帯。
ナレーション「正親町天皇の即位式が、永禄三年正月27日、ついに執り行われた。この日、三好長慶・義興父子は、即位式警護のため、北御門から御所に参内した」
義興「御所に参内するのは、初めてでございますが、何と素晴らしく、晴れやかなことでございましょう。この紫宸殿の厳かさにふれ、感無量にございまする」
長慶「うむ。白砂の前庭の輝きも神々しいことよ」
義興「御父上、紫宸殿の左右に植えられている樹は何でございましょう」
長慶「左に見えるのが右近の橘、右に見えるのが左近の桜よ。橘と桜で対をなしておる」
義興「おおっ、帝がおわされました。あれ、高御座に!」
黄櫨染御袍姿の正親町天皇が高御座で杓をとって南面す。
命婦が御帳をかかげ、香を焚き、即位式一連の儀式が進む。
日華門から入場切手(即位式観覧券)を持った入場してきた庶民がざわめく。
(この当時は、庶民にも天皇即位式の拝観が許され、紫宸殿庭上には多くの庶民が群れをなした)
長慶父子、伊勢貞孝の子、貞良とともに天皇の御前の香台のきわまで罷り出て警護。
伺候の栄に浴す。
ナレーション「帝の即位式の警護及び伺候の栄に浴し、三好長慶の権威は、朝廷からも認められた。ここに、三好家は足利一門に並ぶ家格を得、三好長慶の阿波、讃岐、淡路を拠点とする「環大阪湾政権」ともいうべき三好政権が名実ともに成ったのである」
――了
TVドラマ脚本「龍の時代」 海石榴 @umi-zakuro7132
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます