女ひとり、畳んでいた羽根を拡げるとき。


隣にだれかがいるというしあわせ、ある。
たしかに、ある。

でも、そうではないしあわせももちろんあって、そのしあわせは自分のサイズで生きること、って表現することもできるとおもう。

誰かと過ごすことは、そのひとのサイズに合わせることでもあって、だから自分の背中に大きく広がっていた羽根は、だいたいみんな、畳んじゃう。畳まざるを得ない。無理して、ではない。そうしたいから、それがしあわせだから、そうする。

それでも。

行列の待ち時間を気にせずに並んでいいんだって気づいたとき。
だれに気兼ねするでもなくビールをぷしゅって開けるとき。
ゆきたいところに行き、感じたいものを感じるとき。

女がひとり、畳んでいた羽根を拡げるとき。

そのひとはきっと綺麗だし、空から降る光はきっと、彼女だけに用意されたものだと思います。

そういう、おはなし。
ね、どうかどうか。