【KAC20242】扉の向こうにあなたがいた
この美のこ
扉の向こうにあなたがいた
ちょうど蘭は一人暮らしのアパートから脱却し、理想の家を手に入れたいと思っていたのだ。
夢の住宅内見会……そこには煌びやかな未来が待っているような気がした。
内見会場は、静かな住宅街にある立派なマンションだった。
蘭はワクワクしながらエントランスに一歩足を踏み入れた。
扉は重厚でまるで別世界への入り口のようだった。
内見会に来た人たちはカップルが多くて、一人で来ている蘭は少し寂しく感じたが、それでも、ワクワク感で満たされていた。
―― いいなぁ、こんなとこに住みたいなぁ――
蘭は目を光らせて周りを見ていると、そこに現れたのが”住宅コンサルト”の
彼は、にこやかに親しげに蘭に向かって
「ようこそ、初めての内見会ですか?私は、住宅コンサルトの
―うわぁ、タイプ―
と蘭は心の中で思いながら
「はい、初めてです。水谷と申します。よろしくお願いします」と照れくさそうに頷きながら名刺を手に取った。
それからは翔に案内されるまま興味津々で部屋を見て回った。
「この部屋は明るい陽ざしが差し込むリビング。こちらがキッチン。最新の設備が整っています」
翔の説明に耳を傾けながら、蘭は心の中で夢を膨らませていた。
この住宅で彼との幸せな日々を過ごす……そんな未来が目の前に広がっているように感じ夢心地だった。
「水谷さん……水谷さん」と呼ばれ、我に返った蘭は苦笑するのだった。
「このマンション、お気に召しましたか?マンションは大きな買い物ですからゆっくり検討して色々聞きたいことがあったら、いつでもご連絡ください。これは僕のスマホの番号です。連絡待ってます」
そう、笑いかける翔がスマホの番号を書いたメモを蘭にそっと渡した。
内見会が終わり、蘭は帰り道でふと思った。
もしかしたら、この翔との出逢いが私の未来を変えるかもしれない……。
【KAC20242】扉の向こうにあなたがいた この美のこ @cocopin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
おしゃべりな昼下がり/この美のこ
★333 エッセイ・ノンフィクション 連載中 224話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます