人生……否、ペン生なんて、そんなもん。ゆるく生きて、大正解。

 なるほど、目印は青い足環か。すまん、携帯は携帯しない主義なんだ。……え? それは中の人じゃないかって? それは15年以上も前の話だ! おっと、失礼。何の話をしていたんだっけ? あぁそうそう。アプリの話だ。
 お互いを見分けるのに、今では必須な足環。本当に昔は一体どうやってお互いを判断していたんだ? 背に腹は代えられない。というか、背水の陣だ。相手もいないというのに、巣穴だけは作っている。プロフィールをざっと再確認すると、まぁまぁ可もなく不可もなく、といったところか。いや、選り好みできるほど私に時間は残されていないんだ。行動あるのみ!
 いや、これはぜひとも言わせてほしいのだけれど。誰だって、苦手なものの一つや二つくらいあるだろう。それが私にとって、南極出身の大きなペンギンだったというだけの話である。え? そんなことを言っているからマッチングアプリにまで足を出す羽目になったんだって? フリッパーではたいてやるからちょっとこっちに来なさい。
 水族館よりは陸続館の方がいくらかましか……そんなことを考えながらマッチングした相手は、同族だった。やったね。(まだこの先どうなるかはわからないけれど
 ……ちょっとお耳をふさいでもよろしいか? マシンガントークっていうか、マシンガンを私に浴びせているような気がするのでね。百歩譲って、避けはしないでやるから連射性能をもう3段階ほど落としてはくれまいか。……と思ったけれど、案外悪くないのかもしれない。
 こう……ほら、あれだ。……くぅ語彙力のなさが悔やまれる……。からのまたマシンガン……。
 そして、たどり着いた目玉の展示、ニンゲン。
 これは……なんとも珍妙ないでたち……。木に登れない猿……気にはなるけれど、それは猿といえるのだろうか。飛べるペンギンみたいな……なんだろう、今すごく深い傷を負った気がする。それよりも、ニンゲンだ、ニンゲン。
 なるほど……驚きの連続で声も盛大に出てしまったけれど、中々興味深い種族なんだな。
 翌日届いたお祈りメッセージ。陸族館……あのオスにとっては特に驚きもしなかったのだろうけれど、私からすれば新鮮な感動の連続で、その温度差に思わず苛立ちを隠せない。

 十年後、ペンギン文明の滅びの時。本当に守るべきはペンギンの住む地だったにもかかわらず、何を勘違いしていたのか氷が解けるなんて異常事態、聞いてない。
 え? 多種が淘汰されていく中で私が長生きできた秘訣? 運が良かっただけ。
 周りに合わせることを良しとせず、型にはまった生き方をひらりとかわしていたら、今日まで生きてこれたというだけのこと。無欲、とはまたちょっと違う。惰性、とも多分違う。
 そんな私でも運がなかったと思えるのは、オスや卵を孵す等、いわゆる型にはまった生き方だった。むしろ、そんなものこちらから願い下げだ。
 その日暮らしで何が悪い。それくらいラフに構えていなければ、明日はやってこない。何はともあれ、自分に正直に生きるっていうのが長生きの一番の秘訣なのかもね。