本当に怖いのは、人ならざるものか人間か

主人公の出雲は、ある有名人のゴーストライターを務めることになる。

出版社の命を受けて山村へ向かった出雲が、古い旅館に足を踏み入れると、まるで何かを警告するかのように、黒電話が鳴りだした。そして、不可解な自殺があったことを聞かされる。

身元不明の老人が首吊り自殺をした話など、自分には関係のないことで、ただ、怪奇小説家としては興味がある。その程度だったが——出雲自身も気付かないうちに、事件に巻き込まれていく——。


執筆をするために山村を訪れたはずなのに、とんでもない仕事を任されてしまう場面があります。自分だったら絶対にできないなと思いました。怪異よりも、その仕事の方が怖いです。

タイトルから感じられるように、おそろしい物語ですが、不可解な首吊り自殺、奇妙な風習、密室に持ち込まれた死体、怪しい怪談師、などミステリー要素が多めの作品です。

最後まで読んで、人ならざるものと人間、本当に怖いのはどちらでしょうね……? と思いました。

ミステリーは、最後に謎解きがあって「なるほど」という展開が多いのですが、この物語はそう簡単にはいきません。ミステリー好きの方にオススメしたいです。

そして最後は、気になるあの人の正体も明かされて、スッキリしました。おそろしい出来事がたくさん起こりますが、読後感の良い小説です。

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