Happy Ending

もも

Happy Ending

 ねぇねぇ、だからさっきからごめんって謝ってるじゃん。本当、勝手にプリン食べちゃってマジでごめん!あれでしょ、金曜日の仕事終わりにご褒美で食べようと思ってたんだよね。

 知ってるよ。めちゃくちゃ準備頑張ってたの、見てたし。夜中まで資料作って大変そうだなって思ってたもん。しかもあのプリン、3丁目のいつも行列が出来てるお店のヤツでしょ?君、早起き苦手なのに朝イチで出掛けてたから「僕よりもプリンの方がいいんだ」て、ちょっと嫉妬したもんね。だから、すんごい楽しみにしてるのわかってたけど、僕の方を見て欲しくてつい食べちゃった。へへ。

 お詫びにと思ってこの部屋、掃除してたんだけどさ。なんで僕からのプレゼント、リボンも解かずに捨ててたの?あ、誤解しないで欲しいんだけど、全然責めてないよ?単にどうしてかなーと思っただけ。せっかくだから開けてみてよ。今、ここで。君の驚く顔が見たくて、僕頑張ったんだから。ちなみに何だと思う?ヒントはねぇ、愛です。て、何言わせんの。テレる。さ、開けて開けて。そんな緊張しなくても大丈夫だよ、絶対嬉しいヤツだから。もしかしてドキドキしてる?震えちゃって可愛いな。本当可愛い。好き。

 わぁ、めっちゃびっくりしてくれた!プレゼント作戦大成功!て、中身ぶちまけてるよ。そんなドジなところもいいよね。

 正解は、君に付きまとっていた男の指詰め合わせセットでした~。イエーイ。君って人は僕という彼氏がいながらあんなヤツとベタベタベタベタ。何か理由があったんだよね。わかってるよ。彼氏面して朝から晩までそばにいられて、本当はイヤだったんでしょ。「助けて」て心の声が僕にはちゃんと届いてたから。いつも怯えた顔で周りをキョロキョロ見てたもんね。もう大丈夫だよ、約束させたから。証拠の動画がコレね。   

「彼氏みたいな顔してごめんなさい」

「近付いてごめんなさい」

「いたいいたいいたい」

「電話してごめんなさい」

「隣に座ってごめんなさい」

「一緒に買い物に行ってごめんなさい」

「笑いかけてごめんなさい」

「いたいいたいいたいいたい」

「触ってごめんなさい」

「家に行ってごめんなさい」

「キスしてごめんなさい」

「全部全部ごめんなさい」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 指10本分謝らせてみたよ。もっと早くこうしたら良かった。愛があるから何でもできるよ、僕。これからはもっと頼って欲しいな。彼氏だし。へへへ。さっきからずっと泣いてるのは安心したからかな。泣き顔も可愛いよ。本当にたまんないや。これからは僕がずっと、ずーっとそばにいるからね。絶対幸せになろうね。

 ねぇ、大好きだよ。

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