夜に読め。できれば、雨の夜に。

そしてできるなら、灯りを消して、窓を開けて。
暗い中、モニタの光だけで、雨の音と匂いを感じながら読んでみてくれ。

そうしたらもうあんたはこの作品世界の住人だ。

固いシートの感触にがたがたするサスの感触。雨の夜道の暗さ。
緊張した主人公の息遣い。

そしてーー。

……いや、その先はあんたが自分で確かめてくれ。10分かそこらの時間くらい、自由にならないわけでもないだろう?


おれはひとつだけ、後悔してることがある。
こいつを、真っ昼間の電車の中で読んじまったってことだ。