あのぉ……ちょっと悪が洩れてません?

 ユリエラは悪役令嬢である。

 仕えるメイドをいびり倒して辞めされる事数知れず。通う学園では暴君として名を馳せ、逆らう者は表と裏の両面から徹底的に打ちのめした。

 絵に描いたような悪役令嬢。いずれ主人公に倒されるべき敵役。

 これは、そんなユリエラになってしまった一人の女のお話である。




 主人公は一般的な感性を持つ女性だ。なので自身(の身体)が行ってきた悪行を心底嘆き、それを払拭すべく行動を起こす。

 しかしこれまでの悪行が悪行なだけに、中々信じてもらえない。それでも一つずつ物事を良い方に進めようとする主人公には、頑張れと声を掛けたくなる事請け合いだ。

 また、本来のユリエラ……つまりは稀代の悪女の人格も決して無くなった訳ではなく、時折甘く囁くように心の中で主人公をそちら側に誘惑する。

 そんな誘惑に抗い、時にはほんの少しだけ心を許し、葛藤する主人公の内面描写もまた見どころの一つと言える。



 まだまだ本編は続く(書いている現在で三十話目)のだが、これからが気になる作品である。

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