【オリジナル脚本】無次元の時計【短編】
鳥宮 悠羽佑
【オリジナル脚本】無次元の時計【短編】
タイトル:無次元の時計 執筆日:2024年2月27日
シナリオセンターで書いているオリジナル脚本
原稿用紙10枚分:約10~15分の短編 or 作品冒頭 or 作品の一部シーンの切り出しのような形
脚本の読み方は特殊なので、こちらを一読して頂けると幸いです。
https://kakuyomu.jp/users/animaarca777/news/16818023214175603705
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【登場人物紹介】〈名前+(年齢)+簡単な人物紹介 or 職種〉
ハイト(35)月の盗賊団・副団長
ダンク(37)月の盗賊団・頭領
サーキス(38)影の盗賊団・頭領
ギード(60)洞窟の案内人
グリフ(24)月の盗賊団・剣士
ケリー(22)月の盗賊団・占い師(女)
アクア(20)水竜に変身する守り人(女)
【あらすじ】
月の盗賊団のハイト達は、グラハム王国の大臣から依頼を受け、紫水晶の洞窟の水竜を倒し、伝説の魔道具・無次元の時計を手に入れようとしていた。
以下、本文
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無次元の時計
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○紫水晶の洞窟・中間地点
紫水晶が多く存在し光を放つ洞窟内。
ギード(60)に連れられハイト(35)ダンク(37)ケリー(22)グリフ(24)と月の盗賊団員2人が歩く。
ケリーが持つ水晶が青白い光を放つ。
ハイトN「俺達はグラハム王国の大臣から依頼を受け、紫水晶の洞窟の水竜を倒し、伝説の魔道具・無次元の時計を手に入れようとしている」
突然、ビュッと風を切る音。
ダンク「危ねぇッ!」
ダンクがグリフとケリーを突き倒す。
ケリー「きゃっ!」
矢が地面に突き刺さる。
グリフ「⁉ す、すまねぇ」
ハイトとグリフは驚愕の表情。ケリーとギードは怯え、ダンクが洞窟の斜め上方を睨む。
ダンク「て……てめぇは……サーキス‼」
洞窟上方の暗がりの岩場に立つサーキス(38)が下方の地面に下り立つ。
ギード「ひっ……ひぃえぇ……」
サーキスはニヤリと笑う。
サーキス「久しぶりじゃねぇか……ダンク!まさかオメェが護衛をしてるとはなぁ」
ダンク「護衛……?何の事だ?……お前ら、先に行け‼」
ハイト「兄貴、すまない!行くぞっ‼」
サーキス「行かせるかよっ!」
サーキスは複数の矢を同時に放つも、ダンクがキンキンッと剣で弾く。
サーキスは剣を抜き、猛烈な速度で突撃。ダンクがその剣を受ける。
○同・地底湖前
ギードに案内され、ハイト達は奥に進む。紫水晶だけでなく所々に緑や青の水晶も点在し始め、雰囲気が変わる。
狭い通路の奥を進むと、広大な地底湖があり、人工的な石の橋が現れ、地底湖の奥にある島に、神殿がある。
○同・中間地点
ダンクとサーキスの剣がぶつかる。
ダンク「テメェ!目的は何だ⁉ケリーか⁉」
サーキス「あぁ、さっきの占い師の女か……あいつには興味ねぇ……俺の目的は皇帝の落とし子……」
ダンクは目を丸くする。
ダンク「あ?何を言ってる……?」
サーキス「……クハッ!ハッハッハ!何だ⁉知らなかったのか⁉とんだ頭領だ」
サーキスは小馬鹿にして笑い飛ばす。
ダンク「ハッ⁉」
ダンクは舌打ちして、サーキスの攻撃を回避しながら、洞窟奥へ向かう。
○同・地底湖・神殿前
ハイト達はギードに案内され、神殿の手前に到達。水面から水飛沫が高く上がり、水竜が現れて雄叫びを上げる。
ハイト達は驚愕し武器を構える。
水竜は島に上陸し、牙を剥いて攻撃してくる。ハイトとグリフ、盗賊団員2人が剣を抜いて応戦。
ハイト「ケリー達は下がれっ!」
ケリーとギードは後ろに下がり、怯えた様子。
○同・中間地点と地底湖の中間
案内がないダンクは、別の道に進んでしまう。その様子を見たサーキスはニヤリと笑い、先回りする。
× × ×
ダンクが進むと、前方からサーキス。
サーキス「クックック」
ダンク「……鬱陶しい野郎だ……」
突如、サーキスが煙幕弾を投げる。
ダンクは舌打ちし、突撃、そこで糸に引っ掛かかる。すると罠が発動し、金属製の網に捕らわれてしまう。
ダンク「しまった!迷彩魔法で隠したか!」
サーキス「じゃあな!」
サーキスは火炎魔法をダンクに向かって放ち、先に行ってしまう。
○同・地底湖・神殿前
ハイトが水竜を剣で突き刺すと水竜は苦しそうに後ろに下がり、アクア(20)に変化し倒れ込む。一同、驚く。
ハイト「な……、何だと……?」
アクア「う……、この先に進んではいけない……無次元の時計に触れるんじゃない!」
ギードがハイトに近付く。
