俳句『転』

めぐりゆき次も共にと忘れ雪

※めぐりゆき つぎもともにと わすれゆき


「黄色い水仙、見せてくれてありがとう」

「どういたしまして。この間のプラネタリウムも楽しかったね。次はまた、星空を見に行こうか。それとも、映画とか?」

「ありがとう。嬉しい。……でも」


でも?


「星空と、星が大好きなのに、大丈夫? 誘ってくれるのは、すごく嬉しいよ。だけど……」


だけど。

そうか、伝えたのは、君だけを誘うよ、だけだったから。


僕の気持ちを、全部。


ちゃんと、言わなくちゃいけないんだ。


そうだよ、僕は。

星が、好きだ。

星空も、好きだ。

プラネタリウムは素敵だけれど、本物の星に勝るものはない。

黄水仙は、星に形が似ているだけ。

映画は、家で一人でみるもの。


……だったけれど。


君となら、星も、星空も。プラネタリウムも、花や、映画だって。


そう、こんなふうに、雪の降る空も。


……雪?


「雪。三月も、半ばすぎなのにね」

「前にも一緒に、雪を見たよね。プラネタリウムの帰りに。あのとき言ったこと、覚えていてくれた?」


「覚えてる。忘れないよ。すごく、嬉しかったの。プラネタリウムも、黄水仙も、今も」


「ありがとう、僕も嬉しいよ」


嬉しいな。


少しだけ、待っていて。

今度こそ、ちゃんと言うからね。


「あの雪の日は、君だけを誘うと言ったけど。誘うだけじゃないから。だから、僕と、ずっと、一緒にいて」


「きちんと伝えてくれて、ありがとう。すごく、嬉しい。これからも、ずっとだね」


笑顔の君は、とてもかわいい。


そんな君を見ていたい。


そう。次も、その次も。

ずっと、いっしょに。



※ゆき、には、雪、と行きを掛けております。

めぐり、は巡り。ここに俳句のお題『転』を入れました。


季語は、「忘れ雪」。春の半ばを過ぎた、ふり終わりの雪のことです。

ゆき、と忘れ雪。二人の行きを詠みたくて、このようにしております。

前の雪は、こちらの句の雪です。

https://kakuyomu.jp/works/16818023213952318523/episodes/16818093073227582384


星が大好きな人は、星が大好きな人を好きな星好きな人も、いつの間にか、大好きになりました。

たくさんの方に『星』の俳句を読んで頂けましたからこそ、きちんと『転』を迎えられた二人です。



お読み頂きました皆様、そして、自主企画主催者犀川よう様、俳句のお題出題者ネコ?様には厚く御礼を申し上げます。


誠にありがとうございました。

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俳句『星』たち 豆ははこ @mahako

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