天地黎明-Force of Blizzard-

第15話

ー監視台ー

ブリザード「…全員、来てるな…？」

飛那世「はい、問題なく…」

櫻「…それじゃあ、もう行っても

良さそうかな…？」

神野「油断しないで、状況を

見てからでも遅くはない…」

優来「そうだね…凍歌、

今はどうなってる…？」

凍歌「…正面に十数人、

右側、左側はそれぞれ7人程度…」

永遠「となれば正面はお兄ちゃんと

華途葉、神野さんで行けばいいかな…」

飛那世「では、左側は凍歌さんと

優来さんにお願いしましょうか。」

櫻「なら、右は私と飛那世、

永遠で行こうか。」

神野「いい…？速攻で

ケリをつけるわよ…」

ブリザード「分かった…長期戦では

奴らに対して分が悪いしな…。」

凍歌「奥の奴らに気づかれないうちに

終わらせるのが理想かな…？」

華途葉「えぇ…敵の人数が

揃う前であればある程度は

やれるはず…。」

ブリザード「分かった…じゃあ、

もう行くぞ…。」

神野「…了解！」

永遠「みんな、死なないでよ…！」

凍歌「言われなくても…っ！！」

バギュゥン！！

敵兵「ぐ…っ！？」

敵兵「っ…敵襲！敵襲…ッ！！」

バキュンバキュンバキュンバキュン！

凍歌「おりゃぁぁぁっ！！」

敵兵「ぐはぁぁぁぁっ！！」

敵兵「敵勢力は…奴らだ、

ついに奴らが来た…！」

敵兵「っ…敵は少数ながら

精鋭、全部隊の出撃を

要請する…！」

優来「遅い…！！」

バキュンバキュン！！

敵兵「ぐは…っ！！」

敵兵「応援、到着した…！」

凍歌「早いな…けど…」

凍歌「全員揃う前にやってやる…！」

敵兵「舐めるな…我々の

力を思い知れ…！」

凍歌「…破邪悲…っ！！」

ジャキイン

敵兵「っ…破邪悲だ、伏せろ…！！」

敵兵2「な…っ！？」

凍歌「う…りゃっ！！」

ザシュンザシュンザシュン！！

敵兵「ぎゃぁぁぁっ！！」

凍歌「っ…はぁっ！」

ボガァン！！

敵兵2「ぎゃぁぁぁぁぁっ！？」

優来「よし、いいぞ…このまま！」

敵兵「させるかよっ！！」

バキュンバキュン！

優来「く…っ、危ない…！」

凍歌「優来！大丈夫？」

優来「うん、私はなんとか…

けど、それより…」

凍歌「分かってる、今は目の前の

奴らを始末する…！」

敵兵「死ね！！」

バギュゥン！

凍歌「ぐ…っ！！」

優来「凍歌！」

凍歌「私は問題ない、それより…」

優来「うん、一人一人に

警戒しながらやらないと、

足元掬われるからね…！！」

バギュゥン！

敵兵「ぐっ…！！」

敵兵2「ぐっ…だが、敵は所詮

囲んでしまえば箱の中の鼠も

同然よ…！！」

敵兵「は…っ！」

優来「…まずい、囲まれたよ…！」

凍歌「けど…これなら、逆に

こっちの方がチャンスだよ…！」

優来「え…？それはなんで…？」

凍歌「簡単だよ…この位置関係なら

破邪悲の円形斬撃で全員殺れる…

もちろん、それが私にできるなら

の話だけどね…」

優来「…それで、それはできるの…？」

凍歌「…やるしかないよ、

今はそう言う状況なんだから…！！」

凍歌「はぁぁ…っ！！」

凍歌「でりゃぁっ！！」

ジャギィイッ！！

敵兵「ぐ…がぁぁぁっ！！」

敵兵2「うわぁぁぁぁぁ！？」

凍歌「これで…終わりだぁぁっ！！」

バギギギ…

凍歌「ぐ…っ…う…ぉりゃぁぁっ！！」

ガギ…ゴキゴキコキィッ！！

優来「な…破邪悲から氷が

吹き出して…」

敵兵「まずい…伏せ…」

バキバキバキィッ！！

敵兵「…」

コキ…

凍歌「…消えて。」

バギ…ッ！

優来「っ…割れた！？」

凍歌「これは…これも、破邪悲の

力なの…？」

優来「…破邪悲にこんな力が

あったなんてね…使用者の特性に

合わせて色んな力を使えるように

なったりするのかな？」

凍歌「まさか。あの破邪悲が

そんなことするとは思えないよ。」

優来「確かに…破邪悲に限って

可能性は低いよね。」

凍歌「うん…だけど、この力を

試す価値はある…。」

敵兵「っ…化物どもがぁぁぁ！！」

バキュンバキュン！！

優来「無駄だっ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

敵兵「がぁぁぁっ！？」

凍歌「…でりゃぁ！！」

ザギュゥゥッ！！

ベキベキベキ…！！

凍歌「よっし…こっちはこれで

終わりだね。」

優来「相手は精鋭みたいだけど、

どうにかなったみたいだね…。」

凍歌「心配だったけど、

どうにかなったみたいでよかったよ…」

優来「みんな、大丈夫かな…？」

凍歌「さ、あとは皆の結果を

待つだけだ…」

優来「とりあえず、私達も

合流しようか…」

凍歌「うん、早いうちに加勢

した方が勝てる可能性も高いしね…」

優来「みんな…無事だといいけど。」

ーー

櫻「ふっ…！！」

バキュン！！

敵兵「チッ…！！」

永遠「飛那世！あっち！」

飛那世「分かってる…！！」

飛那世「でりやァッ！！」

バキュウン！！

敵兵「ぐ…っ！！」

永遠「ぐっ…数が多いな！」

バキュンバキュン

敵兵「ぐっ…！」

敵兵2「オラァッ！」

バキュウン！

櫻「っ…まずいね！」

飛那世「これじゃ埒が明かない、

どうするよ…」

永遠「ぐ…やっぱり敵も精鋭だし

何かしらの手を打たないと…」

櫻「…これは、確実な手を

打たなければね…！」

永遠「確実な手って…！？」

櫻「単純だよ、狙いをを1人ずつに

絞って撃つんだ…！」

飛那世「…そうですね、精鋭とは

言え所詮やることは数で押し切る

ことだけ…数が無くなれば…！」

バキュンバキュン！

永遠「…ただ、これだと

時間がかかっちゃうね…！！」

櫻「うん…でも、これしか

絶対的な手がないからね…！」

バキュン！

敵兵「ぐっ…！」

飛那世「これしかないって

訳ですか…面白い！！」

バキュウン！！

敵兵「がはぁっ！！」

櫻「けど…これなら！」

敵兵「チッ…奴ら、俺らの一人一人に

的を絞って撃ってきてるようだ…」

敵兵2「いいだろう…ならば

こちらも…！！」

バキュンバキュンバキュン！

櫻「…っ！」

永遠「櫻さん…！」

櫻「大丈夫、私はまだ…！」

敵兵「死ね…っ！」

バキュウン！

櫻「ぐ…っ！！」

飛那世「櫻さん！」

櫻「問題ない…こんなもの…！」

バキュウン！

永遠「…あと少しだ、

畳み掛けるよ…！！」

敵兵「まずい…やるぞ！！」

敵兵2「この…っ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

飛那世「遅い…」

敵兵2「え…」

バキュン

永遠「僕も負けてられないな…

うおりゃっ！！」

バキュウン！

敵兵「ぐ…っ！」

敵兵2「が…っ！？」

永遠「…そこっ！！」

バキュウン！

櫻「よし…行ける！」

敵兵「チッ…図に乗るな…

片腕しかないくせに…！！」

櫻「…片腕なんかなくたって

あなた達を仕留めるには十分

なんだよ…！」

バキュウン！

敵兵「が…っ！？」

敵兵2「…このままでは全滅だ…

どうする…！」

永遠「無駄だ…！！」

敵兵「しまっ…」

バキュウン

櫻「ふっ…行けぇっ！」

バキュンバキュンバキュン！！

敵兵「がはぁぁっ！！」

飛那世「死ねェェェッ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

敵兵「ぎゃぁぁぁぁ！！」

飛那世「これで…終わりだッ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

櫻「っ…し、行けたかな…？」

飛那世「そのようです、

私達も早く先に行かなくては…」

永遠「うん、早いとこみんなと

合流しなきゃね。」

櫻「…みんな、無事だといいけど…

うん、きっと大丈夫だよね？」

飛那世「…あの人達は死にませんよ、

それは私が保証します…」

櫻「…そうだね、きっと…勝てるよ。」

ーー

ブリザード「…はぁっ！」

バキュンバキュンバキュン！

敵兵「ぐっ…！」

神野「…そこだっ！！」

バキュウン！

敵兵「がは…っ！！」

華途葉「…こっちが優勢みたいだね、

このまま押し切れば…！」

バキュンバキュンバキュン！！

敵兵「ぐはぁっ…！」

ブリザード「よし、押してるぞ…

このまま突っ切れ！」

神野「うん…！！」

バキュンバキュン！！

敵兵「がぁぁっ！！」

華途葉「うりゃぁぁぁっ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

敵兵2「うわぁぁぁぁ！！」

華途葉「このままだったら

行ける、けど…」

神野「…どうかしたの？」

華途葉「…おかしい、こいつら…

精鋭にしては弱すぎる…」

ブリザード「…どう言うことだ？」

華途葉「統率もまるで取れていないし

他の奴らより強い様にも見えない…」

神野「…ってことは、つまり？」

華途葉「私達はもしかしたら

ここにおびき寄せられたんじゃ…」

ブリザード「…え？」

神野「…まさか、奴らは私達が

ここに来ることを想定して…？」

バキュン！

神野「っ…！」

雪村「…残念ね、計算どおりよ…。」

華途葉「雪村…よりにもよって…！！」

ブリザード「チッ…最悪だよ…」

雪村「アンタらがここに来ることは

想定済み、あいつらはおとりよ…」

ブリザード「…仕方ない、雪村を

ここで殺すしかない…！」

華途葉「雪村をこの三人で

やれるの…？」

神野「やるしかないのよ、

こうなったらね…！」

ブリザード「二人とも、行くぞ…」

華途葉「…えぇ。」

雪村「行くぞ、三下ども…」

神野「…でりゃっ！！」

バキュウン！

雪村「…」

神野「チッ、効いてない…！」

ブリザード「…おりゃぁっ！！」

バキュンバキュンバキュン！

雪村「ふ…っ！」

雪村「はぁっ！」

バキュウン！

華途葉「…ぐっ！」

ブリザード「華途葉、大丈夫か…！」

華途葉「…こんなの、何ともない…」

華途葉「私が今まで受けてきた

