第9話 河内・高屋城
◎テロップ 永禄二年五月 河内・高屋城
鉄砲の轟音、陣鼓、陣貝が鳴り響き、敵味方の喊声が谺する。
三好二万の軍勢が高屋城を攻囲し、総がかりで攻め立てている。
三好軍旗指物である三階菱釘抜き紋が波のごとく揺れ、攻撃の激しさを表す。
ナレーション「永禄二年五月、三好長慶は朝廷に対して、河内鎮撫の名目で、即位式延期を願い出て、これが認められた。すかさず長慶は、芥川山城から出陣し、河内守護の畠山高政に謀叛を起こし、河内騒擾を引き起こしている河内守護代・安見直政を攻め立てた」
安見直政が籠る高屋城全景。
それを果敢に攻め立てる蟻の群れのごとき三好軍。
〇三好軍本陣に場面展開(夜)
篝火が煌々と焚かれる三好軍陣中。
その本陣幔幕内で、上座の床几に三好長慶と河内守護の畠山高政が座す。
下座には松永久秀、畠山家臣らが居並ぶ。
◎テロップ 永禄二年(1559)8月、高屋城
ナレーション「三好長慶が河内守護の畠山高政とともに、謀叛人の安見直政が立て籠る高屋城を二万余の大軍で攻め立てること、すでに二カ月。戦局はもはや圧倒的兵力の三好軍に大きく傾いていた」
◎テロップ 畠山高政
高政「謀叛者の高政め。主君たるわしを高屋城から追い出し、河内を乗っ取るとは、まさに外道の所業。許せぬ。それにしても、三好どのの此度の援軍、誠にかたじけないことでござる」
長慶「なんの。河内隣国の和泉は、わが領分にござる。河内鎮撫は、その和泉の国を守るためでもござる。高政には紀州・根来寺の僧兵どもが加担しており、看過できませぬ。ともに、直政、そして根来寺の坊主を討ち、河内の国に平穏をもたらしましょうぞ」
そのとき、物見の兵が駆け寄り、長慶に注進に及ぶ。
物見「申し上げます。高屋城の兵、城を続々と抜け出しておりまする」
長慶「我らの攻撃に怯え、ついに逃げ出しおったか。して、いずこの方角に?」
物見「大和川を越え、丑寅方面に逃げておりまする」
それを聞いた高政、床几から立ち上がり、長慶に言う。
高政「三好どの、丑寅の方角には飯盛山城がござる。あやつ直政は、おのれの居城・飯盛山城に向かって逃げておるのじゃ」
長慶、松永久秀に向き直り、下知を下す。
長慶「すぐさま追い討ちをかけよ。この機会に飯盛山城も攻め落とすのじゃ」
久秀「はっ」
ナレーション「河内の高屋城を落とした三好長慶は、河内守護たる畠山高政を本城の高屋城に入城させた。次の目標は、安見直政が逃げ込んだ要害・飯盛山城の攻略であった」
●つづく。
次回は飯盛山城の攻防シーンに、場面展開。
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