三途の川のほとりから始まるボーイミーツガール。

 まず初めに、私はあまり恋愛モノを読みません。理由はあまり乗れないから。でも、この作品はそんな私でも一気読みしてしまう程に面白かった!

 夜の街で飛び降りようとしている少女と映画好きの少年が出会い、映画を通して、それまでただのクラスメイトだった二人の関係が少しずつ変わっていく。うん、この時点でエモいですね。

 そして、そのエモい関係性を余すことなく読者へと伝える美しい言葉選び。いや、美しい響きの言葉とかそういうのではなくて、主人公である慎君の年相応で目の前の状況に対して彼の心そのままに語られるこその美しさ、という意味でとても秀逸だと感銘を受けましたね。

 また、作中で扱われる映画語りもまた秀逸。私も作中で取り上げられている映画全てを網羅している訳ではないですが、知りえる範囲で言えば、作者様が自身の作品を好きなのと同じくらい映画が好きなのだろうと感じましたね。そして、映画が物語に更なる深みを与え、二人が変わるキッカケを与える。良い。

 正直、なんで長いこと私は一章を読んだだけで終わっていたのか。初めから読み返しましたけど、過去の私を殴りたくなるほど面白かったです。

 さて、そんな本作ですがあと一話で最終話だそうです。この素晴らしい作品の最後が一体どうなるのか、楽しみにさせていただきます。

 ではでは皆さん。ぜひ一度、この作品を手に取ってみてはいかがでしょうか?

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