秀逸な表現によって描かれる情愛のカタチ


 PNK-02は主人の世話をする旧型のアンドロイド。
 他の人造人間と違って、神経も感情も搭載されていない、完全な機械の人形である。

 ある日、愛情深い主人から「彼自身の過去」を贈られたことで、彼女の演算結果は予想外な挙動を示し始める。



 こういうのに弱いのは重々承知の上で読んだのだが、やはりやられてしまった。

 不器用ながら紡がれていく愛。

 態度こそ冷淡だが、自分の変化に戸惑いながら、プログラムの外に向かって実行していく感覚が描かれている。

 この作品のタイトルになっている「内部温度」の使い方も素晴らしい。
 読者が想定していたパターンを超えてくると同時に、PNK-02に生まれた複雑な情報を表現されていた。

 こういうのに弱い方に強くオススメしたい。「これだよ」と思うはずだ。