苦しみに比べたらね…！！」

バキュンバキュンバキュンバキュン！

雪村「ぐっ…甘い！」

バキュウン！

華途葉「チッ…このっ！！」

バキュウン！！

雪村「ぐ…小癪な！」

バキュン！

ブリザード「ぐ…っ！！」

バキュウン！

神野「ブリザード！」

ブリザード「問題ない、早く

攻撃を…！！」

神野「っ…でりゃっ！」

バキュウン！！

雪村「フン…無駄だ！！」

バキュンバキュンバキュン！

華途葉「っ…まずい！」

ブリザード「…危ない！」

ダッ…！

ブリザード「ぐ…っ！！」

華途葉「…ブリザード！？」

ブリザード「はぁ…はぁ…

華途葉、大丈夫か…？」

華途葉「うん、私は大丈夫…」

神野「チッ…やはり雪村に

勝つのは厳しいの…？」

ブリザード「いや…まだだ、

こんなんじゃ死なねえよ…！！」

雪村「ずいぶんとしぶといのね…

でも、そんなに耐えたところで

無意味なのよ…」

バキュンバキュンバキュンバキュン！

ブリザード「ぐ…がぁっ…！？」

神野「ブリザード…！！」

ブリザード「ぐ…この…！！」

バキュンバキュン！！

雪村「無駄だ…お前に私を

倒すことはできない、永遠にな…！」

バキュウン！！

ブリザード「がはぁぁっ！！」

華途葉「ブリザード…！！」

華途葉「チッ…この…クソアマ

がぁぁぁぁっ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

雪村「ぐ…っ！」

雪村「チッ、何だ…？まるで

狙いが定まってないのに…

命中したぞ…？」

華途葉「…やった？当たったの…？」

ブリザード「…まさか、奴は…」

神野「…どうかしたの？」

ブリザード「奴は強い、それ故に

対峙した敵は強敵ばかり

だっただろう…」

ブリザード「だから、逆に

狙いが定まっていない、弾道を

読めない弾の方が当たりやすい…！」

神野「…でも、それでやれる…？」

ブリザード「一か八かだ、

これしか手はない…！」

華途葉「私はやる、もうそれしか

雪村を殺る手段がないならね…！」

神野「…やっぱり、雪村を

確実に殺る方法なんてないのね…」

神野「…なら、私も…！！」

バキュウン！！

雪村「…チッ！！」

ブリザード「よし…行ける！」

雪村「ぐっ…こんなことで…」

華途葉「…死ねやぁぁぁっ！！」

バキュウン！！

雪村「がはぁぁっ！！」

神野「…これなら…やれる…！！」

バキュンバキュンバキュン！！

雪村「チッ…！！」

ブリザード「行け…っ！！」

バキュンバキュンバキュン！！

雪村「ぐはぁぁっ！！」

神野「これで終わりだぁぁっ！！」

バキュウン！！

雪村「っ…！！」

神野「何…避けられた？」

雪村「お前達の考えていることは

既に理解した…もう同じ手は

通用しないぞ…」

ブリザード「…どうする？

これじゃまた元に戻ってしまうぞ…」

華途葉「ぐ…っ…考えろ…

どうやればあいつに勝てる…？」

雪村「もう諦めたらどうだ？

お前たちでは私には到底

勝てないんだよ…」

バキュウン！！

雪村「っ…何だ？」

永遠「お兄ちゃん…みんな、

大丈夫…！？」

ブリザード「永遠！それにみんな…」

飛那世「嘘だろ？なんでここに

あいつが居るんだ…」

凍歌「あれは雪村…？奴が居るって

ことはここは元から張られてたのかな…」

優来「ありえない話じゃない、

むしろ奴らなら私達の基地を

既に特定していてもおかしくは…」

櫻「え…それって…もしかしなくても

まずいんじゃ…」

華途葉「その話は後でもできる、

今は目の前の雪村を仕留めないことには

どうにもならないからね…！」

ブリザード「あぁ…やるぞ！！」

バキュンバキュン！！

雪村「フン…何人集まろうと

変わらんことだ…！！」

バキュウン

ブリザード「…はぁっ！！」

バキュンバキュン！！

雪村「ぐっ…」

優来「でりゃ！！」

櫻「おりゃぁっ！！」

バキュンバキュンバキュンバキュン！

雪村「が…！？」

華途葉「ふ…っ！！」

神野「おりゃぁぁっ！！」

永遠「死ね…！！」

バキュウンバキュウンバキュウン！！

雪村「ぐはぁぁぁっ！？」

雪村「はぁ…はぁ…ありえん、

私がこんなに苦戦するなんて…」

ブリザード「…」

飛那世「…分かりました。」

雪村「お前…何を話している…

小癪な真似をするな…！！」

飛那世「遅い。」

雪村「え…」

バキュウン！！

雪村「ぐはぁぁぁっ！！」

雪村（今のは…避けられた

はずじゃ…いや、違う、奴は…）

雪村（…私がどこに動くか

予測して撃っていた…？）

雪村（…まさか、奴らが

話していた内容は…）

ブリザード「お前が俺達の動きを

理解できたように、俺達も

お前の動きくらい読めるんだよ…」

雪村「ぐっ…こんなこと…

ありえてはならないのだよ…！！」

飛那世「…お前の負けだ、

お前はここで死ぬんだ…」

雪村「ぐ…貴様…！！」

飛那世「…お前は生まれてきては

ならなかった…せめて、今度こそは…

安らかに眠れ。」

雪村「ハァ…ハァ…っ…クソ…！！」

華途葉「…待って、よく考えたら

おかしいかも…」

ブリザード「…何が？」

華途葉「よくよく考えたら今

あいつの主力は雪村だけ…

なのに、ここに松山あたりじゃなく

あいつがいるのはよくよく考えたら…」

ブリザード「っ…まさか！！」

バキュウン！！

飛那世「ぐっ…なんだ！？」

永遠「っ…あれはまさか…」

神吹「…よう、楽しんで

くれてるみたいだな…？」

ブリザード「ぐっ…やはり…

神吹か…！！」

永遠「っ…神吹だって…！？」

神吹「せっかくだから

俺のことも楽しませてくれよ…？

ククク…フハハハハハ！！」

飛那世「チッ、よりにもよって…！！」

ブリザード「ぐ…まだだ…

もう…ここで…終わらせる！！」

ブリザード「…凍歌！！」

凍歌「…破邪悲っ！！」

ジャキイン…！！

神吹「破邪悲を使うのはブリザード

じゃないか…まぁいい、遊んでやる…。」

凍歌「はぁぁぁぁっ！！」

ボガァァン！

神吹「…はぁぁっ！！」

凍歌「何…」

バキュウン！！

凍歌「ぐ…っ！！」

ブリザード「凍歌！」

凍歌「っ…こんなの…かすり傷にも

なんないよ…！」

神吹「口ほどにも無い…

この程度か？」

バキュウン！！

神吹「チッ…何を…」

ブリザード「…これ以上

お前らの好きにさせるとでも？」

神吹「ククク…面白い、やってみろ…」

ブリザード「でりゃぁぁっ！！」

バキュウンバキュウン！！

神吹「フン…」

ブリザード「っ…今だ！」

神吹「ん…？」

永遠「…でりゃぁぁぁ！」

優来「はぁぁぁぁぁっ！！」

飛那世「はァァァァァッ！！」

バキュンバキュンバキュンバキュン！！

神吹「ぐ…っ？」

ブリザード「はぁっ！」

バキュウン！！

神吹「チッ…流石にまずいか？」

凍歌「…たぁぁぁっ！！」

ジャギィィィン！！

神吹「く…っ！！」

飛那世「先輩…援護します！」

バキュン！

飛那世「ぐッ…何だ…？」

雪村「お前の相手は私だ…」

飛那世「クソ…邪魔をするな…！！」

バキュウン！！

雪村「遅い…！」

バキュン…！

飛那世「っ…まず…」

華途葉「がは…っ！！」

飛那世「っ…華途葉！何を…！！」

華途葉「何って…仲間を

助けるのは当たり前のことでしょ…？」

飛那世「は…？」

華途葉「…どっかの誰かさんが

教えてくれたからね、世の中

クズばっかじゃないんだって…」

華途葉「ずっとこの世界は腐ってる

人間ばかりだと思ってた、けど…

それだけがこの世界の全てじゃない。」

華途葉「だからさ…私も、

こんなバカみたいなことしたい

気分になったんだよね…！！」

バキュウン！！

神吹「何…っ！？」

雪村「神吹様っ！？」

飛那世「でりゃっ！！」

バキュウン！

雪村「ぐっ…！？」

凍歌「ふっ…！！」

バキュンバキュン！！

神吹「ぐふ…っ！！」

ブリザード「敵に隙ができた…いける！」

バキュウン！！

神吹「ぐっ…ガキが…舐めおって…！！」

永遠「うおりゃっ！！」

神吹「ぐ…っ！！」

櫻「いいね…このまま、押し切るよ…！」

凍歌「こうなれば…破邪悲…！！」

雪村「ぐっ…まずい…！！」

神吹「…まぁいい、今日は

ここまでにしておいてやる…」

飛那世「チッ…逃げる気か？」

神吹「決着をつけるべきは

今ではない、行くぞ…」

雪村「…はい。」

永遠「逃がすと思うか…？

やるぞ…！！」

ブリザード「はぁぁぁぁっ！」

ベキィン！！

ブリザード「チッ…！」

神吹「終点に相応しい場所は、

ここではない…。」

神吹「我々の本拠地で待っているぞ…

せいぜい、早めに行くんだな…」

華途葉「っ…待ちなさい…！」

雪村「…邪魔。」

バキュウン！

華途葉「ぐっ…！！」

ブリザード「華途葉！！」

華途葉「待て…お前らは、私が…」

飛那世「待って、本当に重症だから

今すぐにでも手当てを行わないと…」

華途葉「私は…大丈夫…だから…ぐ…っ…」

優来「応急処置を…！」

凍歌「…うん！」

ーー

…その後、華途葉はなんとか助かり…

監視台の機能を停止させることに

成功した。

…本来監視台を守っていた舞台の奴らは

どうやらどこかに消えてしまった

みたいで謎が残っている…。

ブリザード「…はぁ、なんとか

終わらせることはできたけど…」

神野「…やっぱり、気がかりなことしか

残ってないわね…。」

飛那世「あいつ、何で私達があそこに

来ることを分かってたんですかね…」

凍歌「…まさか、本当に私達の

足取りを把握してたり…？」

華途葉「だとしたら…基地も

別のところにした方が…」

櫻「ちょ、華途葉安静に

しててって…！」

華途葉「…ダメ、どうも

落ち着かないの…。」

櫻「もう…気持ちは分かるけど

傷口が開いたらどうするの…」

華途葉「…けど、私…

こうしてないとなんだか不安で…」

ブリザード「…確かにな、

神吹があそこに来ること自体

おかしいことだし…」

神野「あいつは本来進んで前線に

