共依存Ⅰ

　この物語を読み終えた時、それまで自分が息をつめていたことに気付きました。それ程心に迫るものがあったのです。

　タイトルから察せられる通り、ここに描かれるストーリーは、決して心温まるものではないとは思います。ですが、間違いなく心動かされるストーリーです。

　リアルを感じることが出来ます。「人」という、リアルを。

　

支配関係をテーマにした作品。

「僕」の母親は「玲ママ」に支配されている。
そのことに「僕」は苦しそうで、一方玲は自由気ままだ。
そんな玲に誘われて、深夜を二人で過ごす。

その時玲の提案したことが、支配の輪の均衡を微妙に崩す。
主人公はその時支配からの脱出を果たすのである。

子どもの繊細な視点から描かれるオトナの世界が絶妙。
静かな成長を描く、自己形成物語。オススメです。