身を委ねて。


作者さまのほかの長編も拝読しています。
その上でのレビューとなりますが、本作を含めて、この作者さまのおはなしには独特のテンポというか、明るさ、あるいは華やかさ、そんな空気をいつも感じるのです。

本作も、表題となっている「右腕」をめぐる、ちょっとミステリアスな、だけどコミカルな物語を、そうした空気感のなかで手放しで楽しませていただける作品です。
わたしは、これは、作者さまのお人柄によるものだろうと思っていました。

でも、きっと、ちょっと違う。
や、お人柄は、お人柄なんだろうけど。

明るいひとだから明るいおはなしを書く。
涙もろいひとだから泣けるはなしを書く。
そんな単純なことじゃあ、ない。

どう、楽しんでる?
このキャラは、この言葉は、この舞台設定は、どう?
笑ってくれてる? どきどき、してくれている?

そうやって、全力で。
最初の一文字から最後のことばまで、ぜんぶぜんぶ、わたしたちを楽しませようとしてくださっている。
そのことをわたしは、華、と捉えたんだろうと思い直しました。

そうならば。
おもいっきり、身を委ねようではありませんか。
作者さまが用意してくださった、このなんとも魅力的な物語空間で、個性的な登場人物たちに手を引かれてみようではありませんか。

さあ。



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