出るタイプじゃないのにあそこに

出た事自体がありえないものね…」

永遠「…それじゃ、足取りを

追われてる可能性だって

大いにあるわけか…」

優来「…そうだね、奴らなら

やってきてもおかしくない…

いや、やってない方が不自然だよ…」

ブリザード「…分かった、それなら、

必要な荷物以外を置いて

ここから出よう…」

ブリザード「それで、もし奴らを

倒したらここに荷物を取りに行くんだ…」

永遠「…いいね、そうしよう…。」

凍歌「…そう言うの、面白いね…

うん、あいつらを倒すのが

楽しみになってきたよ。」

ブリザード「…もちろん、簡単な

ことじゃないし、次の戦いは

知っての通り死ぬ可能性の方が高い…」

ブリザード「…それでも、ついてきて

くれるか…？」

飛那世「…当たり前ですよ。」

神野「何のためにここまで来たと

思ってるの…？」

永遠「もう、振り返ることはないよ…

ここまで来れたんだ、今更

戻る理由なんてあるかな？」

ブリザード「あぁ…そうだな。」

ブリザード「みんな…最後まで

頼むぞ…。」

凍歌「うん…これが、最後だね…」

櫻「…今思えばここまでよく

頑張ったよね、私達…。」

華途葉「そうね…ほんとに長かったけど

とうとう終わりなのね…なんか、

性じゃないけどしみじみとしてきた…」

優来「確かに、散々苦労してきた

からな…でも、それももう終わりなんだ…」

ブリザード「ああ、もう少し苦労を

かけることになると思うが

よろしく頼むぞ…。」

飛那世「えぇ、こちらこそ…」

ーー

ブリザード「…」

太陽が辺りを照らして温かい

陽気に包まれている…。

…これで、ようやく終わるんだ…

やっと、この10数年の痛みに

ケリをつけることができるんだ…。

…みんな苦しんできた、そして

俺の知らないところで奴らに

苦しめられてる人もいる…。

…もう、誰も苦しまなくていい

世界に変えるんだ…。

ブリザード「…」

優来「…いい夕焼けだね。」

ブリザード「うぉっ…」

ブリザード「優来…居たのか、

びっくりした…。」

優来「ふふっ、面白い

反応するんだね…」

ブリザード「…驚かせないでくれ。」

優来「あはは、ごめんごめん…」

ブリザード「…全く、ここ最近で

図太くなったか…？」

優来「ふふっ…どうだろうね…？」

ブリザード「…はぁ。」

優来「…にしても、ようやくここまで

来れた実感が湧いてきたよ…。」

ブリザード「そうだな…やっとだよ、

この時をどれだけ待ち望んだことか。」

ブリザード「…17年もずっと

苦しめられた、ずっと…

追い続けていた。」

ブリザード「長かったけど

とうとう終わりなんだ、もう…

俺も苦しまなくていいんだ。」

優来「そうだよ…もう、私達は

苦しまなくていいの…もう

苦しむのはこれで終わり。」

優来「…あまりにも犠牲を

払いすぎてしまった、でも…

もう、誰も死なせはしない…。」

ブリザード「…そうだ、柳太郎や

影浦…みんな死んだ、だけど…

それが今の俺らを作ってる。」

ブリザード「あいつらの人生が

無駄じゃなかったことを証明できる

のは俺達しかいない…」

ブリザード「だからこそ、俺達は

神吹に勝たなければいけない…。」

ブリザード「…俺達が受けた痛みは、

永遠に消えるものじゃない…それでも、

俺達は負けない…」

ブリザード「手に入れたいのさ、

この先の未来を、光り輝く世界を、

1度でいいから見てみたい…そうだろ？」

優来「うん…こんなことばっかで

もう嫌になってくるけど…

少しは道のりが見えてきたかも。」

ブリザード「…懐かしいな、

昔は…俺らも何も分からなくて、

ただ苦しみ続けるだけだった…」

ブリザード「…でも、少しは

楽しかったよ…。」

ーー

ブリザード「…。」

櫻「ね、ねぇブリザード…また

一人で依頼を受けたの…？」

ブリザード「…あぁ。」

櫻「あ、危ないでしょ…

大丈夫なの…！？」

ブリザード「…心配はいらない、

俺は一人でもやれる…」

ブリザード「今は金が必要なんだ、

一つでも多く殺しをしなきゃ

いけないんだ…。」

櫻「でも…一人じゃやっぱり

危険だよ…次からは私も…」

ブリザード「…いらない。」

櫻「え…？」

ブリザード「櫻さんには櫻さんで

やることがあるんだろ？だから

必要ない…。」

櫻「そんな…待ってよ…！」

ブリザード「…。」

優来「ね、ねぇ…ブリザード…」

ブリザード「…何だ？」

優来「よかったら…たまには一緒に

ご飯でも食べない…？」

ブリザード「…俺はいい。」

優来「…私、寂しいんだよ…

ブリザード、最近冷たいじゃん…」

ブリザード「…別にいいだろ、

特に変わったわけでもないし…」

優来「…変わったよ！」

ブリザード「…え？」

優来「…だって、昔はもっと

優しくて…冷たくなかったのに…」

優来「私のせいなの…？

私が…ブリザードを追い詰めたから…」

ブリザード「…それは、違う…」

優来「じゃあ、どうして…？」

ブリザード「…俺は、許されちゃ

いけないんだよ…」

優来「え…？」

ブリザード「俺がもっとしっかり

してれば柳太郎も死なずに済んだ、

凍歌も居なくならなかったはずだし…」

ブリザード「何より、優来にだって

こんな苦労をかけずに済んだ…」

ブリザード「こんな俺じゃ誰も

許しちゃくれない、俺は

苦しみ続けるしかないんだよ…」

優来「そんなこと…どうして

決めつける必要あるの…！？」

ブリザード「だって…俺は、

みんなに数え切れないほど迷惑を

かけた、だから…合わせる顔が

ないんだよ…」

優来「迷惑なんて…

思ったことないよ…！」

ブリザード「え…？」

優来「それに…帰る場所なら

ここにあるから…」

ブリザード「優来…でも、俺は…」

優来「ブリザード…そんなに

背負い込まなくていいの、私達は…

私は、ブリザードのこと助けたいって

思ってるから…大丈夫…」

ブリザード「優来…俺は…」

優来「…これからも辛いことはある、

一人だと乗り越えられないかも

しれない…だけど、私は二人で

一緒に乗り越えたいの。」

優来「少しでも…ブリザードの

力になりたいの。」

優来「だから、お願い…。」

ブリザード「…本当にいいのか？」

優来「うん…ブリザードじゃなきゃ

ダメなんだよ、私は…」

ブリザード「…ありがとう。」

優来「…それじゃ、行こう…？」

ブリザード「…分かった。」

ーー

ブリザード「…あの頃は、俺達も

若かったよな…。」

優来「そうだね…あの時はみんな

大変だったのもそうだし、

まだ何も知らなかったよね…」

ブリザード「あぁ…けど、今の俺は

あの時の弱いままだった過去の

俺とは違う…。」

ブリザード「今ならきっと神吹

だって倒せるよな…」

優来「うん、絶対倒せるよ…！」

ブリザード「あぁ、今は凍歌に

神野さんもいる…それに破邪悲だって

あるんだ、昔とは訳が違う…。」

優来「…うん，まだ不安要素は

あるけど…行けると信じる

しかないね…。」

ブリザード「…何があるかは最後まで

分からない、けど…やるしかないよな。」

ブリザード「柳太郎、見ててくれよ…

俺、絶対勝ってみせるから…」

優来「…うん、きっと…

私達ならできるよね。」

優来「うん…信じてるから。」

優来「だから…見ててね。」

ーー

雪村「…ハァ、どうするのよ…

これじゃあいつらに負けるじゃない…

私達の計画はどうなるの？」

神吹「問題ない…計画は、

予定通り進んでいる…」

雪村「は…？こんなんで

大丈夫なの？このままじゃ

あいつらに負けるってことも…」

神吹「計画は予定通りに

進んでいる、何も心配

することはない…。」

雪村「…それでも、もし計算外が

あったとしたら…？」

神吹「問題ない、因果律は計算通り

狂い始めている…計画はこのまま

進める。」

雪村「ハァ…それで大丈夫なのかしら。」

神吹「問題ないさ…全ては…

計画通りさ。」

神吹「…」

…これで、ようやく俺の長年の

悲願が叶うんだ…

…俺の渇きはこれでようやく

満たされるんだ…長かった…だが…

これでようやく解放される、

満たされない苦しみが…

ようやく終わりを迎えるんだよ…

舞台装置はこれで全て整った…

あとはそれを実行するだけ…

神吹「さて…雪村、行くぞ…」

雪村「…もうそんな時間なのね。」

敵兵「神吹様…お待ちしておりました、

こちらへ…」

神吹「あぁ、頼んだ…。」

神吹「…待っているぞ、幼子達よ…」

神吹「死の恐怖を乗り越えた先にある、

絶望の先でな…。」

ーー

神野「さ…みんな、もう準備できた？」

華途葉「うん、私はもう大丈夫。」

永遠「そろそろ行けるかな、

みんな大丈夫？」

ブリザード「あぁ、もうみんな

大丈夫そうだぞ…。」

凍歌「じゃあ、もう出ちゃおうか。」

飛那世「けど…そういや、

どこに行くんですか…？」

櫻「あ、そういえばどこに行くのか

決めてなかったね。」

ブリザード「どうしようか…

奴らの本拠地に近づくか？」

凍歌「それしかないでしょ…

近くで待機してた方が何かと

対応しやすそうだしね…。」

ブリザード「分かった、詳しいことに

ついては良さそうな場所に

着いてから話そうか。」

飛那世「…えぇ。」

華途葉「いきあたりばったりだけど、

たまにはこんなのも悪くはないか…」

永遠「まぁ、もうすぐ神吹との

直接対決にもなるし、あんまり

気は抜けないね…」

ブリザード「…そうだ、もうすぐ…

もうすぐなんだ、みんな…もう、

覚悟は出来てるか？」

櫻「…まだ、気持ちの整理は

ついてないかも…。」

ブリザード「俺も…まだ、

考えたいことはあるかも。」

神野「確かに、次の戦いに

望むには相当覚悟しないと

だし、どうしたものか…」

櫻「…それじゃあ、次の戦いまでに

少しの間準備期間を設けない？」

ブリザード「準備期間…？」

櫻「そう、みんながみんなで気持ちを

整理する期間を設けてからでも

