肉親の死という、ともすればありきたりになりがちな作品ですが、素直な視線によって実に心情豊かに見事に表現されています。ごくシンプルな文章でここまでできるのだな、と作者様のセンスを羨ましく思います。透明感、という言葉が思い浮かびました。おすすめです。
完全なるノンフィクションである以上、易々と書けるレビューでもないのですけれど……。著者様とお婆様の、とりわけお年を召されたお婆様のご様子が主に描写されます。それが、お婆様が亡くなられる前の著者様の記憶とバランスよく展開されることで、読者の胸を打つだけの現実感を生み出しています。フィクションでは描けない、著者様のお心の温かさ、身近な方の老いていくご様子などが、多面的に描かれており、他人事とは思えない節もあります。著者様のお婆様のご冥福をお祈りいたします。
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