知的な駆け引き
- ★★★ Excellent!!!
『大食礼賛。すなわち、名探偵のガストロノミー』
なんて魅力的な美食ミステリーでしょうか。
フィアー・フライという主人公の設定がまず素晴らしく、22歳の元詐欺師が探偵として活躍するという発想に心を掴まれました。
「胃袋が勝手に膨らんでいく」という謎の現象が、感覚と???のトリックが見事です。
普段ミステリーを見ない私でも腑に落ちる展開でとても楽しめました。
フィアーが編み出す「フィアー式美食術」の描写がとても楽しく、オレンジ色のサングラスやハッカ油といった具体的なアイテムで五感をコントロールする発想が独創的で読み応えがあります。
幼馴染ラズリーとの掛け合いには、笑いました。
料理への愛情と謎解きの楽しさが両立した内容でした。
『月と6シリング』
前章とは趣向を変えた心理戦の妙が光る、スリリングな作品ですね。
フィアーの詐欺師としての過去が活かされた、より深みのあるストーリー展開に引き込まれました。
登場するキャラクターが本当に魅力的で、フィアーを上回る狡猾さと知性を持った相手として申し分ありません。
「月の土地販売」という現代的な詐欺を題材にした設定が秀逸で、パーティでの潜入調査のシーンは一気に読みました。前章に引き続き、知的な駆け引きが存分に味わえる、読み応えのある内容でした。
続きが楽しみです。