陰キャでも、恋をするんです。

@-kyouka-suigetu-

第1話 高校生です。

 きっちりとボタンをしめた紺色のブレザー。汚れ一つない真っ白なシャツ。そこに赤色のリボンをつけたら一気に高校生らしくなった。


 中学生の時は、リボンやスカーフがない地味な制服だったから、ちょっと嬉しい。


 私は鏡の前に立って念入りに汚れやシワをチェックした。


「行ってきます!」


 ひざ下丈のスカートを風になびかせて、学校へと向かう。


 ひらひらと散る花びらが私の鼻をさわって、くすぐったい。


 今年も桜の季節がやって来ました。


 ……こんにちは。柊沙羅、今日から高校生になる至って普通の女子です。


 ああ、ついにこの日が来てしまった。


 そう、私はいわゆる「陰キャ」「コミュ障」という部類に入る人間なのです。だから知り合いがほとんどいない環境でやって行けるのか、今から心配でお腹をこわしそう…



 学校に着きました。

 クラスと名前が書いた紙が張り出されています。


 うーん。人がいっぱいいて見えない。


 ここはみんなのジャマにならないように移動しようかな。


 私のクラスは、1年3組。

 とりあえず教室に向かってみます。


 ――― とにかく怖い。キョウシツ、ハイレナイ。

 なんか初日から陽キャたちが盛り上がっています。


挨拶とか、した方が良いのかな。

でも、誰も気づいてくれなかったらそれはそれで恥ずかしいよね…


私、こんなところで何を迷っているんだろう。


 すると後ろの方から声がして…


「さや〜!一緒のクラスじゃん!」


 私に声をかけてくれた彼女は紫苑陽菜。中学生のとき、唯一仲が良かった友人です。


 私とは反対の性格ですが、仲良くしてくれます。


「陽菜ちゃんが一緒のクラスで良かったよ。」


 ひとまず安心した。


「っていうか私1番前の席!最悪ー。沙羅って後ろから2番目だよね。しかも速水くんの隣。いいな、羨ましい!」


 速水くん……?誰だろう。聞いた事がない名前だな。


「速水くんって、誰?」


 素直に気になって聞いてみたら、陽菜ちゃんはびっくりしたように目を見開いた。


「え!?中学のとき同じクラスだったよ!

 そうだったんだ。確かに、そんな名前の人がいたような…


 すると、隣に座ったのは、ちょっとクールそうなイケメン男子。ちょっと焼けた肌に色素が薄い瞳、綺麗な二重は思わずジーッと見てしまう。

ちょっと、話しかけづらそう。


「この人が、速水くんだよ。」


 陽菜ちゃんが声を小さくして話す。


 陽菜ちゃんの声に速水くんが反応した。


 マズイ、聞かれてた?


「おー!陽菜じゃん!あと、柊さんもいる!よろしく!っていうか、今日から高校生か〜。早く青春したいんだけど!」


 ん?なんかイメージと違う…

 もしかして、速水くんって3枚目キャラ…!?

 

 

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