第18話 最終話 北川と加奈の関係はどうなるのか?
「それで、それでどうなったの?」
北川が島根で久米の面会をした次の日、仕事の後で加奈は、北川のアパートに来ていた。北川もまだ職務復帰したばかりで、6時には帰れていた。加奈には久米の自供を余すことなく伝えた。
「そっか、久米さんは奥さんを守りたかったんだね。二人は山崎大臣にお父さんを奪われて、復讐もしたくなるよね。煙幕は誰の犯行か分からなくするためだよね?」
久米の自供では、煙幕は加奈の推理が半分当たっていた。山崎勇作への復讐なのだから、公衆の面前で犯行を行いたかった。自分も良く知るSPの動きを抑制する為の煙幕で、捕まるのは覚悟の上での犯行だった。
「もう一つ、久米の奥さんでニュースがあるんだ。自供後に任意同行を求め、自宅へ行った捜査員は直ぐに気づいたんだ」
「なに、なに?」
「久米の奥さんは身重だったんだ。妊娠初期なんだけど、女性のベテラン捜査員が何か月ですか?と尋ねたところ二か月ですと言ったらしいよ。彼女の場合は理由も理由だし、刑もそんなに重くないんじゃないかな?」
「久米さんは重くなるの?」
「久米は結局のところ殺人は犯していないが、計画的殺人になるからな。大臣の悪事も出て、情状酌量も期待できるはずだよ。俺もこうして生きてるしな。山崎大臣は辞任に追い込まれるのは間違いないだろうな。特捜部も動くそうだから山崎大臣には、何かしらの罰は与えて欲しいよな」
「そんな大臣を護ったのは北川君だけどね」
二人は笑い合いながら、北川の作った豚の生姜焼き丼目玉焼き乗せを一緒に食べた。
長雨の続いた今年の梅雨も明け、夏の紫外線が容赦なく降り注ぐ七月二週目の週末、横浜の山下公園に北川は加奈と来ていた。レジャーシートに、加奈の作ってくれた弁当を広げ横浜の海の匂いを感じながら。
「あっ。北川君、私たちの事を梓に伝えた?」
「連絡先も知らないから何も言ってないよ」
二人はまっ良いかと笑いあった。
了
二人のSP 大和 真(やまと しん) @ysf40neo
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