夜のバーにまでわざわざ出てきておいて、それでも自分の世界に浸り、「とある日課」に没頭していく主人公の「わたし」がどことなくかわいいし、可笑しい。風景描写も人物描写も見事でものすごく惹き込まれた数分間でした。こだわりやわがまま、プライドなど……男が大切にしていそうなものが散りばめられていて、絵画や音楽に通じるような言外の不思議な味わいに満ちた小説です。
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