ギード「化け物の言う事に耳を傾ける必要はありません。さっさと手に入れましょう」
ハイトは素直に聞き入れ、
ハイト「お前ら、行くぞ」
と指示。ハイト、ケリー、グリフ、盗賊団員達は神殿内に入る。
○同・神殿内・奥のフロア
18個の西洋風の灯篭が円形に配置されている。中央に縦長の猫の目のような装飾が施された蒼い球体が置かれ、その周囲には人力で回す棒が4本出っ張っている。
ハイト「……何だ?無次元の時計はこの中に納められているのか?」
ギード「左様でございます……。私(わたくし)がこれから言うように操作して下さい。まず、反時計回りに球体を回し、今は正面を向いている球体を、反対側に向けて下さい」
ハイトとグリフ、盗賊団員の2人が言われた通り、棒を回す。
奥に近付く程重くなり、球体が160度程回ったところで音を上げる。
ハイト「おい、どんどん重くなってこれ以上はキツいぜ……」
ギード「ふむ……まぁ十分でしょう。奥から2番目の灯篭に球体が向きましたね……。では、私が合図したら、2番目の灯篭に内側から火を点けて下さい」
ギードは2番目の灯篭の外側に回る。
ギード「では、火を点けて下さい」
ハイトは言われるがまま、火炎魔法で2番目の灯篭に火を点ける。
灯篭が並ぶ内側にハイト、グリフ、ケリー、盗賊団員2人が入っている。
ブンッと音が響き、球体から蒼い光が球状に発生し、辺りを覆い尽くす。
ハイト達は時間が停まったかのようにほぼ静止。ギードが周囲を歩く。
○同・灯篭の内側の空間
ハイト達は異変に気付かず、ギードに話しかけようとする。ギードの動きはまるで早送りのように高速。
ハイト「なっ⁉こ……これは、罠か⁉ま、まさか!この部屋全体が無次元の時計そのものだったというのか……⁉」
全員が蒼褪め、ざわめく。ハイト達は灯篭の外に脱出を試みるもバリアのようなものに弾かれて脱出できない。
○同・神殿内・奥のフロア
ギードから見たハイト達は、非常にスローで若干動いている程度。速度は通常の約9分の1。ギードには滑稽に見え、笑いを堪える。サーキスが到着。
サーキス「首尾は?」
ギード「御覧の通りです……」
サーキスは隠し持っていた小さな魔法の槍を取り出す。サーキスが構えると槍は通常サイズの大きな槍に変化。
非常に禍々しい形状の槍。
外から見て、ハイト達が灯篭の火を消そうと動き出したが、非常にスローで中々動き出さないように見える。
サーキス「クックック……鈍(のろ)いなぁ……」
ギード「その槍が、全ての魔法を無効化するというオーヴィルカの槍ですね?」
サーキス「そうだ。これを外側からこの空間内に投げ込んでも、無次元の時計の効果は無効化され、通常の速度で飛んで行く」
サーキスは槍を振りかぶり、グリフに狙いを定め、ニヤリと笑う。
サーキス「奴等からすれば、音速を超えた一撃になるってぇわけだ。避けようがない」
ギード「そもそも、内側から火を消しても、即座に無次元の時計が停止するわけではありませんからねぇ……クククッ」
サーキスとギードは「クックック」と嫌らしく嗤う。サーキスがオーヴィルカの槍をグリフ目掛けて投げ飛ばす。槍が灯篭内の空間に入る。
○同・灯篭の内側の空間
空間内に入って来た槍は、衝撃波と共にグリフに向かって突き抜ける。
黒い影にグサッと突き刺さる。
槍が突き刺さったのはハイトの胴体。激しく出血し、グリフの顔に血がかかる。グリフは目を見開く。ケリーや盗賊団員2人も驚愕の表情。
○同・神殿内・奥のフロア
罠から抜け出し、ようやくこの場に到着したダンクが、その瞬間を目撃。
ダンク「ハイトォオォォッ‼」
外側から見たハイトは、非常にゆっくりと出血し、倒れていく。
サーキス「何ィ⁉あの速度に反応しただと⁉」
サーキスはギリッと歯軋りする。
ダンク「クソッ!これが無次元の時計だと……⁉おのれ……サーキィースッ‼」
怒りの表情のダンクが、サーキスに斬りかかる。ギードは驚き後ろに引く。
サーキスがダンクを迎え撃つ。
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実はこちらのエピソードと関係するお話です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330669730822761/episodes/16818023212095019641
展開を小規模にして、ハイト以外のキャラクター名を変更して脚本にしました。
いつか小説の方でも書こうと思っていますが、だいぶ先になりそうだったので脚本化。
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【オリジナル脚本】無次元の時計【短編】 鳥宮 悠羽佑 @animaarca777
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