その男、「元」詐欺師につき
- ★★★ Excellent!!!
舞台は1919年ロンドン。主人公は「元」詐欺師、現職は探偵のフィアーという男。
その他人を巻くような舌の回り具合、慎重さとはかけ離れた大胆な行動の数々は、現役の詐欺師も顔負けなのでは?という立ち振る舞いですが、
謎解きとなると一転、その観察眼やロジックを解き明かす口上は本物です…!
謎解きの面白さはもちろん、緻密な時代背景に加えて、キャラクターの生き生きとした描写力も魅力的です。
彼らはこの物語世界で生きている。コミカルな会話劇の中に光る、登場人物一人ひとりの深さが秀逸です。
ミステリーとしての奥深さを味わいつつ、彼らの賑やかな一幕を覗き見て、クスリと笑えるような御作品です。