遅くないかなって思ってさ…。」

華途葉「…ありね、こちらの居場所が

特定さえされていなければ

何の問題もないわけだし…。」

ブリザード「でも…本当に

上手く行くのか？」

櫻「うん、奴らは私達が拠点を

移動することまでは読めないはず…

あんまり時間は取れないけど

するべきことはできるはずだよ。」

神野「なら…やる価値はあるわね。」

ブリザード「じゃあ…明日からそれを

実行に移す、みんなもそれでいいか…？」

優来「…うん。」

飛那世「やるだけやって

みましょうか…。」

ブリザード「分かった、それで

決定でいいな…？」

永遠「うん、大丈夫だよ…」

ブリザード「…でも、具体的に

何しようか…気持ちの整理と

言っても、それをどうやって

つけるべきか…」

櫻「まぁ、気持ちの整理と言っても

簡単につけられるものじゃないし

とりあえず遊んでみたりするのが

一番じゃないかな…。」

ブリザード「…確かに、それが一番

効果的かもな…。」

華途葉「でも、大丈夫なの…？

神吹が迫り来るかもしれないのに

そんな遊んで奇襲されたりとかしたら…」

櫻「うーん、それはそうだけどな…」

華途葉「…でも、気持ちの整理を

つけるためだものね…そんなこと

考えるだけ野暮か…。」

ブリザード「…と言っても今日はもう

夜だしもう寝ようか…」

優来「…にしても、今日は野宿か…

久しぶりだな…いつぶりだろう。」

凍歌「あ、野宿なら私が見張りして

おくよ…。」

飛那世「ありがとうございます、

それじゃ、私達はもう寝る準備に

入りますので…」

凍歌「うん、おやすみ！」

ブリザード「なぁ、俺も見張りを

しておくよ…。」

凍歌「いいの？見張りなんて

一人いれば十分だと思うけど…」

ブリザード「…俺がやりたいからさ。」

凍歌「うん、それじゃよろしく。」

ブリザード「…あぁ。」

それから…少し時間が経って、

凍歌に話しかけてみることにした。

ブリザード「…なぁ、凍歌…」

凍歌「…どうしたの？」

ブリザード「…凍歌は、生まれてきて

良かったと思うか…？」

凍歌「私は…うん、生まれてきて

よかったと思ってる、心から…」

凍歌「私は所詮模造品でしかないし、

イレギュラーが起きたことにより

生まれた存在に過ぎない…」

凍歌「…でも、こうしてみんなと

過ごして、幸せを享受する

ことができる…だから、私は…

ここに来れてよかったよ。」

凍歌「例えここに私が居ることが

仕組まれてたとしても…私は、

みんなと過ごせてよかったと思ってる。」

ブリザード「そうか…よかった。」

凍歌「…ブリザードはどう？

生まれてきてよかったと思える…？」

ブリザード「…実を言うと俺は

つい最近まで生きる意味を見出す

ことができなかったんだ…。」

凍歌「…それは、どうして…？」

ブリザード「俺はずっと苦しんできた、

神吹に散々な目に合わされて人生

めちゃくちゃだ…それだけじゃない…」

ブリザード「柳太郎、灯華…

みんな、俺のせいで

死んでしまったんだ…」

ブリザード「…それに、父さんも

母さんも…俺のことを助けては

くれなかった…。」

ブリザード「あげく、これだけの

苦しみから世界は開放してくれないと

言ったんだ…」

ブリザード「…もう、全部嫌になって…

全て放り出して逃げたいって

思うこともあったよ。」

ブリザード「でも…悲しいこと

ばかりではなかった。」

ブリザード「華途葉は…俺を

強くしてくれた、櫻さんは

俺に優しさをくれた…」

ブリザード「永遠は俺に愛を

くれた、神野さんは俺に信じることを

教えてくれた…」

ブリザード「飛那世は俺に生きる

理由をくれた、優来はこんな俺のことを

見捨てないでくれた…そして…」

ブリザード「…凍歌、俺は凍歌に

救われたんだ…」

凍歌「え…私に？」

ブリザード「あぁ…凍歌は

自らに課せられた運命にも

めげなかった、いつまでも

強く有った…」

ブリザード「…そんな姿が、

俺に希望をくれたんだ…。」

ブリザード「…本当に、今更だと

思うけど…ありがとうな、凍歌…」

凍歌「…いや、こちらこそ…」

凍歌「私だって、ブリザードが

居なかったらどうなってたことやら…」

ブリザード「…こうして見ると

やっぱり、誰か一人でも欠けてたら

俺はこうしていられなかったんだって

実感が湧くよ…。」

凍歌「…私も、ずっとみんなに

助けられっぱなしだから破邪悲を

使ってみんなに恩返ししないとな…」

ブリザード「…そうだな、俺達は

いつも通り、どんな手を使ってでも…

向かってくる障害を打ち砕く。」

ブリザード「いつもとやることは

変わらない…そうだろ？」　

凍歌「うん…簡単なことだよ、

さっきも神吹相手に善戦

できたんだから…いけるよ。」

ブリザード「そうだよな…

きっと、できるはず…そう信じよう。」

…そうして、しばらくの間

見張りをしながら凍歌と

話し込んだ…。

ーー

…なんだ、これは…

ここは…どこだ？

…。

ひとまず、状況を

調べてみることにする…。

…辺り一面には見たこともないような

花が咲いている…これが

花畑ってやつか…？実在したのか…

いや、これ自体がそもそも俺が

見ている幻想なのか…？

…何なんだろう…夢？にしては

やけに現実感がある。

…あの先にいるのは永遠か…？

…何故か分からないが

そんな気がする…

あそこにいるのは…優来に凍歌…

華途葉に櫻さんも…それに…あれは…

…今、行くよ…

…そう、手を伸ばした瞬間…

…世界が消えていくような、

そんな気がした…

ーー

ブリザード「…。」

ブリザード「…あれ、いつの間に

寝てたんだ…？」

…目覚めた時には既に毛布が

かけられていた…おそらく

凍歌がかけてくれたのだろう。

ブリザード「…あの夢は何だったんだ？」

…まだ、あの夢のことを鮮明に

覚えている…。

何故か俺は花畑の中にいて、

みんなを見つけて、それを

追いかけて…

…ん？

待て…あの夢の中に、神野さんと

飛那世は居なかった…それに…

奴が…俺の夢の中に出てきた…

…葉桜が…何故か居た…。

……あれは、いつのことだ…？

…あれはそもそも、本当に

みんなだったのか…？

本当は、俺は…

永遠「…お兄ちゃん？」

ブリザード「わぁぁっ！？」

永遠「え、今そんなに驚く

ところだった…？」

ブリザード「あ…ごめん。」

永遠「もう10時だよ、お兄ちゃん

結構寝てたね…」

ブリザード「嘘、俺そんなに

寝てたのか…？」

永遠「うん、もうそろそろ

出るから準備しよ…？」

ブリザード「…あぁ、分かった。」

ブリザード「…なぁ、永遠…。」

永遠「ん…？どうかした？」

ブリザード「今日な、不思議な夢を

見たんだ…少し、聞いてくれないか？」

永遠「…うん、いいよ…」

ブリザード「…その夢の中でな、

俺は花畑の中に居たんだ…。」

永遠「花畑…？あぁ、あの御伽話

とかでよく出てくるあれ？」

ブリザード「あぁ…それが鮮明に

現れたんだ…しかも、見たことも

ないような鮮やかな花だった…」

ブリザード「その中に俺は立っていた、

それだけじゃない…」

ブリザード「…そこには、

永遠や華途葉…優来に凍歌、

櫻さんが居たんだ…」

永遠「…待って、飛那世と神野さんは

そこには居なかったの？」

ブリザード「あぁ、不思議なことに

あの二人だけは居なかったんだ…」

ブリザード「…あと、それともう一人…

俺の夢の中に出てきた葉桜と言う

奴が出てきたんだよ…」

永遠「葉桜…？うーん、

どこかで聞いたことあるような

気がするな…何だろ…」

ブリザード「…俺にも分からないんだ、

あいつの正体が何かも…あの夢が

なんだったのかも。」

永遠「…それで、その夢は

どうなったの…？」

ブリザード「…それが、そこでその夢が

終わったんだ…」

永遠「え…？嘘、そんな

短かったの…？」

ブリザード「あぁ…だけど、一つ

分かることはその夢は長いようで

短かったこと、その夢のどこかに

何か欠けたような感覚があったこと…」

永遠「長いようで短かった…

と言うと？」

ブリザード「感覚的には短かった

のだが…実際には長かったんだ…。」

永遠「なるほどな…けっこう

特殊な夢みたいだね。」

ブリザード「あぁ、それだけじゃない…

夢にしては何か生々しいような、

そんな現実味を感じてな…」

永遠「…確かに、何故だか

分からないけど僕にも関係ない

ことだと思えなくなってきたよ…」

ブリザード「…やっぱり、そうか…

俺も、何かそんな気がして

不安なんだ…」

永遠「それに、その欠けた感覚

ってのが何かも分からないし…

けど、夢の中のことなんて

どうやって調べればいいのか…」

ブリザード「…後回しにする

しかないかな…それに、

みんなに言っても信じて

もらえるかどうか…。」

永遠「うん…現状の情報だけじゃ

信憑性も皆無だしね…。」

ブリザード「あぁ…だが、何より

夢の中に神野さんと飛那世が

現れず、謎の男が居たのも

気になるな…」

永遠「そうだな…何かしら足がかりが

掴めたらいいけど。」

ブリザード「…でも、今は手がかりも

ないし探るだけ無駄か…？」

永遠「うん…でも、一応みんなに

話しておいたほうがいいんじゃ

ないかな…」

ブリザード「そうだな、

そろそろみんなの所に行くか…」

永遠「うん、ご飯も食べなきゃ

だしね…。」

ブリザード「それじゃ、行こう…」

永遠「はーい！」

ーー

…その後、みんなでご飯を食べたあとに

例の夢について話してみることにした…

凍歌「ふぅん…随分と変わった夢だな…」

飛那世「お花畑なんて…先輩の

中に眠る乙女が目覚めたんですか？」

ブリザード「…それはない。」

飛那世「ちぇー、そうなんですか…」

神野「…にしても、何で飛那世と

私が夢の中に出てこなかったわけ？

私じゃダメだって言うの…？」

ブリザード「…それは違う…。」

神野「そう、ならいいんだけど…」

永遠（…え、それでいいんだ…。）

