かっちゃんの笑顔 後編

ゆい! おはよう!」


 あっ! かっちゃんだ。

 朝の通学路で偶然に会う。


「おはよう! ゆい!」


 かっちゃんのお姉ちゃん、私と同い年の圭ちゃんも一緒だ。


「おはよう……」

 

 わたしの気分は沈んでいます。


 学校に初めて掛けてきためがねがすごい恥ずかしいの。


 二人の方が見られないです。


「わあ、ゆいがめがね掛けてる。可愛いな」


 かっちゃんの一言。


「わあ! イメチェンだね。ゆいによく似合ってるよ」


 圭ちゃんの一言。


 嬉しいな。

 

 学校に行くの嫌だったけど、私は二人の言葉で大丈夫になってた。


 魔法みたい。



       ◇



 だいぶ慣れためがねで、かっちゃんを見るとね。


 少しだけ。

 近くに見えるんだ。

 それに気づいたら恥ずかしくてモジモジしちゃう。

 しかも、かっちゃんの大きな瞳がはっきり見えて、かっちゃんの視線がしっかり感じられて、余計に恥ずかしくなる。


「ねえ。ゆい

「……うん。なっ、なあに? かっちゃん」


 かっちゃんは太陽みたいにあったかい笑顔で笑った。

 明るくって、すごくまぶしいな。


「めがねをかけた結も、かけてない結もだいすき〜」

「だ、だいすき……」


 きっと今のかっちゃんの『だいすき』って言葉は好きなアニメとかといっしょの種類だと思う。


 ……だけど。


「ありがとう! すっごく嬉しい」


 そんなかっちゃんが私も大好きで。

 かっちゃんの言葉ひとつで、わたしの不安も不機嫌も飛んでいっちゃうんだ。


 いつかわたしのこと、かっちゃんには、もっと違う『だいすき』になってもらえたらいいな。





                          おしまい♡



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

眼鏡越しのきみの笑顔 天雪桃那花(あまゆきもなか) @MOMOMOCHIHARE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