貌のない人魚、波濤を超え輪廻する

正統派の怪奇譚である。
遠洋漁業という状況下では、偶か異様な
体験をする事もあるのだろう。
 昏く深い海嶺の果てには一体《何》が
息づいているのか。それを想うと
空恐ろしくなる。荒濤の波頭を越えて
現れる人知を超えた《モノ》達は、
殺生与奪と輪廻とを経験し、ある日突然
人の領域へと侵蝕して行く。
 妖しの《モノ》に名を呼ばわれる
恐怖とは如何なるものか。

深く昏い海の底へと成す術もなく沈んで
行く様な、そんな心持ちでもあるの
だろうか。