華途葉「その話の中で一番

気になったのはその夢の中に出てきた

葉桜とか言う男なんだけど…」

ブリザード「やっぱり、一番の謎は

そこだよな…。」

飛那世「そこが分からないことには

なんの意味もないですしね。」

ブリザード「あぁ…だが、今は

それ以外の手がかりもない…

何かの法則性があるわけでも

なさそうだし、どうなんだか…」

凍歌「でも…手がかりが出るまで

後回しにするしかないんじゃ

ないかな、闇雲に探したって

時間を無駄にするだけだし。」

永遠「…やっぱり、そうするしか

ないんだね…。」

ブリザード「…分かった、じゃあ、

ひとまずこの話はこれで終わりかな…？」

櫻「…ねぇねぇブリザード、

ちょっといいかな…？」

ブリザード「櫻さん…？

どうかしました？」

櫻「実はブリザードに折り行って

頼みがあるんだけど…いいかな？」

ブリザード「いいですよ、

それで…何ですか？」

櫻「ここではあんまり話したく

ないから一旦あっちで話そう…？」

ブリザード「…はい、分かりました。」

永遠「…あれ？どこか行くの？」

櫻「少し、二人で話したいことが

あるからちょっとだけ借りるよ！」

凍歌「はーい。」

優来「話…ってなんなのかな？」

華途葉「…あれ、行かせて

大丈夫なんでしょうね？」

飛那世「大丈夫ですよ、だって

櫻さんですよ？櫻さんに先輩を

襲う度胸があると思います？」

華途葉「おっ…おそ、え、えぇ…！？」

飛那世「…あぁ、その線は

考えてなかったんですね。」

飛那世「全く、華途葉は

ピュアでいいですね…」

神野「おっ…おそ…な…！？」

飛那世「…ダメだこりゃ。」

永遠「え？お兄ちゃんを襲えるの？

いいな…今度僕も同じやり口で

やってみようかな？」

飛那世「いや…やったらダメです

からね？それに櫻さんは先輩を

襲ってるわけじゃないですからね…？」

永遠「え、そうなの…？」

飛那世「…なんで、

分かんないんですか…」

凍歌「…ドンマイ。」

飛那世「…解せないです。」

ーー

ブリザード「それで…頼みって

結局なんだ？」

櫻「実はね…私、神吹との最終決戦前の

前夜祭って言うのをやりたくて…」

ブリザード「…前夜祭？」

櫻「もしかしたら…もしかしたらだよ？」

櫻「この戦いが始まる前が

本当に最後になるかもしれないから…

せめて、最期だけでも楽しい記憶を

残しておきたいからさ…」

ブリザード「…。」

櫻「だから、みんなのために…

やってみたいんだ…けど、反対される

可能性もあるし、ブリザードだけに

極秘で頼みたいんだ…頼める？」

ブリザード「…そう言うことなら

お安い御用ですよ…」

櫻「…えぇっ！？いいの…！？」

ブリザード「…俺も、みんなとの…

楽しい記憶を残しておきたいですから。」

ブリザード「…だって、俺は

死ねないからもしみんなが死んだら

俺の中に残るのは…」

櫻「っ…」

ブリザード「…ごめんなさい、

この話はやめておきましょう…」

ブリザード「…それで、俺は

何をすれば…？」

櫻「とりあえず、前夜祭のための

食材とか…飾り付けとかも

欲しいかな…。」

ブリザード「…となると、大きい

お店に行く必要がありますかね…。」

櫻「うん…だから、少し

遠出になるかもしれないけどいい？」

ブリザード「はい…俺は、

問題ないです。」

櫻「よし、それじゃ…決定だね。」

ブリザード「俺も頑張ります。」

櫻「楽しみにしててね、

当日のためにもう色々考えてるから…！」

ブリザード「…はい、期待して

おきますね…。」

櫻「…うん！」

…前夜祭、か…

…これで、最後にはなってほしく

ないけど…

本当に、これで最後になって

しまうのなら…これが、最後の

思い出作りになるのかな…？

…別れと言うのは寂しいものだ、

それは俺もよく分かってる…

それに、俺は死ねない…だから

その痛み、苦しみを背負って永遠に

行き続けなければいけない…

俺はきっと、狂ってしまうだろう…

…でも、その為に楽しい記憶は

残しておきたい…それが、俺の

最後の希望となるから…

…やっぱり、嫌だな…

みんなに死んでほしくないよ。

大切だから…俺にとっての唯一だから。

失いたくない…けど…

ブリザード「…」

櫻「…ブリザード？」

ブリザード「…なんでもないです。」

櫻「…そっか。」

櫻「じゃあ、もう少ししたら出るから

今のうちに準備しておいてね。」

ブリザード「はい…分かりました。」

ブリザード「…。」

ブリザード「ごめんな、柳太郎…」

ブリザード「俺、そっちには

行けないかも…」

ブリザード「…でも、いつか…

きっと行ってみせるから、その時まで

待っててくれよ…。」

ーー

永遠「ふぁ〜、眠い…」

飛那世「もしかして夜ふかししたの？」

永遠「うん…お兄ちゃんのこと

考えてたら朝になってた…」

永遠「ふぁー…そう言えば、

準備期間っていつまでなの…？」

飛那世「…明確には決まってない

ですね…でも、長くてあと

1週間くらいでしょう。」

永遠「そうだよね…分かった。」

永遠「…」

飛那世「…。」

永遠「暇！」

飛那世「…暇ですか。」

永遠「だって、櫻さんがお兄ちゃん

連れてどっか行っちゃうんだもん、

暇だよー！」

飛那世「…それを私に伝えて

何がしたいの？」

永遠「暇だからさ…なんかしよ？」

飛那世「何かって…なんか

有りましたっけ？」

永遠「銃の整備なんて面倒だし…

かといって何か暇をつぶすものも

持ってないし…」

飛那世「…永遠なら先輩の布団でも

漁ってると思ったんだけど…

しないの？」

永遠「それはもうした…」

飛那世「あ、そうだったの…」

永遠「じゃ、しりとりでもする？」

飛那世「…分かりました。」

永遠「しりとりー！」

飛那世「…りんご。」

永遠「ごはん！！」

飛那世「…はい？」

永遠「…あﾞっﾞ！？」

飛那世「…なにやってんの、全く…」

永遠「…もう一回！！もう一回！！」

飛那世「はいはい、分かってるから…」

優来「…ん？しりとりしてるの？」

飛那世「はい…暇なので。」

凍歌「じゃ、私達も混ざるよ。」

永遠「お、じゃあ私からね。」

永遠「しりとりー！！」

優来「林檎。」

凍歌「胡麻…！」

飛那世「マリナ…」

永遠「納豆ごはん！！」

凍歌「え？」

優来「ん…？」

飛那世「はぁ…」

永遠「…あﾞ！！？」

飛那世「ねぇ…どう言うことです？」

永遠「い、いや…違うの、

最初に思いついたのがそれで…」

凍歌「てか、飛那世の

マリナってなんなのさ…」

飛那世「…すいません、マニフェストと

マリナしか思いつかなかったので

マシなマリナにしました…。」

神野「…誰よその女。」

永遠「お、神野さんもしりとりやる？」

神野「…しりとりなんてガキの

する遊びでしょ…」

優来「じゃあ、やらないの…？」

神野「…やるわよ。」

永遠「お、一人増えたね、じゃあ

私から！」

永遠「しりとり！！」

優来「輪廻…」

凍歌「猫！」

飛那世「コロッケ定食…」

神野「くるみ。」

永遠「みかん！！」

飛那世「…」

優来「あ…」

凍歌「え…」

神野「…はぁ？」

永遠「…あ？」

永遠「…あﾞぁﾞぁﾞぁﾞ！！？」

飛那世「だめだこの人、

早くなんとかしないと…」

永遠「何でよ…もう…！！」

凍歌「何で逆に最後にんが

つくやつを的確に言えるね…」

永遠「だって…まともに考え

られないんだもん…！」

飛那世「いや、考えてから

言っていいと思うけど…」

永遠「仕方ないでしょ、眠いんだから

あんまり思いつかないんだよ…」

飛那世「はぁ、眠いから…」

飛那世「…ん？待って、なんで永遠

眠い状態なのにそんなに意識が

鮮明なの？」

優来「…え？永遠って今眠い

状態なんだ…」

神野「確か、眠いともっと

幼い感じになるのよね…？」

凍歌「うん、どうしてこんなに

ちゃんと話せてるの…？」

永遠「うーん…分かんないけど…

片目を失った辺りから、そう言うことは

無くなった気がする…」

飛那世「え、片目失って逆に

なんで進化してるんです…？」

永遠「…なんか、片目を失ってから

死ぬって言うのがどう言うことか、

実感が湧いてさ…」

永遠「…人生ってのは、

有限なんだって…そのとき、

痛いほど分かったんだ…」

飛那世「永遠…」

永遠「…だからさ、後悔無く

生きようぜってこと！」

神野「永遠…片目を失って、

どうしてそんなに明るくできるの…？」

永遠「…どうしてかって？」

永遠「僕には大切な人がいる

からさ、明るくできるのには

そんな些細な理由で十分さ！」

永遠「さ、暗い雰囲気はもう

お終い、さ、しりとりの

続きでもやるよ！」

優来「え？う、うん…！」

凍歌「…永遠、いつのまにか

こんなに強くなってたんだ…」

飛那世「…失うことが人を強く

することもあるなんて、皮肉ですね…」

凍歌「…そうだね。」

飛那世「ねぇ、凍歌さん…

あなた、死ぬんですか？」

凍歌「…それは、どう言う意味？」

飛那世「あなたは…体の一部を

機械にして、あとの形はクローン…

つまり、人間ってこと…」

凍歌「…あー、なるほど…」

凍歌「…私も、もしかしたら

死ぬかもね…」

飛那世「…やっぱり…」

凍歌「…けど、私は脳みそが

電脳…機械でできてるから、

厳密には体は死んでも脳みそは

死なないかな…。」

飛那世「…なるほどですね…」

飛那世「…あなたも私と同じ、

所詮は人間ってことか…」

凍歌「…そうだね、あはは…」

凍歌「今思えば、なんで私あんな

ことで悩んでたんだろ…何か、

少し馬鹿馬鹿しくなっちゃった…」

飛那世「…私も、です…。」

飛那世「…雪村…いえ、私の…」

飛那世「…決着は、必ずつける…」

永遠（…あれ？何か忘れてる

ような気が…）

永遠（…ま、いっか…）

…その頃、ブリザードの布団にて…

華途葉「すーっ、すーっ…」

華途葉「ん…はぁはぁ…足りない…

