満ち足りた悩める心

幸せな居場所を持った主人公、だからこそ生まれる強く純粋な悩みが美しい作品。

現代を生きる多くの人が自分の居場所を見つけられないでいるのではないかと思う。気付けば終わる毎日に辟易して、それこそこんな風に四季の変化の対応や家族のことに腰を据えて悩む暮らしに憧れているのではないだろうか。私は読んでいてこの暮らしに、主人公の語りに憧れた。だって私は今の自分の暮らしだってこんな馴染を持って話せない。

読み進めるとこの作品の主人公は居場所に対して責め苦を感じ、桜の色の中に罪悪感を見ていた。

身勝手な私は恥ずかしかった。この主人公の何がいけないことがあるのか。居場所とはこんな美しい心を持った人にこそふさわしいものだった。それにくらべ自分を顧みずに居場所は求める。なんて恥ずかしいことだったのだろう。求めるならばまず周囲の人が居場所を与えたくなるような美しい心を持たなければならないのだと知りました。

良い作品に感謝します。

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