ナイフを持った男

魚市場

ナイフを持った男

「それで、どうなんだ?」

彼の右手に持っていたナイフがぎらりと光った。

「ところで、君の肉は本当に美味しそうだな。」

そう言うと彼は肩のスジにナイフを押し当てた。私は緊張で思わず唾を飲み込んだ。気がつくと手の震えが止まらなくなっていた。

「あの、その…」

うまく言葉が出なかった。

「宜しくお願いします!」

勇気を出して言った。

「本当かい? 嬉しいな、ありがとう!」

ウェイターが、ステーキにピッタリのワインを持ってきた。

「聞いてくれ、僕たち夫婦になるんだ!」

彼は、ウェイターに向かって嬉しそうに言った。私も嬉しかった。

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ナイフを持った男 魚市場 @uo1chiba

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