もっと…もっとあいつの香りがほしい…」

華途葉「っ…！！」

その後、ブリザードの布団で

うずくまっている華途葉が

見つけられるのはまだ先の話…

ーー

櫻「さーて、探し物は

どこにあるのかな…」

ブリザード「…食品売り場は

あっちです。」

櫻「あ、ありがとうね。」

櫻「じゃ、さっそく行ってみよう！」

ブリザード「…了解です。」

櫻「それで…なにがあれば

足りるかな…？」

ブリザード「ひとまず、パーティー

で食べるようなものでもあれば

いいんですけど…」

櫻「そもそも…私、料理できるかな…？

冷凍食品とかのほうがいい…？」

ブリザード「俺も手伝うので

作りましょう…」

櫻「え？いいの…？ありがとう！」

ブリザード「…んで、結局

何にしましょうかね…」

櫻「…あ、これとかいいんじゃ

ないかな…！」

ブリザード「これは…ケーキですか？」

櫻「うん！1度でいいから

食べてみたくてさ！」

ブリザード「…本来甘いものって

最後に買うものじゃないんですか…？」

櫻「えっ、そうなの…！？」

ブリザード「一応そうらしいですが…

どうします？」

櫻「それじゃ、ここにはまたあとで

来よう。」

ブリザード「そうですね…とりあえず、

奥の方まで行ってみましょうか…」

櫻「うん…さてと、何があるかな…？」

その後、店の奥まで行き食材の

調達をした…

幸いにも、そこにあった食材で

色々な料理が作れそうだ、

これで前夜祭も成功するかな…

ブリザード「よし、これであとは

飾り付けを買えば買い物は

終わりかな…。」

櫻「うん、飾り付けとかが変えるのは

あっちの方だね…。」

ブリザード「早めに終わらせましょう、

荷物を早く置きたいですし…」

櫻「…あ、そうだ…冷蔵庫も

なかったよね？それも

買わなきゃかな…？」

ブリザード「あ、そうですね…

前夜祭までは時間もありますし

俺が買ってきましょうか…？」

櫻「え、いいの…？」

ブリザード「はい、電化製品は

ここから近いでしょうし

買ってくるので買い終わったら

この辺りで合流しましょう。」

櫻「分かった、じゃ私が

飾り付けを買ってくるからまた後でね！」

ブリザード「…はい。」

ブリザード「…」

冷蔵庫…高くないといいが。

ブリザード「…こっちの方だな。」

ブリザード「早めに済ませてしまうか…」

ブリザード「…ん？これは…」

ブリザード「…これも買っておくか、

自費で買えばバレないし

サプライズでやってみるか…」

ーー

櫻「あ、おーい！ブリザードー！」

ブリザード「櫻さん、飾り付けは

買えました…？」

櫻「うん、問題ないよ…ブリザードも

問題無く買えたみたいだね。」

ブリザード「はい…それじゃ、

もう戻りましょうか…」

櫻「…あれ？ブリザードもしかして

何か買った…？」

ブリザード「…あ、流石に

バレましたか…」

櫻「えー何それ、見せてよー！」

ブリザード「…これなんですが…」

櫻「え…これは…」

ブリザード「…電動式のぬいぐるみ

なんですけど…。」

櫻「あ、かわいい…これを？」

ブリザード「はい…自費ですけど

買ってみました…凍歌とか永遠が

喜びそうだなって…」

櫻「ブリザードってこう言う趣味

あったんだね…なるほど。」

ブリザード「…別に俺はこんな趣味

ないですよ、みんなが喜ぶかな

って思いまして…」

櫻「ふぅん…本当かな？」

ブリザード「え…えと…」

櫻「嘘はあまりよくないな…

私にはよく分かるんだよ…？」

ブリザード「は、はい…」

櫻「ねぇブリザード…

本当は？」

ブリザード「…はい、可愛いのが

大好きなので永遠とか凍歌が好きそう

って言うのを口実に買ってきました…」

櫻「ふふっ、正直者でよろしい…」

ブリザード「…」

櫻「さ、ブリザードをからかう前に

帰ろっか…」

ブリザード「…はい、みんなを

心配させるわけにもいかないですし…」

櫻「そうだね、すぐにでも行こう…」

ブリザード「…」

櫻「…ブリザード？どうかした…？」

ブリザード「…あ、なんでもないです…」

櫻「…そう？」

ブリザード「…」

ブリザード（櫻さんは…

誤魔化せないかな…）

ーー

ブリザード「…ただいま。」

飛那世「あ！ちょっと

どこ行ってたんですか？」

ブリザード「少し外に出ててな。」

神野「今しりとりで盛り上がってるから

二人ともやるよ…」

櫻「え…今しりとりやってるの？」

永遠「うん…私は弱いからすぐに

脱落しちゃうけど…」

ブリザード「脱落…？ほんとに

しりとりやってるのか？」

凍歌「今ね、前の人が言葉を

言ったらすぐに言葉を言わないと

脱落になるしりとりやってるの…」

櫻「へー、なにそれ面白そう…！」

ブリザード「…やり方はだいたい

分かった、早速やるよ…」

永遠「お、んじゃ私からね…！」

永遠「しりとり！」

優来「…りんご！」

凍歌「五体満足！」

飛那世「く？く…」

永遠「アウトー！」

飛那世「あー、難しい…」

永遠「それじゃ、くから！」

神野「栗まんじゅう。」

櫻「海！」

ブリザード「みかん。」

永遠「は？」

飛那世「え…えぇ…」

ブリザード「…。」

ブリザード「…あ！？」

優来「な、なにやってんの…」

凍歌「しかも、さっきの永遠と

同じミスじゃん…」

ブリザード「え、嘘…そうなの？」

永遠「うん…どうやら僕達

運命共同体みたいだね…」

ブリザード「…そうなのか？」

神野「んがついたらその前から

スタートだから、はい、じゃ永遠…」

永遠「え…？みかん！」

飛那世「…」

永遠「…？」

櫻「え、それは流石に

ネタでやってるんだよね…？」

永遠「え、だってみか…」

永遠「…あﾞ。」

…その後もしばらくこのゲームは

続いたが俺と永遠が何度も何度も

負け続け、心が折れそうになった…

ーー

ブリザード「…俺、何連敗くらい

したんだろう…。」

永遠「大丈夫だよ、お兄ちゃんより

前にやってた僕はもっと負けてるから…」

ブリザード「…大変だったな。」

永遠「お兄ちゃんこそ…」

ブリザード「…まさか、今になって

しりとりで盛り上がれるなんて

思ってなかったよ…」

永遠「だね…こんな年代になっても

こんなことで楽しめる心は

残ってるものなんだ…」

ブリザード「そうだな…俺達が

案外子供なだけかもしれないが。」

永遠「ま、楽しいなら

それでいいじゃん…」

ブリザード「そうだな…。」

ブリザード「…そう言えば、

華途葉を見てないがどこだ…？」

永遠「そう言えば見てないな…

どこにいるんだか。」

ブリザード「…さぁ、

分からないな…」

永遠「ま、お兄ちゃんの布団でも

漁ってたりしてるんじゃない？」

ブリザード「華途葉がそんなこと

するわけないだろ…」

永遠「そっか、あ、もうお兄ちゃんの

部屋だね…」

ブリザード「あぁ…」

永遠「せっかくだから中に

入らせてよ、悪いようにはしないから…」

ブリザード「はいはい、分かったよ…」

永遠「わーい、ありがとー！」

ガラッ…

華途葉「すーっ…すーっ…！！」

ブリザード「…はえ？」

永遠「え…嘘でしょ…」

華途葉「…？」

華途葉「え、きゃぁぁぁっ！？」

ブリザード「あの…華途葉…

何してるんだ…?」

華途葉「あ、え、えぇっとこれは

その…えっと…あ、えー…」

永遠「…ねぇ、ごまかさなくて

いいんだよ…？」

華途葉「…あぅぅ…。」

ブリザード「…まぁ、華途葉が

何をしようが勝手だが…あんまり

度が過ぎるようなことはするなよ？」

華途葉「はーい…」

華途葉「…あ、そうだ…ブリザード…」

ブリザード「ん…？どうかしたか？」

華途葉「あの夢についてだけど…

もしかしたら、ここの近くにある

古図書館に何か情報が

あるかもしれないの…」

ブリザード「え…？そうなのか？」

華途葉「えぇ…その夢について、

何か糸口が掴めればいいけど…」

ブリザード「なぁ、この夢の正体を

仮に掴めたとして神吹との戦いで

役に立つのか…？」

華途葉「…それは分からない、けど…

とても、他人事には思えなくて…

とても妙なの…」

ブリザード「…俺も、そんな感覚が

してる…確証はないが、おそらく…

この間俺が見た幻と関係が

あるだろう…」

華途葉「あぁ、あの前世の自分か

その強い関係のあった人物が

幻に出てくるってやつ…？」

ブリザード「それを見たのは俺と

飛那世だ…飛那世はあの夢には

出てこなかった、それが何かの

手がかりになるはず…」

永遠「でも…手がかりってのは

それだけなのか…。」

ブリザード「現状それしかないから

そこから考えるしかないな…」

永遠「でも…もしも飛那世が

言ってたことが本当なら…

それは、前世の自分に聞けば

いいんじゃないかな…？」

ブリザード「前世の自分…？」

華途葉「けど…まだ前例が

2つしかないし確実な手段じゃ…」

永遠「…でも、今の状況だと

情報を引き出す術がそれしか

ないんだしそれに頼るしかないんじゃ…」

ブリザード「それもそうだな、けど…

発現する条件も分からないしな…」

華途葉「飛那世が何か知ってるかな？

でも…知ってるとしたらもう言ってる

はずだし…」

永遠「その線はないか、だとすると…」

ブリザード「前世の自分かその関係者を

待つしかないってことだな…。」

華途葉「…考えるだけ無駄だった、

ってことかしら…」

永遠「うーん…そうなのかな…」

ブリザード「こればっかりは

今考えたところでどうにもならん、

後回しにしよう…。」

華途葉「…そうね。」

華途葉「それじゃ、することもないし

僕達はそろそろ戻りましょう…」

永遠「えー、僕はお兄ちゃんと

もう少しお話したいんだけど…」

ブリザード「そうか？じゃあ

永遠は残るか…？」

華途葉「わっ、私もブリザードと

お話したいし…その…」

ブリザード「…じゃあ、

三人で何か話でもするか…」

永遠「うん！」

その後三人で他愛もない

話で盛り上がった…

こんな楽しい日々も、あと僅か…

