後編: 「解き明かされる秘密」
摩天楼の影は薄れ、夜の空は徐々に明けゆく色へと変わり始めていた。杏子と美沙子は、亡霊の忍者に遭遇した路地を離れ、安堵の息をつきながら歩みを進めていた。しかし、心の奥底では、起きた出来事の意味を理解しようと葛藤していた。
「あの忍者、一体何だったのかしら…?」美沙子が小さな声で尋ねた。
杏子は考え込むように前を見つめ、「私たちを試したのかもしれない。でも、なぜ?」と疑問を投げかけた。
彼女たちは、伝説の忍者が摩天楼の影に現れる理由を探求する決心を固めた。学校へ戻る前に、地元の図書館を訪れ、この街の古い記録を調べ始める。時間が経つにつれ、ふたりはこの街に隠された古の秘密に辿り着いた。
かつて、この地には忍者が守護していたという伝説があった。しかし、時代の変遷と共に、その存在は忘れ去られ、摩天楼にその姿を変えた。忍者の魂は、自分の存在意義を失い、答えを求めて夜ごと彷徨っていたのだ。
「だから、『切れ味を試してもいいか』と聞いてきたのね。私たちの勇気を試したわけだ…」美沙子が納得したように言う。
「そして、『あなたには、切れない』と答えたことで、彼は解放されたのかもしれないね。」杏子が付け加えた。
その夜、ふたりはもう一度、忍者の亡霊が現れた場所を訪れた。星が瞬く空の下、彼女たちは静かに忍者への感謝を込めて祈りを捧げた。すると、かすかな風が吹き抜け、彼女たちの周りを温かく包み込む。それはまるで、忍者からの最後の感謝の印のようだった。
「ありがとう、私たちに勇気を教えてくれて。」杏子がつぶやいた。
「あなたも、もう安らかに…」美沙子が続けた。
その瞬間、遠くの摩天楼の頂上に、一筋の光が射し込んだ。それは新しい日の始まりを告げる光であり、忍者の魂がついに安らぎを見つけた証だった。
杏子と美沙子は手を取り合い、新たな日々への一歩を踏み出した。彼女たちの心には、恐怖を乗り越え、困難に立ち向かう勇気が刻まれていた。そして、彼女たちは知った。人は誰でも自分の内なる声に耳を傾け、真の勇気を見つけ出すことができるということを。
終わり
後編では、杏子と美沙子が経験した試練の意味と、その背後にある深い歴史を解き明かしました。この物語を通じて、彼女たちは自己成長を遂げ、読者にも勇気と自己発見の大切さを伝えます。
切れ味試していいですか? 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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