第10話 飯盛山城
◎テロップ 飯盛山城
飯盛山城に攻め上がる三好軍。
かかり太鼓が鳴り響き、喊声が湧き起こる。
ナレーション「飯盛山城は標高316メートルの山頂にある。この要害の飯盛山城に立て籠った安見直政を長慶が大軍を率いて果敢に攻め立てるや、またしても直政は城から逃亡し、大和の国に身を潜めた」
〇飯盛山城本丸
三好長慶、落城したばかりの飯盛山城を視察する。
その隣には、鎧兜に身を固めた松永久秀の姿。
そこかしこに、甲冑姿の武者や雑兵ら敵兵の遺骸が横たわる。
久秀「まずは勝ち戦にて、祝着に存じまする」
長慶「うむ」
久秀「皆の者、勝鬨じゃ。勝鬨をあげよ」
久秀、太刀を抜き、天にかざして「エイエイオーッ」と勝鬨をあげる。
勝鬨の嵐、三度、湧き起こる。
長慶「ときに、我らが河内で転戦しておる間に、京の都から尾張の織田、美濃の斎藤のご両所をはじめ、越後の長尾景虎どのも国許に引き返したとか」
久秀「左様にございます。我らの目論見どおり、国許に兵を返しましてございます。なにせ、隣国に敵を抱えており、京に長居はできぬ者ども。これにて、帝の即位式警護は我ら三好が牛耳ることになり、天下の副将軍たるお屋形さまの独壇場と相なりましょう。まさに、狙い通りとなり、めでたいことにございまする」
長慶「うむ。帝の即位式警護は三好の誉れよ。立派につとめ、一世一代の晴れ舞台とせねばなるまい」
久秀「しかも、禁裏に参内し、昇殿ご奉仕、主上ご近侍と相なれば、その前に、幕府も朝廷もお屋形さまの官位を相応なものに引き上げざるを得なくなるは必定。帝の即位式を真近に控えた今、まもなく警護伺候にふさわしい叙位任官のお沙汰がございましょう」
ナレーション「この久秀の見通しは的中した。年改まった永禄三年正月、長慶らの叙位任官が立てつづけに行われた。長慶は管領代ともいうべき相伴衆に昇進し、従四位下・修理大夫に叙されて桐紋を拝領、塗輿の使用を許された。また、嫡男の義興は正五位下・筑前守に任官した」
●つづく。
次回は、禁裏紫宸殿の天皇即位式に、場面展開。
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