もういつ終わってもおかしくはない、

残された時間で、俺は何が

できるだろうか…

改めて、そう思った…。

ーー

ブリザード「…。」

月が雪に隠れる夜…

俺は、ある場所まで来ていた…

ブリザード「…なぁ、灯華…

そっちはどうだ？」

ブリザード「俺らは…もう少しだよ、

もう少しで…奴らを完全に

壊滅させることができる。」

ブリザード「だから…少しだけ、

待っててくれ…」

ブリザード「あと一週間もしないうちに

神吹を倒すことができるんだ…

ようやくだよ、ようやく俺達の

悲願が果たされるんだ…」

ブリザード「見ててくれ…俺が、

俺達が…全て、終わらせるから…。」

ブリザード「…だから、もう…

誰も苦しまなくていいように…

頑張るから。」

ブリザード「…改めて、柳太郎と

影浦によろしく頼んだぞ…。」

ブリザード「…じゃあな、神吹を

倒したらまた来るよ…」

ブリザード「…。」

…神吹を倒す前に、どうしても

灯華に挨拶しておきたかったんだ…

…俺達はもう弱かった頃の

ままじゃない、きっと…灯華にも

次はいい結果を伝えられるはずだ。

…きっと、灯華の成し遂げようと

してたことも…できるはずだ。

灯華の分もきっと…俺達が

生きてみせる、たとえどんなことが

あったとしても…みんなで生きて、

明るくなった世界をこの目で

見たいんだ…

…だから、それまでは…

そこで待っていてくれないか？

…俺は…まだどうすればいいかは

分からない、でも…いつかは、

そっちに行きたい…

そしていつか…みんなと一緒に

平和な世界を生きたいんだ…

…わがままかもしれないが、

それだけが望みなんだ…

平凡でいい、何もいらない…

ただ、穏やかに暮らしたいんだ…。

ブリザード「…。」

ブリザード「じゃ、もう行くよ…。」

ブリザード「…また会おうな。」

ブリザード「…。」

タッ…

ブリザード「…」

飛那世「…やっぱり、ここに

居たんですね…。」

ブリザード「飛那世…？

どうしてここに？」

飛那世「ここは拠点近いですし、

先輩が行くとしたらここだと

思いましてね…。」

飛那世「これから雪が大量に

降るみたいですし早めに

帰りましょう、皆さん

心配するでしょうし…」

ブリザード「…そうだな、帰ろう…。」

飛那世「…ねぇ、先輩…」

ブリザード「…何だ？」

飛那世「…こうして見ると、

こんな雪が降ってるだけでも

きれいに見えません…？」

ブリザード「…確かに、この辺りは

拓かれてない土地だから、

よりきれいに見えるな…」

飛那世「えぇ、いっそのこと

雪に埋もれてみたりしても

いいんじゃないですかねー！」

ブリザード「やめとけ、

凍死しちまうから…！」

飛那世「ですよね、でもこの雪も

今にして思えば美しいものですね、

これのせいで私達はこんな目に

会ってるんでしょうけど！」

ブリザード「物は言いようだな、

でも、何も考えずに見てみたら

案外悪くはないな…！」

飛那世「それじゃ、このまましばらく

遊んでから帰りますー？」

ブリザード「ダメだ、みんな

心配するだろうしなー！」

飛那世「ですねー！じゃ、

とっとと帰っちゃいますかー！」

ブリザード「あぁ…そうだな！」

飛那世「ねぇ先輩！」

ブリザード「何だ飛那世ー？」

飛那世「先輩って私のこと

好きですかー？」

ブリザード「え…は、はぁ！？」

飛那世「いや、個人的に

気になったんですよ、先輩って

多分私のこと好きですよねー？」

ブリザード「ちょ、いや、

ちょっと待ってくれ…」

飛那世「先輩って私のことを神吹の

とこにスパイとして送り込むくらい

信用してるんですよねー？じゃ私の

こと好きってことじゃないですかー！」

ブリザード「ちょ…ちょっと、

お、落ち着いて…」

飛那世「あはは！先輩分かりやすく

キョドってますねー！」

ブリザード「うっ、うるさい…！」

飛那世「あっはは！先輩

怒ってるんてすか？珍しいですね！」

ブリザード「ったく…あんま

人のことを揶揄わないでくれよ…。」

飛那世「…あはは！先輩は

私のことがそんなに大好きなんですね、

なるほど…！」

ブリザード「…お、俺はそんなんじゃ…」

飛那世「ねぇ先輩、私が先輩の

こと好きなのは分かってますけど

私が先輩のことどう思ってるか

気になります…？」

ブリザード「だ、だから俺は

そんなんじゃないんだって…！！」

飛那世「はいはい、それで…

私が先輩のことどう思ってるか、

気になりますよねー？」

ブリザード「どう思ってるんだ？

俺のこと…」

飛那世「フフッ、気になりますよねー？」

ブリザード「焦らさないで、

早く教えてくれよ…」

飛那世「ふふ…秘密です！」

ブリザード「っ…なんだよ、もう…」

飛那世「あはは！その時が来たら

教えてあげますよ…！」

ブリザード「…はぁ、どうなんだかな…」

飛那世「…ふふっ。」

飛那世「大丈夫ですよ…

先輩のことは誰にも傷つけさせは

しないですから…」

ブリザード「ん？何か言ったか…？」

飛那世「…いえ、なんでもないですよ！」

ブリザード「そうか…じゃ、帰るぞ…」

飛那世「はーい！」

飛那世「たとえこの命と

引き換えだとしても…先輩だけは…」

ーー

…ずっと昔、私は…何も考えずに、

殺すことだけしていた…

あの時の私にとっては

妹の復讐だけが生きる理由はだった…

飛那世「…はぁ、はぁ…っ！！」

バキュンバキュン！！

飛那世「っ…」

ブリザード「飛那世…」

飛那世「…何？私の邪魔するの…？」

ブリザード「…いや、そんな

つもりはない…ただ…心配なんだよ。」

飛那世「私に心配なんかいらない、

私は何も求めない…」

ブリザード「…なぁ、飛那世…

そのまま殺しだけして、

どうするつもりなんだ…」

飛那世「…殺すんだよ、当たり前…」

ブリザード「殺しが終わったら…

その後は何をするんだ？」

飛那世「…。」

ブリザード「なぁ、飛那世…

そのままじゃ飛那世は壊れてしまうよ…

ほんとに、心配なんだよ…」

飛那世「だから…心配なんて

いらないって言ってるでしょ…！！」

ブリザード「飛那世…！」

ダッ…！

飛那世「っ…！？」

…けど、先輩は私のことを

優しく抱きしめてくれた…

…私に、優しさをくれたんだ…

私にとっては初めてのことだった、

だから…嬉しかった。

ブリザード「…飛那世…そんなんじゃ

飛那世は一人になってしまう…

本当にそれでいいのか…？」

飛那世「え…だって…私は…」

ブリザード「いいんだよ…誰だって

幸せになる権利はある、

それは飛那世だってそうだろ…」

飛那世「え…」

ブリザード「もういいんだ、

飛那世が苦しむ必要なんて

ないんだから…」

飛那世「…ブリザード…」

ブリザード「…もういいんだよ、

過去の苦しみに囚われなくて…」

飛那世「っ…」

…ずっと過去に支配され続けていた

私にとっては、その言葉でようやく

肩の荷が降りたような気がしたんです…

あの娘が受けた苦しみを忘れたわけでは

ありませんが…ずっと過去の復讐に

固執していた私にとってはそれが

救いになったんです…。

…あの日から、私は…一生

先輩のもとで生きていくと言う

決断をしました。

この命が尽き果てぬ限り、

先輩を守り続ける…それが私の、

使命だと思ったんです…

飛那世「…。」

飛那世「もう分かっています、

私が何をすべきかも…どうしたら

いいのかも…」

飛那世「…だから、

見ててくださいよ…」

飛那世「私は…アンタとは

違うんです…」

飛那世「人は変わるものなんですよ…

そうですよね…？鵜伏…？」

ーー

神野「…」

私は…常に孤独だった、

けど…今は居場所がある。

…そのおかげで私は今も

こうやって生きていける、

それが何より心地よかった…

…だからこそ、戦いに

身を投じなければいけない…

…長年の因縁に、決着をつける

必要がある…

…正直、怖いけど…今すぐにでも

やれる自信がある…。

私は…神吹の娘ではなく、

一人の人間…神野として、

生涯を全うしてみせる…

それまで、私は死ぬものか…

最後まで抗って、生きれるだけ

生ききってやる…。

それが…奴らに対しての私の抵抗。

そうだ…もう、恐れることはない…

戦うんだ、最後まで…。

神野「…私には、これさえあれば

十分だ…。」

神野「…ねぇ、ブリザード…

そこに居るんでしょ？」

ブリザード「…神野さん？」

神野「私は…ブリザードのおかげで

こんなに強くなれた、本当の

居場所もできた…」

ブリザード「…どうしたんだ？突然…」

神野「そう言うこと言いたい気分なの、

たまにはいいでしょ…？」

神野「それに…もう、こんなこと

ないかもしれないし…」

神野「…改めて、ありがとうね…

ブリザード。」

神野「あなたのおかげで私はようやく

まともに生きられるようになった…」

神野「ずっと助けられてばっか

だったけど…次は絶対、私が

ブリザードのことを助けるから…！」

ブリザード「…そうか、

期待してるよ…」

神野「えぇ…十分に期待しなさい、

私は…強いんだから！」

神野「私を散々苦しませてきた

奴らに思い知らせてやる…

私と言う存在をね…！」

神野「だって、もう私は一人じゃない…

私一人ではきっと奴らを倒せない

でしょう、けど…私にはブリザードが…

頼れる仲間が居るんだから！」

ブリザード「…神野さん、

随分と背中が大きくなったな…

昔とは段違いだよ。」

神野「ふふっ、そうでしょ？

これじゃ終わらないんだから…

きっと、もっと大きくなって

見せるから！」

ブリザード「…楽しみにしてるよ。」

…私は強いんだ…そして、

これからも強くなってみせる…

ここから私の物語を

始めるんだ…長きに渡る

伝説を…今から！

間違いを何度も犯して

しまったけど…もう、間違わない…

私は…勝ち抜いてみせる…

この地獄を、私が変えてやるんだ…！

ーー

華途葉「ただいま…。」

