お父さんの思いが心に沁みる、ユーモアと愛にあふれた家族ドラマ

テンポがよくユーモアのセンスが抜群で、読みながらついつい笑ってしまう。ニートで引きこもりで体重88.8kgの娘を思うお父さんの気持ちが、切なく、滑稽で可愛らしい。
娘がハマっている未知の世界を戸惑いながらも理解しようとする努力も涙ぐましく可笑しく、その包み込むような愛情が(笑いながらも)心に沁みてきます。
お父さんが見守る娘の志帆が素晴らしく魅力的なキャラクターです。もしかしたら暗くなりがちな題材が、彼女の明るさによって救われています。
同時に彼女が抱えている傷の深さも感じ、何重の層にもなった人間の心が描き出されています。だからこそシニカルで現実的な言葉がその口から出るとき、悲しいほどの説得力があるのです。
お父さんの思い、娘の思いが不器用に絡み合った先にどんな結末が待っているか、ぜひお確かめください。
ユーモアと愛にあふれた家族ドラマです。