半分が優しさなら、もう半分はとりあえずで出来ている。


 私は生まれてからずっと「とりあえず」でやってきた。
 両親もとりあえず出会って、とりあえず産んだみたいだし、そんなものだ。
 何ら問題ないと思ってとりあえず突き進んだが、やっぱりダメな時もあるみたい。




 ここまで「とりあえずさ」と向き合った作品はあったろうか。
 何事もとりあえずである。偶然と妥協とノリの産物だ。
 そんな野放図な計画がそうそう上手くいくはずもなく、主人公はとりあえずに振り回されていく。

 ではとりあえずだとまずいのか、という話かと言うとそうでもなく、縁もゆかりもとりあえずから生まれるものだと教えてくれる。
 この作品を読めたのも作品をとりあえず検索したからだし、レビューするかどうかを決めたのも確証がないからとりあえず(!?)だし、
 それがどういう影響を起こすのかもやっぱりとりあえず動かないと分からない。

……そういう気楽さがある作品に出会った。