ブリザード「…おかえり華途葉、

どこに行ってたんだ？」

華途葉「さっき言った古図書館が

どうも気になったから

行ってきた…」

ブリザード「どうだった？」

華途葉「一応手がかりになりそうなのは

1つだけあった。」

ブリザード「…見せてくれ。」

華途葉「これなんだけど…。」

ブリザード「…どれ？」

ブリザード「…前世の記憶との

繋がりについて…？」

華途葉「…人は、前世の記憶が

突然流れてくることがある、

主に多いのは夢の中…」

ブリザード「…やっぱりそうなのか、

そこは予想通りだったな…」

華途葉「…えぇ、ちなみにその理由は

夢は脳が記憶を整理するときに

見るものだからその時に何かしらの

エラーが起きて出てくるらしい…。」

ブリザード「エラーか…普通に

考えたら陰謀論としか思えないが

今なら現実味があるな…。」

華途葉「けど、このエラーって

どう言うこと…？もしこの理論が

本当ならブリザードの脳が

エラーを起こしたってことだけど…。」

ブリザード「…ありえないわけじゃ

ない、それほどまでに破邪悲の

影響は根深いものだろうからな…」

華途葉「…ねぇ、gmtは不死身だって

聞くけど大丈夫なの…？脳がエラーを

起こしてるってことは脳みそが

壊れ始めてるってことじゃ…」

ブリザード「いや、エラーが

起きただけでそう断定するのは

まだ早い、エラーと言っても

不具合が起きただけだろ？」

華途葉「そうは言うけど…

私は心配なんだよ、それが原因で

ブリザードが死んだら

いたたまれないし…」

ブリザード「俺は…そんなことで

死んだりしない。」

ブリザード「神吹を倒すまでは、

絶対に死ねないからな…。」

華途葉「…そうじゃなくて、

私は…ブリザードに神吹を

倒したあとも生きてほしいの…」

ブリザード「…え？」

華途葉「神吹を倒したあとは

それで終わり？そんなの、

あんまりじゃない…」

ブリザード「…。」

華途葉「神吹を倒すために一番

頑張ってるのはブリザード、

あなたなのよ…それなのにその

ブリザードが報われないなんて…

そんな酷いことはない…！」

ブリザード「っ…」

…華途葉にそう言われて、

昔の俺が飛那世に言ってたことを

思い出した…

…俺は今、その情況と

同じ立場に置かれている…

あの時の飛那世も

こんな気持ちだったのかな…。

ブリザード「…ごめん、軽率だったな…」

華途葉「…いいの、こっちこそ…

ブリザードを責めてるみたいに

言っちゃって、ごめん…。」

ブリザード「俺は大丈夫だ、

けど…ありがとうな、華途葉、

体制なことを思い出したよ…」

華途葉「…大切なこと？」

ブリザード「俺には…こんなにも

頼れる仲間が居てくれている

ってことをね…。」

華途葉「っ…と、突然何よ…」

ブリザード「…悪いな、少し

かっこつけたくなったんだ…」

華途葉「も、もう…バカ…」

華途葉「…はぁ、もういいわ…

ブリザード、ちょっとこっち来て…」

ブリザード「…何だ？」

華途葉「いいからいいから…」

ブリザード「全く、何だってんだ…？」

華途葉「…」

華途葉は突然と俺の元に

顔を近づけて…

ブリザード「か、華途葉…何…？」

華途葉「ん…」

ちゅっ…

ブリザード「っ…！？」

華途葉「あっはは！何その

鳩が豆鉄砲が喰らったみたいな顔！」

ブリザード「な、なんだよ…

え、えぇ…！？」

華途葉「あはははは！なにそれ！

あー面白…。」

ブリザード「ま、全く…人を

揶揄うのも対外にしてくれ！」

華途葉「あはは、ごめんごめん、

だってすごい面白いんだもん！」

ブリザード「全く…なんでこんなこと

するのかな…。」

華途葉「…ね、ブリザード…」

ブリザード「…何だよ？」

華途葉「…もう一回してほしく

なったら、いつでも呼んでね…？」

ブリザード「っ…だ、だから、

揶揄うなっての…！！」

華途葉「…私は、本気だよ…？」

ブリザード「え…」

華途葉「…ブリザードが

私のことどう思ってるかは

知らないけど…私にはブリザード

しかいないから。」

華途葉「…ブリザード、もちろん

この意味は分かるわよね…？」

ブリザード「っ…」

華途葉「…私も、永遠に

負けないくらいブリザードのこと…

愛してるから。」

華途葉「…誰にも…ブリザードのこと

渡す気はないから、そのつもりで

よろしくね…？」

ブリザード「え…あ、うん…」

ブリザード「…にしても、華途葉って

ほんと昔から変わったよな…

いい意味でも悪い意味でも…」

華途葉「ちょっと、悪い意味って

どう言うことよ？」

ブリザード「…いや、なんでもない…」

華途葉「…ま、こんな世界じゃ

弱い人間は生きていけないし…

当然のことよ。」

華途葉「いつまでも幼いまま

ではいられないから…だから、

人は変わる必要がある…」

ブリザード「…みんな、変わらなきゃ

生きていけないんだな…でも、

それはきっとどんな世界でだって

同じだろう…。」

華途葉「…変わることにはメリットも

デメリットもある、やってみなきゃ

分かんないけど…ま、私の場合は

上手く行ったでしょ。」

ブリザード「そうだな…華途葉は、

本当によくやったよ…」

華途葉「…そう？…ありがとね。」

華途葉「…やっぱり、私…

ブリザードと一緒に

居れてよかった。」

華途葉「…私は、ブリザードの

側に居られるならそれだけでいい。」

華途葉「だから…これからも、

私から目を離さないでね…」

ブリザード「…あぁ、もちろんだよ…。」

まさか、少し前までは華途葉が

ここまで積極的になるなんて

思いもしてなかった。

人と言うのは変わらないものだと

ばかり思っていたのだが…

案外、そうでもなかったのかもな…

出会ったときには男と見間違えるほど

ボーイッシュで、本人はそれを

コンプレックスと思っていたみたいだが…

本人はそれを努力だけで乗り越えた…

華途葉は、ずっと…変わるために、

努力し続けていた…。

そして、それは今ようやく

報われようとし始めている…。

そして…それは俺達も同じ。

神吹さえ倒すことができれば…

それは果たされる。

あと少しだ…この度も、

もうそろそろで終わりなんだ…。

もう、恐れはない…もう、

弱さはない…。

あとは全て終わらせるだけだ…

もう、神吹さえ殺せば全てが

解決する…。

あと少しの辛抱だ、

もう…全ては終わろうとしてる。

今まで理不尽に殺された人の分の

苦しみや悲しみも…俺達が

全部晴らすんだ。

ブリザード「…見てろよ、

すぐにでも…貴様らを

葬ってやる。」

ブリザード「お前たちが今まで

人に受けさせた仕打ちを

今度はお前たちが受けるんだ…」

ブリザード「こんな悲しい時代は

俺達の代で終わりだ…」

ブリザード「必ず、報いを

受けさせる…。」

ブリザード「俺達が受けた痛み

以上のものをな…」

ブリザード「そして…俺達で

始めるんだ、希望に満ち溢れた

世界を…。」

ーー

一度狂いだした歯車は

どうしてももとに戻すことは

できない…

破滅が新たな破滅を呼び、

そして…世界を包む。

絶望は連鎖し少年は

己の無力を悟り運命を呪う…

闇に飲まれた世界で、

彼は何を見るのか…そして、

彼はどんな運名を辿るのか…それは…

鵜伏「…いや、これ以上は

言っても面白くないですね…。」

鵜伏「…ま、これが研究者として

私が考えた持論ですが…」

鵜伏「彼はもうじき、大きな

運命と相対すこととなる…。」

鵜伏「それは、とても抱えきれない

問題で、それこそ一人では

耐えられないほどのものだ…」

鵜伏「だが…彼は強い、例え

臓器を潰されようが、体の

半分を飛ばされようが…立ち上がる。」

鵜伏「正直言ってあれは現実的じゃない…

けど、それが彼の本質だ…。」

鵜伏「彼の存在は、私の研究者

人生最大レベルのサンプルだ…。」

鵜伏「流石だな…やはり彼は

偉大な存在だ。」

鵜伏「…まぁ、人生とは言っても

私の素体はもう既に無くなって

居るのだがね…。」

鵜伏「まぁ…そんなことは

どうだっていい、それより…

これから、彼の物語は最終章を

迎えることとなる。」

鵜伏「ここまで彼は何度も残酷な

運命に会ってきた…だが、それが

皮肉にも彼を強くしてしまった…」

鵜伏「いわば、あれは時代が

生み出した怪物だ…」

鵜伏「そう…私と同じ

化物なんだよ…」

鵜伏「そうだ…彼は私と同じ、

人の皮を被った怪物だ…」

鵜伏「…そして、彼がこれから

生み出す物語は私の人生最高の

ものとなるだろう…」

鵜伏「…なぁ、こうして

ビデオに残してる意味…分かるか？」

鵜伏「君は…」

バキュウン！

ブリザード「…。」

ブリザード「…ふざけんな…」

あぁ…そうそう、君が

そうすることも想定済みなんだよ…

ブリザード「…」

君は…この運命からは逃れられない。

そう…世界が、人が…巡り

続ける限りはね…

私も…君も…永遠に終わらない…

生き…続けるんだ…

そうさ…もとより…私達は…

ピッ…

ブリザード「…。」

ブリザード「お前は、

何がしたいんだ…？」

ブリザード「お前は何を望んでいる、

お前は…何をしようとしている。」

ブリザード「…だが、もうそれも

どうでもいい…。」

ブリザード「…お前はそこで

永遠に眠っていろ。」

タッ…

…フフフ…フハハハハハ…！！

面白い…最高に面白いよ…

君は…！

さぁ…ブリザード…君は

これからどうする…？どんな行動を

取るんだ…？そして、世界にどんな

影響を与えるんだ…？

楽しみで仕方ないな…これからのことも、

もっと先の未来も…！！

もっとだ…もっと…私を

楽しませてくれ…その人生でな…！

フフフフフ…アハハハハ…！！

ーー

天地黎明ーforce of blizzardー

final chapter…

「希望なんて無いよ」

何度も…何度も、

苦しんできた…それも…

とうとう…終わりを迎える…

絶望によって…

next…